ホーム » エッセイ » 放射線量が極端に高い場所を確認「福島県内の2020年オリンピック・イベント会場の近く」
「福島第一原子力発電所事故の被災地の放射線量の再調査を」グリーンピース
なされてもいない『復興』を『オリンピックを利用して最大限アピールする』
AFP通信 / ガーディアン / 2019年12月4日
2011年に史上2番目の規模の原子力発電所事故を引き起こした東京電力・福島第一原子力発電所。
日本の政府当局はこの事故の被災地の『復興』を印象付けようと躍起になっています。
グリーンピースは、福島県内で行われる2020年東京オリンピックの聖火リレーのスタート地点近くで、放射線のホットスポット - 放射線量が極端に高い場所があることを確認したと公表しました。
日本の環境省は福島第一原発事故の被災地のうち避難命令が解除された場所については、概ね安全が確認されたと述べていました。
しかし2020年7月24日に開催予定の2020年のオリンピック以前に、地域を調査するために地域の自治体と協議を行っていました。
日本政府は、2011年の東日本大震災・福島第一原発事故から福島が復興を果たしたとアピールするためにオリンピックを最大限利用したいと考えています。
事故を起こした福島第一原発から約約12マイル離れた場所にある総合スポーツ施設のJ-ビレッジを、来年3月に行われる聖火リレーの日本国内の行程の出発点に設定することになっています。
元々はアスリートのトレーニングセンターとして設計されたJ-ビレッジでしたが、福島第一原発の事故発生以降、事故収束と廃炉作業にあたる作業員の中継場所兼物流中継地点として長年機能していました。
その後除染作業や事故収束作業が行われた結果、聖火リレーの出発地点に選定後まもない今年4月、J-ビレッジは総合スポーツ施設として再び完全に運用可能になりました。
これに対しグリーンピースは、改めて放射線測定調査を行った結果、地表から1メートルの場所で測定した場合に1時間あたり1.7マイクロシーベルトの放射線レベルのスポットをいくつか検出したことを公表し、放射線モニタリング再調査と除染作業を継続するよう促しました。
これは1時間あたり0.23マイクロシーベルトの国の安全基準、あるいは同じく1時間あたり約0.04マイクロシーベルトの東京都内の日常的な測定値と比較しても極めて高ものになっています。
グリーンピースによれば、確認されたホットスポットでは地表レベルで毎時71マイクロシーベルトの測定値が確認されました。
しかしJ-ビレッジのウェブサイトでは、メインエントランスでの放射線測定値は12月4日時点で1時間あたり0.111マイクロシーベルト、そしてトレーニング・フィールドのうちの一箇所の測定値は1時間あたり0.085マイクロシーベルトというものでした。
福島第一原発を運営している東京電力は12月3日に環境省から連絡を受けた後、その場所の除染を行ったと述べています。
グリーンピースは、調査結果を日本政府、地元当局、そして国際オリンピック委員会に今回の調査結果を伝えたことを公表しました。
グリーンピースは来年、この地域での調査結果について報告書を公刊する予定です。
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前回掲載したAP通信の福島第一原発に関する報道では、「経済産業省は2011年の大地震と津波で破壊された福島第一原子力発電所の放射能汚染を完全に除去するために、数十年にわたるロードマップを12月2日付で見直すことを提案した」もののも事故収束・廃炉完了まで30年〜40年という見通しは変更しなかった旨、伝えられていました。
しかし例によってここにもいつも通りのごまかしがあります。
2011年の事故発生から既に8年9か月が過ぎようとしている現在、発生直後の『30年〜40年』は既に『40年〜50年』になっているはずです。
しかもこの数値は楽観的〜悲観的まで幅があるとすれば、その幅の中でも『極めて楽観的』というべきものであり、もっとわかりやすく言えば、
『30年〜40年』で事故収束・廃炉完了が達成されれば、言うことなし!
というほどのものであるはずです。
現実には800トンもある溶解した核燃料の取り出しですが、近づくことすらできない状態で、どうやって『取り出しに着手』できるというのでしょうか?
具体的な手順が見えない中での『見通し』などあるはずもなく、あるはずのないものは虚構でしかありません。
なされてもいない『復興』を『オリンピックを利用して最大限アピールする』など、愚かを通り越しており、危険であり、民主主義に対する攻撃とすら解釈できるのではないでしょうか?