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投げ売りされるアベノミクス – 海外の投資家・投資機関

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TOPIX株の30%を保有し、東京証券取引所の1日の取引額の実に約70%を占める海外の投資家
2018年、5兆円に上る日本株を投げ売りした外国人投資家

                 

                  

エコノミスト 2019年10月26日

                  

「私のアベノミクスを買ってください。」
2013年、日本の安倍首相はニューヨーク証券取引所でこう懇願しました。
安倍首相が外国人投資家に向けハードルを下げたために、彼の投球は的を射止めたように見えました。

                 

今日では海外の投資機関や投資家が日本のTOPIX株の30%を保有しており、東京証券取引所(TSE)の1日の売買の実に約70%を占めています。
しかし安倍政権が新たに導入をはかっているルールには、こうした傾向を逆転させるリスクがあります。

                    

10月8日に発表された外為法の改正案は、外国人が日本政府の事前承認なしに日本企業で購入できる最低出資額を10%から1%に引き下げます。
さらなる変更点には、外国企業の取締役が日本企業の取締として選任される前に日本政府の許可を必要とすることを含みます。

                

財務省は原子力発電や武器製造などの技術的に重要な産業を保護したいという意向を明らかにしました。

                 

                

しかし、アナリストは、新しい規則が投資を思いとどまらせる危険性があると警告しました。

                   

東京証券取引所の清田瞭(きよたあきら)社長は、英フィナンシャルタイムズの取材に対し「根本的に間違っている」と語りました。

                

批判が相次いだことを受け、財務省は10月18日に「経営に影響を与える」意図がないことを証明できる限り、外国の「ポートフォリオ投資家」(銀行、保険会社、資産運用会社など)が事前の承認を求める必要がないことを明らかにしました。
若干の手直しを経てこの法律は内閣によって承認され、12月上旬までに日本の国会で可決される見通しです。

                 

しかし懸念は払拭されません。
理由のひとつは法律が幅広い範囲に渡って適用されるからです。
原子力と航空事業に加え、対象には農業、輸送、海運、ソフトウェア開発、インターネットサービスが含まれます。
また何を持って違反とするのか明確ではありません。
たとえば海外投資家から日本企業の取締役会へ手紙を出したら、経営に介入しようとしたと判断されるのでしょうか?

              

             

結論として日本企業への投資は、より面倒により時間がかかるようになります。
新しい規則が適用されれば、日本政府への申請事項が8倍に増加すると結論づける分析結果もあります。

               

様々な懸念に対し日本政府の関係者は、世界的な流れに乗ろうとしているだけだと語りました。
欧州連合は4月に国内投資の審査を強化しました。
アメリカも外国為替管理の体制を強化するだけでなく、中国が最先端技術に関する情報にアクセスできないよう日本政府に強く促しました。

              

しかし東京在住の海外の銀行関係者は、日本政府の本当のターゲットはアクティヴィスト投資家であると見ています。
「日本語表記を見れば、取締役会に対し発言や提言することを求めようとする投資家がターゲットであることは一目瞭然です。」

          

アクティヴィスト投資家はこれまで長い間、日本企業が会社の中核部分以外の資産を売却するよう求め、さらには過剰な内部留保を続けることをやめさせようと闘ってきました。

                     

つい最近もアクティヴィスト投資家たちは日本の巨大企業日産に対し、現在の役員たちを解任するよう求め、カルロス・ゴーン前会長時代の経営の方が優れていたと指摘しました。
近年、彼らは米国の企業の巨人と衝突しました。ゴーンの時代に線を引いた。
また今年の初めにはニューヨークの投資ファンドが、九州旅客鉄道(JR九州)に対し、株主への配当を低く抑えるのをやめ、充分な配当を行うよう圧力をかけようとしました。

                

                     

皮肉なことですが、本来なら安倍首相はこうしたアクティヴィスト投資家の活発な行義の功績を称賛する立場にあるはずです。
安倍首相は企業経営者たちに対し役員会の秘密主義を改めて透明性を高めるよう求め、株式市場の拡大を働きかけてきたからです。
一例として2015年、コーポレート・ガバナンス・コードが導入されて以来、2人以上の社外取締役を抱える上場企業の数は3倍に増えました。

                   

しかしすでに多くの外国人投資家が、安倍政権が本気で改革に取り組もうとしているのか疑問を持っているようです。
昨年、彼らは5兆円に上る日本株を投げ売りしました。

              

かつて海外の投資家はアベノミクスを買いました。
しかし現在、彼らはアベノミクスを投げ売りしようと思っています。

https://www.economist.com/finance-and-economics/2019/10/26/japans-new-investment-rules-risk-scaring-off-foreign-investors

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消費税引き上げによって日本国民の経済生活に大きな打撃を与えた安倍政権ですが、この記事によれば今度は外国人投資家を日本の証券市場から「追い出してしまおう」としているかのようです。

当然今度は株価が下落する『懸念』が生じるわけですが、安倍政権は本欄毀損してはならないはずの国民年金の原資について「安倍首相は5年前、普通株式に投資するよう年金積立金管理運用独立行政法人に圧力をかけていた」(【 日本の年金制度崩壊!なぜ? 】エコノミスト - https://kobajun.biz/?p=36384 )はずなのに、なぜそんなことをするのでしょうか?

『経済のアベ』などというキャッチフレーズがいかに実体のないタワゴトであるかを痛感します。

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