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テロ、そして戦争 : 史上最大の隠ぺい《2》

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所要時間 約 10分

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国家の安全保障を優先するため、法律を無視したスパイ活動を行う先例を作ったブッシュ政権

 

デモクラシー・ナウ 2018年1月5日

ジェームズ・ライゼン:

こうしてブッシュ政権による史上最大規模の盗聴疑惑を巡る報道について、ブッシュ大統領の2期目の再選がかかる大統領選挙を目前に控え、私たち、政府関係者、ニューヨークタイムズ編集関係者の間で話し合いが始まったのです。

加わったのは当時のCIA長官のジョン・マクラフリンと部局長クラスの彼のスタッフ、私とニューヨークタイムズのワシントン支局長だったフィル・トーブマン、そしてアメリカ政府関係者です。

アメリカ政府関係者は私たちが記事にまとめた内容は事実ではないと主張し、公表しないように求め続けました。

彼らはこう言いつづけました。

「もし仮にこの記事が、ここに書かれているようなことが公にされれば、アメリカ政府にとっても深刻な事態になるが、君やニューヨークタイムズにとっても深刻な問題が起きることになるぞ。」

 

エイミー・グッドマン:

ジム、あなたのお話を続ける前に …

 

ジェームズ・ライゼン:

ええ?

 

エイミー・グッドマン:

まずはアメリカ政府がこの『ステラー・ウィンド(恒星風)』というプログラムでいったい何をしていたのか、まずその全容についてご説明ください。

ジェームズ・ライゼン:

解りました。

 

エイミー・グッドマン:

そもそもアメリカ政府が国民全員の盗聴という行為を、それも非合法のまま行なおうとしたその目的について。

ジェームズ・ライゼン:

『ステラー・ウィンド(恒星風)』は大きく分けて2つの部分で構成されていました。複数の側面を持っていたのです。

それまでアメリカの国家安全保障機関(NSA)は海外で暮らす外国人のスパイを監視することを目的とする機関であり、実際にそうしてきました。

後に分かった事ですが、ブッシュ政権はその性格を一変させ、本来外国人のスパイを監視するはずの機関を国民を監視するための組織として利用するようにしたのです。

そしてブッシュ政権は外国諜報活動偵察法を司る裁判所からのいかなる捜査令状もなしに、外国人と国際電話で通話していたすべてのアメリカ人の会話の盗聴を始めたのです。

その中には通話記録だけでなく、電話した記録、通話先のログ、電子メールアドレス、メッセージなどをアメリカの全土で収集していました。

 

そしてこれが9.11同時多発テロが発生して以来、アメリカ国内で行われていたすべてのスパイ活動の概略であり、私たちが調査をして判明したことです。

エドワード・スノーデン氏も後にこの件に関する内部告発を行いましたが、中身は同じです。

スノーデン氏はブッシュ政権の終わりまでに、それがどのように始まりどこまで拡大したのかを克明に記した詳細な証拠を公開しました。

 

エイミー・グッドマン:

そしてそれはブッシュ大統領の再選がかかる大統領選挙の直前の事だったのですね?

ジェームズ・ライゼン:

その通りです。

エイミー・グッドマン:

問題は捜査令状が無いアメリカ国民の盗聴を行ったり電子メールの閲覧したことによる、プライバシー侵害問題ですね?

ジェームズ・ライゼン:

そうです。

エイミー・グッドマン:

それを政治信条に関わらず片っ端から行ったのですね?

ジェームズ・ライゼン:

そうです。

エイミー・グッドマン:

そして、もしその時そのままこの報道が行なわれていたら、民主党ケリー対共和党ブッシュの大統領選挙では重要な役割を果たしていたはずですね?

 

ジェームズ・ライゼン:そうなったと思います。

もし選挙直前にこの問題が記事になって公表されていれば、どんな結果になっただろうと何度も考えました。そしてご存知の通り、この記事は公表されることはありませんでした。ですからどのような結末になったか、今となっては知りようがありません。

それはきわめて大きな影響を与えた可能性があります。

現実に起きたことは、私たちは記事を書いて原稿を揃え、新聞社と会議を行ったということでした。

一緒に記事を書いたエリック・リッチブラウ記者と私は担当の編集者であるレベッカ・コーベットと共に、ニューヨークに行ってビル・ケラーとジル・アブラムソンと会いました。

ワシントン支局長であったフィル・トーブマンも同行しました。

そして結局ケラーは選挙前にこの記事を公表しないことにしました。

その決定までには私たちの間で、きわめて緊迫したやり取りがありました。

非常に緊迫した内容のやり取りがあったのです。

 

エイミー・グッドマン:

続けてください。

ジェームズ・ライゼン:

大統領選挙が終わった後、エリックと私はニューヨークタイムズの編集陣にもう一度強く記事の掲載を迫りました。

私たちが執筆した記事をニューヨークタイムズの紙面に掲載するよう、再度申し入れをしました。

2004年12月私たちは記事をリライトし、掲載を迫りました。

しかしニューヨークタイムズの編集陣は再び私たちの要求を黙殺したのです。

エイミー・グッドマン:

それはどんな根拠に基づくものですか?
ジェームズ・ライゼン:

ブッシュ政権側の主張は同じでした。アメリカ国内でのテロの発生を未然に防ぐためには、アメリカ国内の通信内容をすべて盗聴することが最も効果的な方法だという主張です。

盗聴こそがテロ対策計画の中で最も効果的なのだということが最大の論点でした。

アメリカにとって今最も大切なことはアルカイダと対決することであり、もし私たちがこの記事を公開するのであれば、アメリカの国家安全保障を傷つけたという責任をとらなければならない。

それが彼らの基本的な主張でした。

その主張にニューヨークタイムズの編集陣も同意したのです。

 

エイミー・グッドマン:

それに対するあなた方の主張は?

ジェームズ・ライゼン:

私たちが主張したのは、国民全員の通話を盗聴するのは違法行為、または憲法違反の可能性が高いという事でした。

ブッシュ政権が30年前にアメリカ議会によって作られた制度を迂回しようとしてことははっきりしていました。

1978年アメリカ議会は、国家安全保障目的で米国内のアメリカ人やその他の国々の人々の監視を行う場合の法的手順を定める「外国情報監視法」を可決成立させました。

そしてこの制度が正しく適用されるように、外国諜報活動偵察法(FISA)裁判所と呼ばれる非公開の裁判所を設立しました。

米国政府が国内でのスパイ行為を行なおうとするときは、この裁判所に行って捜査令状を取らなければならないことになっています。

私たちはブッシュ政権がこの手続きを採らずに、国民全員の盗聴を行っていたという事実でした。

ブッシュ政権は正規の手続きを採らないことを決定し、FISA裁判所を無視し、誰にも知らせずに大規模な盗聴活動を始めました。

これが世間に漏れれば、誰もが違法行為だと気づく手法を採用したのです。

さらに私たちが調べ上げたのは、テロリストも自分たちの会話が盗聴されていることを知っていたという事でした。

テロリストにとって大した秘密ではありませんでした。

大きな秘密は米国政府が自国の法律を無視していたことでした。

私たちはこのことを問題視し、記事を公開すべきだと考えていました。

しかしニューヨークタイムズの編集方針に対し、ブッシュ政権の国家安全保障に関する主張の方が優先される結果になったのです。

 

《3》に続く

https://www.democracynow.org/2018/1/5/the_biggest_secret_james_risen_on

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

みなさんは現在の日本の政権運営が、怖いほどアメリカの軍産複合体の利害に合致していると思われたことはありませんか?

《1》でアメリカCIAが登場しましたが、オリバー・ストーン監督の『もうひとつのアメリカ史』を見た私は、その謀略の卑劣なやり方がもたらす残酷な結果に唖然とせざるを得ませんでした。

その常套手段は自分たちの利害に反する政治体制が存在する地で暴力的右翼にふんだんに金をばらまいて騒乱状態を作り出し、人々に別の秩序を求めるよう仕組むというもの。

私は現在の日本の首相の『復活劇』について、そのお膳立てをしたのはまさにこの勢力ではないか、そう思ってきました。

復活を果たした首相は防衛予算の増額を続け、思惑通り米国製の高額な兵器の購入推進を宣言しました。

『美しい日本』とは国民が質素倹約に励み、高額な米国製兵器の購入に勤しむ、そんなものであるはずがない!

そうお感じになりませんか?

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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