ホーム » エッセイ » 全世界の原発、その廃炉に向けて『立ち上がる第3世界』からのメッセージ「金儲けに興味は無い、平和な暮らしを壊す行為を止めよ!」
序章【 世界の3.11報道2013 】
なぜチェルノブイリの悲劇を繰り返したのか?! フクシマの現実と第3世界の怒り
[立ち上がる第3世界]2011年4月(No.248)
福島第一原発の悲惨な事故を受け、35か国以上の全国市民組織、国際市民組織、そして個人が、世界に対し原子力発電への依存をやめるよう、共同で以下の呼びかけを行いました。
数万人の人々の命を奪い、極めて広範囲にわたる地域、そして都市を壊滅させたマグニチュード9.0の地震、そして引き続いて発生した津波が引き起こした悲劇についての報道は、世界中に連帯の心をつなぐことになりました。
今回の大災害が引き起こす人道上の危機について、ここに集まった署名活動を行う人々、組織、そして個人は、日本の人々に心からの哀悼の意を表すとともに、悲しみと同情を共有していることを、まず始めに申しあげます。
しかしながら、私たちは福島第一原子力発電所が、自然界において発生した災害により複数回の爆発を起こし、その結果深刻な放射能汚染が広がったことについて、重大な懸念を持っています。
現在続いている危機的状況は、原子炉の温度がさらに上昇するようなことになれば、より一層悲惨な事態に発展する可能性があります。
同じ危険が女川、東海の2か所の原子力発電所にもあります。
日本政府は600万人分の電気が不足することになったとしても、これ以上の原子力災害が発生しないよう、少なくとも11か所の原子力発電所の稼働停止を余儀なくされました。
そして200,000人以上の人々が今回の事故により放出された放射性物質を被ばくすることにより、深刻な健康被害を起こすのを避けるため、避難を行いました。
そして影響を受ける可能性のある人々について、起こる可能性のある健康被害の検証が続けられています。
今回の原子力発電所の事故、事故が生んだ数限りない危険は、原子力発電というシステムがこの世界にとっていかに不当な存在であるか、そのことを証明しました。
福島第一原発は大量の電気を都市部に送り続けて来ましたが、危険を引き受けたのは地元の住民でした。
それなのに原子力発電設備を輸出して利益をあげようとする企業は、原子力発電を『クリーン・エネルギー』などと呼んで憚りません。
今回生み出された悲劇的状況は、今再び、原子力発電が絶えることの無い地球の営み、そしてこの世界に対する重大な脅威であることを思い知らせました。
そして40年前、この地に原子力発電所を建設することに反対するため立ち上がった日本の人々がいたことをも、思い起こさせました。
今日、地球上での暮らしを脅かすものは自然災害だけではなくなりました。
気候変動による異常気象は大規模な洪水や地滑りなどを引き起こし、居住環境を全地球的規模で変えてしまおうとしています。
最近ブラジルのリオデジャネイロの近郊では大規模な泥流が襲い、近くにあった原子力発電所は安全が確認できるまで稼働を停止しました。
このように世界はこれまで以上に、自然が引き起こす災害に対し脆弱な状況に陥っていることを、私たちは顧みる必要があります。
そして何にもまして、いったん福島のような事故が発生してしまったら、誇るべき技術も、蓄えられた富も、地上の生命を守るためにはあまりに非力であることを思うべきです。
気候変動によるさまざまな危機とエネルギー資源に対する切実な需要は、大企業と先進諸国をして、クリーンな持続可能な代替エネルギー源として、原子力発電の利用を検討させることになりました。
世界銀行が独自に策定したエネルギー計画は、大規模なダム建設による水力発電と併せ、原子力発電を将来有望な発電手段と位置づけました。
しかし数多くの検証がなされた結果、このような考えは誤りであり、いずれの手段も環境に対する負荷が大きすぎ、気候変動が続く中、かえって人類の安全を脅かすことになることが明らかにされつつあります。
原子力発電は気候変動交渉の場などでは、『クリーンな』発電手段としての扱いを受けています。
しかし、チェルノブイリ、フクシマと繰り返された悲劇により、いったん事故を起こしてしまえば、技術的にも対処の仕様が無く、人間の力でどうにかなるものでは無いことが明らかになりました。
そして現実に何百万人もの人々が、その影響に苦しんでいます。
さらには次の世代の人々に対しては、常に危険がつきまとう生活を強いることになりました。
そして、地球を汚染する猛毒、核廃棄物の処理にも同じように大きな危険があります。
国連の気候問題の討議の場であるリオ+20のような多国間協議の場では、原子力発電が引き起こす可能性がある様々な弊害について、もっと真剣に検討が行われるべきです。
わたしたちは各国の政府に対し、原子力発電は誤った解決手段であるとの見解を示している自国の国民や世界中の市民団体の声を、もっと真剣に受け止めるよう求めます。
金銭的利益の実現を何より優先し、地球環境の破壊すらためらうことなく行う巨大資本の要求では無く、世界中のすべての人々が安心して生活を送り、健康と権利を守ることに、各国政府は心を傾けよう、私たちは要求します。
私たちは世界中の原子炉の廃炉に向け、取り組みを始めるよう要求します。
そしてその地の人々にふさわしい、真の解決手段を探し、併せて悔やんでも悔やみきれないような事故が二度と起きないように、正しい予報措置がとられることを求めます。
原子力発電を継続すると主張して譲らない各国政府に対しては、チェルノブイリとフクシマの教訓をもっともっと強く認識させなければなりません。
エネルギー問題を解決するための原子力発電の利用、そしてさらに恐ろしい目的、核兵器開発を目的とした原子力発電はやめさせなければなりません。
私たち第3世界の人間にとって、最優先課題は金儲けではありません。
私たち第3世界の人間にとっての最優先課題は、生きていく上で、暮らしていく上で、余計な危険をこれ以上抱え込まないようにすることなのです。
http://www.twnside.org.sg/title2/resurgence/2011/248/cover08.htm
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3月11日が目前に迫ってきました。
すでに海外のメディアには、福島第一原発関連の記事が多数掲載され始めています。
【星の金貨】では3月11日月曜日から、それら最新の記事を可能な限り数多くご紹介する予定ですが、今日は改めて事故が発生して間もなく、第3世界の人々が世界に向け発信したメッセージをご紹介します。
事故発生から2年、彼らと同じ覚悟がこの日本には欠けたままになっている。
そうした思いが、最近ますます強まってきました。
覚悟を持った国と持たない国、10年後、20年後、そして100年後の姿はどうなっているのでしょうか?
今を生きている私たちに、その責任は無いのでしょうか?
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写真集【 原発難民の帰郷 】
アメリカNBCニュース 3月7日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)
2年前まで、三原雄三さんとその妻ゆう子さんは、福島県浪江町で静かな暮らしの中に居ました。
雄三さんは一軒の店を経営し、ゆう子さんも別に美容院を営んでいました。
しかし、2011年3月11日、巨大地震と巨大津波が近くにある福島第一原発を壊滅させてしまったその瞬間から、静かな暮らしは潰え去りました。
福島第一原発が大量の放射性物質を放出したため、浪江町の住民全員に対し避難勧告が出され、雄三さんとゆう子さんも、家を捨てて逃げるほかありませんでした。
その時から、2人は日本に100,000人以上いるとされる『原発難民』になったのです。
三原さん夫婦は先月、短時間ですが我が家に帰ることになりました。
その際、欧州報道写真エージェンシーのカメラマン、フランク・ロビションが同行を申し出ました。
三原さん夫婦は短い帰宅の間、2、3の持ち物を回収し、家の中の片づけをすることが出来ました。
懐かしい我が家は、ネズミたちが食い荒らすままになっていました。