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世界が100年かけて築いた共存秩序を破壊するトランプ《2》

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トランプが考えていること「誰か別の人間が上手いことやった取引も、自分がやればもっとぼろ儲けができるかもしれない…」
騒々しいツイートや奇妙としか言いようのない個人的嗜好は今やすっかりおなじみ

 

エコノミスト 2018年6月7日

謙虚さなどとはまるで無縁

 

トランプはこの世界をニューヨークの不動産市場、あるいはペテンじみた駆け引きの場、あるいはペテンそのものの駆け引きの場と見ているようです。

 

誰か別の人間が上手いことやった取引も、自分がやればもっとポロ儲けができるかもしれないのです。
トランプは現実の国際関係をどう処理するかについて、まるでテレビに出演しているかのように演技しています。
予測できない行動と馬鹿げた発言をますますエスカレートさせ、周辺閣僚を次々と入れ替えては新鮮さを演出しなから、ただしショーの主役は誰なのか強烈に印象づけることを忘れません。

 

現在はハーバードのケネディ・スクールに在籍する元NATO駐在アメリカ大使を務めたニコラス・バーンズ氏がこう語りました。
「トランプの日々の言動は自身のスタッフたちにとっても全く予測不可能なのです。」
「それは大きな問題です。」

 

バーンズ氏の指摘は的を得ています。

トランプのやり方では複数の政策を連携させる立案や持続的な取り組みによって成果を上げるということはほぼ不可能です。

しかも予測不能なだけではありません。

 

トランプの本来の目標はほとんど変わっていません。
大統領選挙期間中に公約したことを優先的に進め、前任者であるバラク・オバマ大統領が成立させた政策を次々ひっくり返し、その結果がどのような事態に結びつくのか、結局のところ考えていません。

騒々しいツイートや奇妙としか言いようのない個人的嗜好は今やすっかりおなじみになりました。
5月24日付北朝鮮の金正恩へ送られたぎこちない中身の書簡などもその一つです。

あらゆる場所でトランプは自分自身のために何か良いものを手に入れたいと考える人間であり、すべてはそのための仕掛けなのです。

 

過去3ヶ月間にトランプが行った4つの主要政策は次の通りです。
イランとの核開発交渉の停止
金正恩との米朝首脳会談の実施
中国との貿易戦争の開始準備
同盟国各国に対する輸入関税の強化

 

これら4つの主要な動きはすべてトランプが何者であり、何をするつもりなのかを象徴しています。
最近の米国大統領は、これらのうちの1つを実行していなかった。彼の疑いのない喜びに、彼らは外交政策の設立の多くをスキャンダルしてきた。だから、それは成功の驚きに開放されているという視点から見てみたいですか?

 

最初に取り上げなければならないのは何度もやるやらないとゴタゴタした、シンガポールで開催されるキム・ジョンウンとの米朝首脳会談です。
トランプは北朝鮮の体制に対し歴代の大統領の中で最大の威嚇を行う一方、会談では米国大統領と北朝鮮の総書記が対等の立場とすることで、より受け入れやすい形を提案しました。
韓国のムン・ジェイン大統領(彼自身はトランプに散々な思いをさせられていますが)の努力なしには実現しなかった首脳会談ですが、朝鮮半島の急速な非核化の実現は難しいでしょう。

しかしこれまでは存在しなかった朝鮮半島問題に関する和解への道を開くことになります。
この問題を悪化させた責任の一端はトランプにもありますが、長期にわたる安全保障上の深刻な関心事である朝鮮半島の緊張緩和に貢献するかもしれません。
米朝首脳会談に関しては、成功と言えるかもしれません。

 

中東に目を転じると、共同総合行動計画(JCPOA)として知られるイランとの核兵器開発をめぐる交渉の廃止は、広範囲の圧力政策の一環でした。
サウジアラビアとイスラエルに対する無条件に近い支援策も同様です。
ポンペオが厳しい口調でイランを批判する声明が公表された後、イランとの交渉が一方的に打ち切られた後、イランに対し何カ条もの要求が突きつけられました。

「欧州連合(EU)との連携も一方的に打ち切ったことによりイランへのアメリカの圧力は厳しくなり、目的と手段の間に大きな乖離を生み出している」
こう語るのは米国のシンクタンク、ブルッキングス研究所の中東専門家マーティン・インディク氏です。

 

しかしイラン経済は慢性的に弱体化しており、これ以上アメリカが制裁圧力を強化すれば、欧州の各企業はイラン国内での経済活動を断念せざるを得なくなるかもしれません。
イランへの経済制裁は成功するかもしれません。

 

ワシントン中東政策研究所のデニス・ロス氏が次のように語りました。
「アメリカ一国がイランへの制裁を強化しても効果はないと語っていたすべての人に対し、私自身の考えとしてはそうだろうか?可能性はなくもありません。」
イスラエルやサウジアラビア、その他の中東諸国との間に新たな利害関係を築くことによって、アメリカの思惑通りに事態が展開する可能性があります。
「これらが機能すれば、中東地区のイランの影響力を抑え込むことが可能になります。」
インディク氏がこう語りました。

もしトランプがイスラム世界を屈服させることができれば、幅広い層から勝利として認められるかもしれません。
さらにもしイランでは政権交代が起きれば、その勝利は比較にならないほど大きなものになるに違いありませんが、一部の人々はあまりに無謀な政治目標であり、こうした政策を進めることをイスラム以外の同盟各国に受け入れさせることは到底困難だと見ています。

 

一方、トランプはイスラエルとパレスチナ問題について自分が得意とする交渉スキルが有効だと考えているフシがありますが、証明できるほどの材料はありません。
義理の息子であるジャード・クシュナーの手になる平和計画について、立案に関わった一人は「きわめて誠実なな努力」の賜物であると語っています。
しかしこれはホワイトハウスの計画自体に多くの選択肢が盛り込まれているということを保証するものではありません。
しかしクシュナー氏の妻であるイヴァンカ・トランプがエルサレムにアメリカ大使館を開設した段階で、パレスチナ人がこうした選択肢を快く受け入れる機会は消滅しました。
インディク氏はトランプ流交渉術がこの問題に何か進展をもたらすなどということは『幻想に過ぎない』と切って捨てました。

 

勝者と敗者という考え方でイスラエルとパレスチナ問題を捉えている限り、事態は進展しないでしょう。

もうひとつの問題、二国間交渉によって当事国同士の貿易収支を完全に均衡させようというやり方についても同じことが言えます。

 

しかし他の人間がやったことのないことをやろうとする意欲は、この問題で勝利をもたらすかもしれません。
中国は二国間交渉において、ボーイング社の航空機、アメリカ産大豆、液化天然ガスの輸入を増やすことにより、対米貿易摩擦を緩和できる可能性があります。

米国の同盟国に対し鉄鋼製品に高額の関税を貸すというやり方に、ほとんど前向きな効果は期待できません。
一方で北朝鮮との首脳会談、イランに対する圧力強化、貿易問題で中国に譲歩を迫る戦術はトランプ自身とその支持者にとっての勝利になるでしょう。
そう判断する人が多少はいるだろう、という意味で。

これまでの大統領が長期的視点で米国に利益はないと判断しあえて行わなかった政策を、トランプは次々と実行しており、その『成果』がいずれアメリカにもたらされることになるでしょう。

 

《3》に続く
https://www.economist.com/briefing/2018/06/07/donald-trump-is-undermining-the-rules-based-international-order

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21世紀になって詐欺やペテンの類がアメリカと日本の政治の中心に居座ることになろうとは、思いもしませんでした。

トランプや安倍首相、そして今その関係が取りざたされているロシアのプーチン。

プーチンはペテン師ではないかもしれませんが、嘘つきである点は変わりがないでしょう。

彼らにはある共通項があることに気がつきました。

 

その国の後進性を利用することに長けている、という点です。

トランプの支持層はプア・ホワイトと呼ばれる教養が低く、偏狭な考えを持ち、私欲の強い白人層。

日本の場合は似た性格のネトウヨ。

そしてロシアもプーチンの敵は民主主義者や人権活動家。

 

トランプが勝利したアメリカ大統領選挙でロシアの国家規模での選挙介入が取りざたされ、未だに問題が続いているように、彼らはどこかでつながり互いを利用しているかもしれません。

そのことを考えると、真の民主主義を取り戻す戦いの前途は容易ではありません。

しかしこのまま手をこまねいて、太平洋戦争の時の日本人のように命を一発の銃弾より粗末に扱われるよりは、戦い続ける方がずっとマシ。

そうではありませんか?

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