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10,000人以上が首相官邸前で抗議の声
【野田首相、大飯原発の再稼働を正式承認】
ザ・ガーディアン(英国)6月16日
福井県にある大飯原子力発電所の2基の原子炉が再稼働されます。福島第一原発の事故以降の、原子炉停止の流れが途絶えることになりました。
ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国)6月16日土曜日
昨年発生した事故により福島第一原発で三基の原子炉がメルトダウンを起こしたままの日本で、日本政府は16日土曜日、初めて原子炉の再稼働を行うことになりました。
今年の夏の電力需要期における電力不足を防ぐ、という名目での福井県大飯原子力発電所の3号機、4号機を再稼働させるというこの決定は、日本国内の他の原子力発電所での再稼働にも道を開くことになりました。
大飯原子力発電所がある福井県知事とおおい町長の了承を得た後、野田首相が再稼働を正式に発表しました。
「地元自治体の了承を得た以上、再稼働するかどうかの最終決断は政府が行います。」
野田首相はこう発言しました。
「我々は原子力政策と安全確保に人々の信頼を取り戻すため、最大限の努力を行う決心です。」
日本において稼働中の最後の原子炉は5月上旬に停止しましたが、その結果40年間で初めての原子力発電なしの期間が作られることになりました。
福島第一の4基の原子炉は、2011年3月11日の巨大津波によって稼働不能となりました。
そして、国内にある残る50基は定期点検のため、稼働を停止しています。
大飯原子力発電所は国民の間に高まった懸念を緩和するため、昨年導入されたストレステストを合格したことにより再稼働を認められた、初めての原子力発電所になります。
産業用電力の不足を恐れる、強大な政治力を持つ日本の原子力ロビーから圧力を受け、野田首相は大飯原子力発電所の再稼働を、強力に推進してきました。
首相はおおい町時岡町長の稼働容認発言を後ろ盾にし、今週初めにも再稼働に了承を与えるものと見られていました。
時岡町長は仮に福島第一原子力発電所を襲ったと同様の自然災害に見舞われても、大飯原子力発電所の安全性は確保できる、とする原子力の専門家の保証に基づき、再稼働を承認した、と語っています。
そして長引く原子力発電所の稼働停止により、地元経済が影響を受け、オーストラリアとほぼ同じ規模を持つ人口2,400万人の人々が暮らす関西地区の電力不足を懸念し、今回の承認に踏み切った、と付け加えました。
約10,000人の人々が最後の最後まで首相の再稼働を阻止しようと、15日金曜日夜、首相官邸前に集まりました。
原子力発電に反対する人々は、首相の性急な判断は、未解決のままの安全上の問題を無視している、と非難しました。
「大飯原子力発電所の再稼働に関する野田首相の性急な決断は、専門家が指摘している安全上の問題と国民の抗議の声を無視しています。そして国民の健康を損なう不必要な危険を、日本の環境にもたらすことになります。」
グリーンピース・ジャパンの佐藤潤一事務局長が、こう批判しました。
「日本は夏と冬の電力需要期を、ほとんど原子力発電所が稼働していない状態で、乗り切った経験をすでに持っています。そしてまる一カ月原子力発電所が稼働していない状況の下、何の問題も起きませんでした。そして大飯原子力発電所が再稼働しなければ、日本経済は窮地に陥るという産業界や政府の喧伝にもかかわらず、日本経済は堅調な成長を続けており、目立った電力不足も起きていません。」
大飯原子力発電所を運営する関西電力は7月、8月の電力需要期には、電力が15%不足する見込みであると警告し、電力使用の節約を求めています。
しかし、枝野経済産業大臣は関西電力が2基の原子炉の出力を最大に持ってくるまでには6週間を要するとし、なお電力の無駄遣いについて警告しています。
「安全性の確保が最大の懸念です。」
「実際に再稼働を行い、電力を供給できるようになるまでには、まだ少し間があります。それまでにはなお国民の皆さんには節電の取り組みをお願いします。この間安全上の問題が見つかれば、再稼働の時期がずれ込む可能性があります。」
再稼働のため、政府は法律的には地元自治体の了承を取り付ける必要はありませんが、野田首相と一部の閣僚からなる少人数のチームは、福島第一原発の事故以降高まり続ける原子力発電の危険性への懸念と不信をかわすため、あえて地元住民の了解を取り付けるために数週間を費やしました。
[16日タイの首都バンコクの日本大使館前で行われた、大飯原子力発電所再稼働への抗議デモ]
大量の放射性物質を環境中に放出し、十万人を超える人々が避難生活を余儀なくされた福島第一原発の事故後一年が過ぎて尚、日本国民の原子力発電に関する意見は二分されたままです。
6月始め毎日新聞による全国的世論調査によれば、国民の25%が野田政権を支持する一方、71%の国民が大飯原子力発電所の再稼働を急ぐことに反対の声をあげています。
野田首相は、かつて原子力発電に対する日本の依存を少なくし、再生可能エネルギーによる発電割合を上げていくと誓いました。
原子力発電はかつて、日本の総発電量の3分の1を供給してきました。その数値を50%にまで高めるという計画は、福島第一原発での3基の原子炉のメルトダウンにより潰えたのです。
http://www.guardian.co.uk/world/2012/jun/16/japan-approves-nuclear-power-restart?INTCMP=SRCH
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事故原因調査、『多重防護』になぜ踏み込まない?
野田政権というのは、いったい何を守るためにこの地上に存在しているのでしょう?
国民の生活?
この国の将来?
彼の口から出る言葉に、日本の政治家の言の『実の無さ』を痛感し、日本の政治というものにつくづく幻滅されている方も多いのでないでしょうか?
テレビのニュースを見ていると
「これ以上、その口先だけにしか存在しない理念と、あまりに愚劣な展開などもうこれ以上見たくもない。」
とばかりに目をそむけたくなります。
しかし、そむけてしまえば増々『敵の思うつぼ』なんだろうなあ、と思います。
愚民化政策の基本は、国民に享楽に目を向けさせ、政治には関心を持たせないようにし、その間に自分たちがやりたいようにやってしまう事なのですから。
国会の事故調査委員会の結論が今月出る予定ですが、途中経過を見ていると、だんだん心もとなくなってきました。
それというのも福島第一原発の事故の根本原因に直結している、『日本の原子炉の多重防護』に踏み込んでいる様子が見られないからです。
事故が起きてから、内閣と東電本社のやり取りがどうだったかなど、二の次、三の次でいいはず。
海外のメディアは事故直後から、東京電力による福島第一原発のずさんな運営と、日本の核監視機関が果たすべき機能を、ほとんど果たしていなかったことの方を問題にしてきました。
私は現在、根拠のない無責任な発言をしないよう、国内外の原子力発電に関する著作を読みづけています。
その中、日本の原子力発電の歴史に必ず出てくるのが『日本の原子炉の多重防護』です。
アメリカ・スリーマイル島の事故に際しても、チェルノブイリの事故に際しても、日本の原子力発電関係者は、『日本の原子炉の多重防護』について言い立て、日本ではどんな災害が襲ってもそうした事故は起きない、と繰り返し断言してきたのです。
そして福島第一原発。
『日本の原子炉には多重防護が施され』ているため、日本ではどんな災害が襲ってもそうした事故は起きないはずなのに、なぜ3基もの原子炉でメルトダウンが発生し、残る1基の核燃料プールには原子炉3基分の核燃料が、いつ爆発するかわからない状態で放置されているのに、未だに手をつけられずにいるのか?!
それを解明しない限り、今回大飯原子力発電所の再稼働承認の根拠となった、日本の原子力発電所の「安全対策」の評価など、成立のしようがないのではありませんか?
今週は「電力支配に立ち向かう、ドイツの再生可能エネルギーの成功」と題するシリーズを掲載して行こうと思っていましたが、予定を変更し、今日からこの大飯原子力発電所の再稼働に関する世界中のニュースをご紹介していきます。
日本の大手マスコミは市民の抗議行動についてほとんど報道しませんが、世界中の主なメディアはこれを一斉に取り上げています。
イギリス、フランス、アメリカ、ドイツの順に、今週毎日ご紹介していく予定です。
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【悲劇のマッキンリー登山】
アメリカNBCニュース 6月18日
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【全米オープン、『伏兵』ウェブ・シンプソンが優勝】
アメリカPGAツアー 6月18日
追いすがる2人のかつての全米オープン・チャンピオンを振り切り、ウェブ・シンプソンが今年の全米オープンを制しました。
これまでの数週間というもの、優勝候補として誰の口にも上らなかった『伏兵』ウェブ・シンプソンが、日曜日、4つのバーデイを決め、オリンピック・クラブの難しい18番ホールのアプローチを残して、霧の中から姿を現しました。そしてこのホールをパーでまとめ、この日2アンダーの68でラウンドしました。
シンプソンは4日間のトータル、1オーバーの281でホールアウトしましたが、2人の全米オープン優勝経験者、ジム・フューリックとグレアム・マクドウェルを退け、自身初となるメジャータイトルを手にしました。
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