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メルトダウンした核燃料、取り出し開始は2021年?最終プランも立てられず : 福島第一原発

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3基の原子炉格納容器の底に固着してしまった800トンに上る核燃料をどうやって取り除く?
首都直下型地震などが発生すれば、福島第一原発内の未回収の核燃料から再び大量の放射性物質が放出される危険がある
800トンに上る溶け落ちた核燃料を、どこにどうやって『安全に』保管する?用地の確保は?地元の同意は?

                 

写真 : 2019年4月15日、東京電力が公開した画像。福島県大熊町の福島原子力発電所3号機の冷却プールから燃料を除去する作業の様子。
経済産業省は12月2日、福島第一原子力発電所の放射能汚染を取り除くための数十年に及ぶ作業工程の改訂案を発表しました。
福島第一原発は2011年の大地震と津波によってほぼ完全に破壊されました。

               

山口まり / AP通信 2019年12月2日

                     

経済産業省は2011年の大地震と津波で破壊された福島第一原子力発電所の放射能汚染を完全に除去するために、数十年にわたるロードマップを12月2日付で見直すことを提案しました。

                    

事故からほぼ9年が経過しましたが、3基の原子炉がメルトダウンした事故収束・廃炉作業の今後の進行については、ほとんど先が見通せない状況です。
見直しが決定したロードマップは今月後半に正式に承認される予定ですが、福島第一原子力発電所事故が最終的にどういう形で収束するのか詳細な展望はありません。
しかし事故の収束に要する年数が30~40年という目標は変更しませんでした。

                 

福島第一原発の事故収束・廃炉作業を進める上で解決しなければならない大きな課題について、ここで改めて検証してみましょう。

              

▽ 溶融核燃料『デブリ』

                

最も困難な課題は、事故を起こした3基の原子炉の炉心から溶融し原子炉圧力容器の底を突き破って落下し、原子炉格納容器の底に固着してしまった800トンに上る核燃料を取り除くことです。

              

原子炉2号機の内部で、核燃料デブリに向かって伸びてゆくロボットアーム

                  

過去2年間、東京電力は、3基のうち2基の原子炉の状態の詳細な情報の収集においていくらか前進しました。
今年2月、2号機の内部に送り込まれた小型の伸縮型ロボットが、デブリの小さな破片をちぎり取り、取り出せることを証明しました。
溶融核燃料『デブリ』の取り出しの記念すべき第一歩は2021年末、原子炉2号機において着手の予定です。

                        

以前、3号機については主要格納容器内の放射線量と水位の高さにより調査したくとも出来ない状態にありました。
1号機についてのロボット調査は、放射線量が高すぎて失敗に終わりました。

                      

専門家は、事故収束・廃炉作業が30〜40年で完了させるという目標は楽観的すぎると批判しています。
溶けた燃料のすべてを除去することが実現可能なのかどうか、まずその点に疑問を提し、チェルノブイリ同様の石棺アプローチ - すなわち原子炉自体を覆ってしまい、放射能が自然に減少するまで待つ方式を提案しています。

               

▽ 核燃料棒

                 

福島第一原発の原子炉内部を再現して造られた模型の中でのロボットの実験

                  

メルトダウンした3基の原子炉の内部には、主に使用済の1,500ユニット以上の核燃料棒がまだ残っており、それらはすべてプール内の水で冷却し続けなければなりません。
しかしこの核燃料プールには覆いなどはなく露出しているため、福島第一原発内で最も高いリスクを持つ場所の一つになっています。
また新たに巨大地震が発生したりすれば、冷却用プールが損傷したり、水を失った状態でプール内の核燃料棒が揺さぶられたりすれば、燃料棒が溶けて大量の放射線が放出される危険性があります。

                     

東京電力は2019年4月に3号機の核燃料プールから燃料棒の取り外しを開始し、2021年3月までに566本すべてを撤去することを目標にしています。
1号機および2号機からの燃料棒の撤去は2023年に開始される予定です。
さらに東京電力は津波によって深刻な被害が発生したなかった2機の原子炉内の数千本に上る核燃料棒は、化学処理を施ししてドライキャスクの状態で保管する作業を2031年までに開始する予定です。
事故当時、6,300を超える燃料棒が6機の核燃料冷却プールにあり、4号機の核燃料プールのみ空の状態になっています。

              

2019年42月3日時点の福島第一原発原子炉1号機から4号機

                 

▽ 放射能汚染水

                     

福島第一原発内には第一次処理をされた100万トン以上の放射能汚染水が貯蔵されていますが、日本政府と東京電力は世論の反発を恐れ、最終処分ができずにいました。
東京電力は放射能汚染水が増えるペースを遅らせるため、上流で地下水を汲み上げたり、高額な費用をつぎ込んで原子炉建屋の周りに地下「凍土壁」を設けるなどしてきました。

                       

東京電力によるとこのままでは2022年の夏には放射能汚染水の最大保管能力137万トンの限界を超えることになり、このままでは来年の東京オリンピック終了後に汚染水の海洋投棄が始まる能性があるという憶測が強まっています。

                  

東京電力と一部の専門家は、放射能汚染水が入ったタンクの存在は事故収束・廃炉作業の邪魔になっており、敷地内で回収された瓦礫や他の放射性物質を保管するためにもフリースペース確保する必要があると語っています。
大量の放射能汚染水タンクは、別の大地震、津波、または洪水などで内容物が流出した場合、再び周囲を危険にさらすことになります。

                    

                    

専門家は放射能汚染水については海洋投棄を計画的に行うことが唯一の現実的な選択肢であり、それでもすべてのタンクを空にするのに数十年かかると語っています。
日本政府の委員会メンバーはこれまで何年もの間、漁獲資源の汚染と健康被害の可能性を恐れる漁師と地元住民が反対の声を挙げる中で、放射能汚染水の処理方法を議論してきました。

               

▽ 放射性核廃棄物

                  

日本は、原子炉から取り出した高濃度の放射性核廃棄物の処分計画を未だに立てられずにいます。
現在の作業計画の下では、日本政府と東京電力は2031年に終了するはずの核燃料デブリの第1期取り出し作業期間10年のどこかで、計画をまとめるとしています。

             

放射性核廃棄物を安全に管理するためには、廃棄物を圧縮して毒性を減らすための新しい技術が必要になります。
東京電力と政府は、メルトダウンした原子炉から取り除いた核燃料やデブリの一時的な保管場所を建設する計画だと主張しています。

                  

しかし、放射性核廃棄物を保管する施設の建設用地を確保すことも一般の同意を得ることもほとんど不可能です。
こうした状況を考えれば、事故収束・廃炉作業を40年以内に完了させられるという計画には疑念を持たざるをえません。

                

▽ 作業要員確保への懸念

               

数十年に及ぶ事故収束・廃炉作業を継続するための労働力を確保することは、急速に高齢化し人口が減少している日本では特に困難です。
東京電力は、より多くの非熟練外国人労働者を許可する日本の新しい政策の下で、事故収束・廃炉作業に従事する外国人労働者を雇用する計画を発表しました。

               

                   

しかし言語の問題と安全性に関する懸念に対処するためには慎重な計画が欠かせないとする政府の指示に従って保留せざるをえませんでした。日本国内の大学も、一時はエリート学生の専攻分野でありながら福島第一原発事故以降急速に人気がなくなった原子力科学の学生の確保に苦慮しています。

              

https://apnews.com/d106511f4ea14513b2ed358e434ebb99
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