ホーム » エッセイ » ビン・ラディンが残した一枚のメモ / 原子力発電所の新たなリスク / いったい、何が、誰が、アルカイダに最悪のシナリオを与えた?! / 対応を急ぐアメリカ国土安全保障省
この世で、絶対に許せないもののひとつ、それは無差別テロです。
今週もノルウエーで大勢の子供たちが犠牲となる、テロが発生しました。大切な未来を理不尽に奪われてしまった子供たち、残された家族。
こんなやり方で大勢の命を奪って、一体何が変わるというのでしょう。
しかし、今、思うだに恐ろしい、テロの計画が進行している可能性が明らかになりました。
【新しいテロ報告、公益事業施設に対する内部工作者の脅威を警告】
New Terror Report Warns of Insider Threat to Utilities
ブライアン・ロス、ロンダ・シュワルツ、ミーガン・チューチマッハ、ABCニュース
2011年7月20日
米政府当局の見解によれば、主要な公益事業施設(発電所・ガス施設など - 化学プラント、精油所も含む)の内部関係者による破壊活動は、ウサマ・ビンラディンが計画し、アルカイダが実行した9月11日同時多発テロのような大規模テロに、絶好の材料を提供することになりました。
火曜日(アメリカ7月19日 : 日本7月20日)に出された国土安全保障省(DHS)からの『公益事業施設への内部工作者の脅威』というタイトルの新しいレポートは、「最も危険な過激派は、事実、すでに内部関係者としての地位を手に入れている。」と警告します。
そして、「その工作者は人身攻撃とサイバー攻撃を行うため、公益事業部門従業員の地位を得ようと試みた」と報告しています。
「9.11の事件の信頼できる報告書を分析した結果、私たちは次の自分たちの判断に確信を持つに至った。すなわち、内部工作者とその行動が、米国の重要なインフラ設備と情報システムに対し、重要な脅威となっているのである。」 と、報告書に書かれています。
「原子力発電所などの重要施設や、ライフライン設備、ネットワークや組織にすでに内部工作者がもぐ込んでいる。もし公益事業施設に対するテロ攻撃が発生すれば、彼らの存在により、その損害は大きなものにならざるを得ない。過去の事件とその分析は、私たちの見解が正しい事を証明している。」
当局によると、5月にウサマ・ビンラディンを殺した海軍特殊部隊が、ビンラディンが2001年9月11日から10年になる今年、当日あるいはその近くに、再び大規模テロを繰り返そうと計画していた証拠を発見しました。
〈写真〉アロウェイズ郡区(ニュージャージー)の民家を見下ろすホープ・クリーク原子力発電所と冷却塔
「一時に多数のアメリカ人を殺す唯一の方法として、こうした大規模な公益事業施設に攻撃を加える計画が、メモに書き留められていました」と、チャド・スゥイート(前国土安全保障省参謀長であり、チャートフ・グループの共同創設者)がABCニュースに話しました。
元ホワイトハウス・テロ対策アドバイザーで、現在はABC ニュース・コンサルタントを勤めるリチャード・クラークは、こうした施設に近づく事さえできれば、大惨事を引き起こすことは比較的簡単であると言います。
「誰かが施設の内部の従業員という立場を手に入れさえすれば、制御室の中に入り込み、スイッチを動して、送電網をショートさせる事ができます。その結果、パイプラインが爆発するのです。」
国土安全保障省は、今のところ特定されている脅威はない、と声明で述べていました。
国土安全保障省報道官マット・チャンドラーはこう語りました。
「国土安全保障省は日常、施設がある州政府、そして自治体と適用性が広い潜在的脅威についての情報を共有しています。
この責任を全うするため7月19日、民間の施設に対する潜在的脅威に関しても、合衆国政府、州、地方自治体、そして施設の関連機関に、情報を提供しました。」
「州政府と地元の自治体、そして設備の運営にあたる公益事業体などと緊密な連携を保ちながら、潜んでいる脅威から我が国のインフラ設備を守りきるため、私たちは働き続けるつもりです。これには最良の備えである情報交換を含んでいます。」
『俺は今、この施設を人質に取ってるんだ。』
米政府当局は昨年、アルカイダにリクルートされた嫌疑のかかっていた、アメリカ人のシャリフ・モブレー(ニュージヤージー州)のイエメンでの逮捕に驚かされました。
モブレーは連邦政府の身元調査をもくぐり抜け、ペンシルバニア州内外の、5ヵ所の異なる米国の原子力発電所の職員として雇用されていたのです。
「誰かがそれを実行する決心をし、適切にアクセスできれば、彼らは数千人の命を奪う事ができるのです。」とスウィートは語りました。
アルカイダは彼らのオンライン誌上のその指示を掲載、「アラーの敵に対し大破壊を加えるめったにないチャンスを持つ、機密にたずさわる立場の、高度な専門技術者として働いている私たちの兄弟」に呼びかけています。
アメリカのインフラストラクチャの脆弱性についての例として、レポートは、今年の4月にアリゾナの浄水場で試みられた事が明らかとなった、内部工作者の破壊活動を引用しています。
会社に不満を持つ夜勤労働者が制御室に閉じこもり、巨大なメタンガス爆発を引き起こそうとしたのです。
「俺は今、この施設を人質に取ってるんだ。」と話す男の声が、911番の録音記録に残っていました。
この男はアルカイダとの関係は無く、彼の計画は失敗しました。
しかし、この事件は1人の内部工作者が、どれほど簡単に致命的な騒乱を作る能力を持っているか、ということを思い知らせるものになったのです。
クラークの言葉です。
「テロリストがアメリカ合衆国の主要施設を攻撃するときに、もはや飛行機や爆弾は必要はありません......」