ホーム » エッセイ » 子どもたちの未来に基地はいらない!《前篇》
沖縄の人びとが求めているのは「基地問題を移転させる」ことではなく、解消すること
2017年米国海兵隊による航空機事故の発生は、2004年以来最高の件数を記録した
リサ・トリオ / アルジャジーラ 2018年2月27日
2017年12月7日の朝、沖縄県宜野湾市の保育園で一歳児たちが外に出て遊ぶ用意をしていると、低空飛行するヘリコプターの爆音がして、何かがぶつかるような大音響がとどろき渡りました。
「何人かの子供たちが泣き叫ぶ騒ぎになりました。」
その時のことを振り返り、緑ヶ丘保育園で育児の仕事に携わり、自らも一時の母である宮城恵理子さんがこう語りました。
宮城さんと同僚の職員たちは保育園の屋根に向かって駆け上がり、 そこに『飛行前に取り外す』そして『米国』と記された赤いラベルが貼られた円筒形の物体を見つけました。
それから1週間も経たない12月13日、今度は金属製のヘリコプターの部品と思われる窓枠が空から近くの小学校の敷地に落下しました。
約7.7kgのウインドウが砕け散った当時、当時普天間第二小学校の校庭では50人の児童が体育の授業中でした。
この事故で15メートルほど離れた場所にいた10歳の男子児童が軽傷を負いました。
どちらの事件も原因を作ったのは、小学校とはわずかフェンス一枚で仕切られているアメリカ軍海兵隊普天間基地に所属するCH-53Eヘリコプターだと見られています。
幸いにも子供たちに深刻な被害はありませんでしたが、事件をきっかけに地元自治体などからは軍用機の学校上空の通過をやめるよう求める声が高まっています。
緑ヶ丘保育園の屋根への落下物(写真)
「どうすればこんな事故が起きるのでしょうか?」
12月の事件が起きた保育園と小学校の両方に二人の子供を通わせている宮城知子さんがこう語りました。
「一体全体、なぜこんな事故が起きるのか私には理解できません。」
宮城さんはアルジャジーラの取材にこう答えました。
彼女は軍用機の学校上空の飛行禁止を求めるキャンペーンを開始した保護者グループのメンバーの一人です。
2017年12月下旬、宜野湾市庁舎前で約600人の保護者とその支持者が抗議を行いました。
そして2018年2月初め、緑ヶ丘保育園の保護者会のメンバーと会が東京の日本政府の当局を訪問し、1万人以上の署名を集めた請願書を提出しました。
請願書は沖縄の学校上空の軍用機の飛行差し止めに加え、保育園で起きた事件について真相の徹底的な究明を求めています。
現在アメリカ軍は日本政府と歩調を合わせ、人口密集地の普天間にある空軍基地を沖縄の中で人口の少ない辺野古に移転させるとしてアメリカ軍海兵隊基地を建設中ですが、そうした中で保護者たちの抗議は行われました。
5歳の娘を保育園に通わせている椎名幸子さんはアルジャジーラの取材に次のように語りました。
「私たちは自分たちが抱えている問題をどこか他の場所に持って行けと求めているわけではありません。私たちが求めているのは中止することだけです。」
日本の防衛省によれば2017年1年間の米軍機による事故は少なくとも25件ありました。
沖縄の辺野古には「子供たちの未来に基地はいらない」と書かれたサインボードを掲げる女性(写真)
沖縄の面積は日本の国土のわずか0.6%に過ぎませんが、日本にある米軍基地の70%以上が県内にあり、大きな面積を占有しています。
米国海軍安全センターのデータによると、2017年米国海兵隊による航空機事故の発生件数は2004年以来最高になりました。
2018年に入ってからもこれまで3回のアメリカ軍機による不時着事故が発生しています。
アメリカ軍は2017年12月、保育園の屋根に落ちた円筒形の物体が自軍のCH-53ヘリコプターのものでこのうち1機が保育園上空に向け離陸したしたことは認めましたが、一方でこのヘリコプターが装備していたシリンダーの全ての所在を確認してはいないとしています。
アルジャジーラの取材に対し、海兵隊第1航空団のグレゴリー・クロネン氏は声明で、
この日「緑ヶ丘保育園の屋根に落下した物体は、確かにこの地域で作戦行動を行っている海兵隊第1航空団の装備品リストの中に含まれることを確認しました」が、その出処などそれ以上詳しい状況はまだ把握していないと述べています。
アメリカ軍は2017年12月、保育園の屋根に落ちた円筒形の物体が自軍のCH-53ヘリコプターのものでこのうち1機が保育園上空に向け離陸したしたことは認めましたが、一方でこのヘリコプターが装備していたシリンダーの全ての所在を確認してはいないとしています。
アルジャジーラの取材に対し、海兵隊第1航空団のグレゴリー・クロネン氏は声明で、
この日「緑ヶ丘保育園の屋根に落下した物体は、確かにこの地域で作戦行動を行っている海兵隊第1航空団の装備品リストの中に含まれることを確認しました」が、それ以上詳しい状況はまだ把握していないと述べました。
〈後篇に続く〉
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私たち『本土』の人間にとって、現実として理解できないことが沖縄にはたくさんあるようです。
生活圏の頭上すれすれに軍用機が飛び交う日常などというのも、私たちにはピンとはきません。
それがすなわち沖縄の人々にとっての理不尽なのだと思います。
わからないからといって無視して良いはずもなく、私たちはその『痛み』についてどうにかして理解できるよう努めるべきであるはず。
ところが肝心の現在の日本政府、安倍政権にはそんな気はまったく無いようです。
沖縄における米国という存在がいわば『治外法権』扱いで、米国が
「東シナ海から南シナ海にかけてアメリカが睨みを効かせるために、辺野古には航空基地が必要だ。」
と主張すると、安倍政権は
「はいはいご無理ごもっとも!」
とばかりに、基地建設に反対する沖縄県民の前に全国から集められた機動隊員が立ちはだかるありさまです。
最先進国の民主主義国家にあるまじきこの状況もまた、此の期に及んで安倍政権の支持率が30パーセント以上あるという状況を許している私たちの責任だと思うのです。