ホーム » エッセイ » 【 隠され続けるフクシマの現実、歪められる真実 】《6》
原子炉のメルトダウンと爆発、高濃度汚染水の大量発生、すべては1980年代に危険性が確認されていた
「事故を起こすとしたらそれは必ずGE社製のマーク1型原子炉になる…」不幸にも的中した懸念
メルトダウンを起こせば、GE製マーク1型原子炉の密閉容器は90%の確率で爆発する(1985年)
フェアウィンズ 4月5日
こんにちは、フェアウィンズ・エナジーエデュケイションのチーフ・エンジニア、アーニー・ガンダーセンです。
今は2016年3月ですがちょうど5年前の今月、福島第一原子力発電所の3基の原子炉のメルトダウンが始まりました。
これまでチェアマンを勤めるマギー・アンダーセンやフェアウィンズのスタッフ、そして私は繰り返し次のような質問を受けてきました。
福島第一原発の事故はどのように始まったのか?
福島第一原発の事故現場と周辺地域は現在どうなっているのか?
これほどの大災害が今後どのような軌跡をたどり、福島県や日本全体の人々にどのような影響を与えることになるのか?
それでは最初に事故の発生原因についてみてみましょう。
フェアウィンズ・エナジーエデュケイションは皆さんもご存じの通り、マギーが専門家と協力しながらその正確な見解を一般向けに情報発信するために2003年に設立されたフェアウィンズ・アソシエイツが発展したものであり、非営利組織として一般市民の皆さんに真実を伝える活動を行ってきました。
2011年の第1四半期、私たちはアメリカ各地にあるいくつもの経年劣化の進んだ原子力発電所を検証し、安全を確保する上で数多くの深刻な問題があることを見つけ出していました。
そして福島第一原発の事故が発生する三週間前のある夜マギーが夕食後の散歩をしながら、私に次のように尋ねました。
これ程多くの老朽原発があり安全上の問題も存在することが確認されたが、(スリーマイルの)次に放射能漏れの事故が発生するとしたら、それはいったいどこになるのだろうと。
私は次に事故が起きる原子力発電所については、はっきりしたことは解らない。しかし事故を起こすとしたら、それは必ずゼネラル・エレクトリック社製のマーク1型原子炉になるだろうと答えました。
残念なことにその予想は当たりました。
福島第一で事故を起こした沸騰水型原子炉は、GEマーク1です。
もしあなたが大手メディアが伝えたことをそのまま信じていれば、福島第一原発の3基の原子炉のメルトダウン事故は、すべて日本固有の問題に起因すると考えているでしょう。
それは、全くの間違いです。
福島第一原子力発電所は、地階部分にディーゼル発電機を設置したことも含めほとんどアメリカ国内で設計されました。
そして日本で2,000年の間繰り返された津波の災害記録を無視したのもアメリカなのです。
原子炉自体はカリフォルニア州サンノゼにあるゼネラル・エレクトリックが製作したものですが、福島第一原子力発電所全体はニューヨーク、マンハッタンの中心にあるEvasco社が設計しました。
現在アメリカ合衆国内では福島第一原発でメルトダウンしたのと同じ型の原子炉が稼働を続けています。
米国の原子力産業界は、日本の原子力開発計画の体制なり体質がアメリカのそれと比較して、いくらか劣っていると一般の人々に信じさせたいのです。
従ってアメリカでは福島第一原発のような事故は発生しないのだと思わせたいのです。
改めて言いましょう、米国原子力産業界の行っていることは全くのデタラメです。
福島第一原発で機械上操作上の問題を引き起こしたすべての部品が、アメリカ国内にある23基のマーク1沸騰水型原子炉でも使われています。
そしてもっと重要な事があります。
アメリカ国内にある100基の原子炉を設計したエンジニアたちは、福島第一原子力発電所内にある6基の原子炉の設計コンセプトをそのまま使っているのです。
フクシマを始めとする日本国内の原子力発電所の安全性は原子力行政、電力会社や原子力産業によって危ういものにされました。
アメリカでは国民が安心して原子力発電所の管理を任せている原子力規制委員会、それこそが国内の原子炉の安全を脅かす存在になっているのです。
日本の原子力産業の質がアメリカと比較して劣っているという事実はありません。
むしろ材料として使われる素材の品質は日本の方が優れています。
加えてアメリカ国内の原子力発電所は総体的に経年劣化が進んでおり、一部は地震を引き起こす活断層の上にあったり、あるいは老朽化したダムの下流にあるなどしており、1979年にペンシルバニア州のスリーマイル島以降アメリカ国内でメルトダウン事故が発生していないのは単にツイていただけなのだと言わざるを得ません。
福島第一原発でメルトダウンと原子炉建屋を吹き飛ばすほどの爆発を起こした原子炉に設計上及び構造上多くの欠陥があることに、アメリカのエンジニアも日本の技術者も40年間完全に把握していました。
アメリカ原子力委員会(原子力規制委員会の前身)の上級幹部は1972年という早い時期に、GE製マーク1型原子炉の密閉容器に設計上明らかな欠陥があるとして重大な懸念を表明しました。
続く1985年に原子力規制委員会が公開した報告書には、もしメルトダウンが発生した場合、GE製マーク1型原子炉の密閉容器は90%の確率で爆発する可能性があると記されていたのです。
同じく1980年代に原子力規制委員会が公表した別の調査報告書には、ゼネラル・エレクトリック製の沸騰水型原子炉すべてが、他社製と比べメルトダウン事故を引き起こしやすい傾向があると指摘されていました。
GE製の原子炉は設計上底の部分に多くの穴が開けられているため、核分裂反応を減速・停止させるための制御棒の固定性が弱くなってしまうのです。
そしてやはり80年代に重要な指摘がなされていました。
ゼネラル・エレクトリック製の沸騰水型原子炉はメルトダウン後の高圧力、高温、そして高い放射線量という条件下では複雑な配管と電気配線が格納容器に接続されているため、溶けた核燃料が外部に漏れ出しやすく、結果的に地下水系を高濃度に汚染することになるのです。
ゼネラル・エレクトリックも原子力規制委員会も、これらすべての欠陥を充分認識済みだったのです。
《7》へ続く -
http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education//arnie-gundersen-on-cctv-nuclear-free-future-fukushima-at-5-and-the-vermont-yankee-shutdown-what-do-they-mean
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【 3本の手足を切断したカメラマンがとらえた難民問題 】《4》
アメリカNBCニュース 4月24日
3本の手足を失ったカメラマン、ジャイルズ・デュレイ氏は、中東を始めとする難民たちの実情を撮影、公開しました。
深刻な障害を負っても尚、彼は難民たちの実情を世界に向け発信するという情熱を失いませんでした。
ロンドン出身の彼は、アフガニスタンで取材中に地雷を踏み、その後5年間で30回の外科手術を受けなければなりませんでした。
彼は今、戦争によって生活を破壊され、そして傷つけられた人々の窮状を世界に向け発信することに九死に一生を得た命を捧げています。
2015年11月30日マケドニア国境近くギリシャ、イドメニ村の夜。線路わきの難民たちのキャンプ。(写真上)
12月27日ドイツのシェーネフェルトの難民宿泊施設の外で遊ぶイラク、シリア、クルド族の子供たち。(写真下・以下同じ)
12月29日フィンランドのナグ、脱出以前に難民たちが故国で見聞きし体験したことを忘れることも記憶に残すことも、どちらも実は容易なことではありません。
フィンランドの赤十字、そしてボランティアの人々は難民の子どもたちに、彼らを受け入れる場所があることを確信させるために様々な取り組みを行っています。
12月29日フィンランドのナグ、灯ろうを空中に飛ばす地元の住民と『ゲスト(難民)』の人々。
http://www.nbcnews.com/slideshow/triple-amputee-photographer-giles-duley-shows-captivating-images-migrant-life-n560561