ホーム » エッセイ » 【 隠され続けるフクシマの現実、歪められる真実 】《3》
日本の原子力規制委員会、公正中立の立場を取る委員と再稼働推進の人間との入れ替えを進める安倍政権
正論を述べる人物を排除し、日本の原子力行政を事故以前の癒着・もたれ合いの体質に戻す安倍政権
フェアウィンズ 4月5日
ハリントン:日本国内の原子力発電所を再稼働させるよう圧力がかけれられている問題について、アメリカ原子力規制委員会はどのように関わっているのでしょうか?
ここヴァーモント州ではヴァーモント・ヤンキー原子力発電所がすでに閉鎖されました。
最早私たちのほとんどがこの問題には関心がありません。報道機関に取り上げられることも無いため、私たちはヴァーモント・ヤンキーについては何もかも片付いたと考えがちです。
しかし実際にはつい最近、ヴァーモント・ヤンキー原発にガスを供給していたパイプラインが、発電所近くのどこかに壊れたまま埋設されているという危険があることが明らかになりました。
ガンダーセン:そうです。そして埋設されているのは放射能に汚染された施設の近くにあるため、調査して処理作業を行う事は困難です。
このためアメリカ原子力規制委員会は、ヴァーモント・ヤンキーを経営していたエンタジー社が廃炉のため積み立てていた基金をもっと自由に取り崩すことかできるよう、規制基準を緩めようと躍起になっています。
この基金は原子力発電所の廃炉が決まった時、その資金調達が困難にならないように操業中から積立て来たものです。
しかしこの基金は今、不正資金に変わろうとしています。
エンタジー社はこの資金を他の用途に使えるだけ使おうとしており、米国原子力規制委員会も構わない、問題ないという態度をとっています。
私たちはすでにこの廃炉のための積立金の流出が始まっている、不正に利用されているのではないかと懸念しています。
我々はヴァーモント州監査役のダグ・ホッファー氏と話をしました。
彼は州監査役としてこの基金の使途をチェックする権限を持っていますが、基金が正しく管理され使われているかどうか強い関心を持っています。
アメリカ国内には100を超える原子力発電所がありますが、ヴァーモント・ヤンキーはこれから行われる廃炉事業の先例となるものであり、全国のすべての州においての模範事例となるよう州監査役としての役割を果たしたいと考えています。
そしてこの件は、守られるべきは周辺住民、一般市民の安全であり、原子力発電所を経営してきた電力会社の利益ではないというルールを確立するためのテストケースとなる可能性があります。
アメリカ原子力規制委員会は電力会社が要求するまま、基金を思い通りに使わせる可能性があります。
稼働開始から60年が経ち稼働を停止した原子力発電所が、もしその場所にそのまま放置されることになってしまったら、身動きが取れなくなるのは周辺で暮らす人々であり、その子や孫の世代の人びとなのです。
ハリントン:今のお話の中にも出てきた、日本の人々にさらなる放射線被ばくの脅威をもたらすことにつながる原子力発電所の再稼働にゴーサインを出した、日本の原子力発電の監督機関の名前は何というのですか?
ガンダーセン:NRAです、米国ライフル協会ではありませんよ、日本の原子力規制委員会です。
ハリントン:それはアメリカ原子力規制委員会と同じなのですか、それよりはましですよね?
ガンダーセン:そうあってほしいものです。
しかし現実はもっと厳しい、問題は現在日本の権力の座にある超保守派でありタカ派の安倍政権です。
安倍首相率いるこの政権は今、本来中立の立場であるべき日本の原子力規制委員会のメンバー全員の入れ替えを進めています。
公平中立を守ろうとする人々を追い出し、代わりに原子力発電所の再稼働を勧めようとしている人々を委員に任命しています。
これまでの5年間、日本の原子力規制委員会の監視機関としての基本姿勢は合理的と評価してよいものでした。
しかし安倍政権下、原子力規制委員会のメンバーの中で、原子力発電所は新たな規制基準の下で厳正な管理が行われなければならないという姿勢を取っている委員が、この6、7ヵ月間にどんどん外に放りだされているのです。
代わりに委員に任命されているのが、かつて東京電力から給料をもらっていた人々です。
今度は彼らが東京電力を管理監督する立場に立つことになったのです。
今や日本の原子力規制委員会も合理性を持った機関ではなくなってしまっています。
ハリントン:回転ドア現象(人の入れ替わりの激しい組織の比喩)ですか?
ガンダーセン:私はそう考えています。日本での滞在中、私は福島第一原発の事故は日本だから起きたわけでもないし、世界中のどこでも起こり得るという事を繰り返し訴え続けました。
100基の原発があるアメリカも、単に幸運だっただけなのであり、福島第一原発にはツキが無かった。
アメリカ国内にも福島第一原発と同じタイプの原子力発電所があります。
ヴァーモント・ヤンキー原子力発電所、そしてマサチューセッツ州のピルグリム原発など23基の原子炉が福島と同じタイプのものです。
それらのいずれもこれまで事故が無かったのは、管理方法が優れていたからでも何でもなく、ただ単に運が良かったのだというしかありません。
- 《4》へ続く -
http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education//arnie-gundersen-on-cctv-nuclear-free-future-fukushima-at-5-and-the-vermont-yankee-shutdown-what-do-they-mean
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今回取り上げられている日本の原子力規制委員会の問題、職務に誠実であろう公正中立を貫こうとする人が排斥され、阿諛追従の人間たちがそれに取って代わるという事態については私たちは深刻に受け止める必要があると思います。
このことは原子力行政に限られた問題ではなく、日本の政治や行政の根幹が腐って正常に機能しなくなり、結局は国民の権利や存在が脅かされ、国力も損なわれるという事態に行く着くからです。
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【 3本の手足を切断したカメラマンがとらえた難民問題 】《1》
アメリカNBCニュース 4月24日
3本の手足を失ったカメラマン、ジャイルズ・デュレイ氏は、中東を始めとする難民たちの実情を撮影、公開しました。
深刻な障害を負っても尚、彼は難民たちの実情を世界に向け発信するという情熱を失いませんでした。
ロンドン出身の彼は、アフガニスタンで取材中に地雷を踏み、その後5年間で30回の外科手術を受けなければなりませんでした。
彼は今、戦争によって生活を破壊され、そして傷つけられた人々の窮状を世界に向け発信することに九死に一生を得た命を捧げています。
2015年10月28日、ギリシャのレスボス島に向かう難民を乗せた定員オーバーのボート。 2人の男性がボートから海に投げ出されましたが、ボランティアのスペインのチームに救助されました。(写真上)
10月26日、レスボス島に到着し、子どもを抱えて上陸する父親。(写真下・以下同じ)
10月29日にレスボス島で低体温症に陥ったアフガン難民の治療をするギリシャの赤十字隊員。 この男性のボートは半分水没したまま、約6時間漂流していました。
10月28日、乗っていたボートが転覆した後、必死に陸地へ向け泳ぐ難民。
10月29日レスボス島、海上を漂流していた難民を乗せたボートから救出された女性。
http://www.nbcnews.com/slideshow/triple-amputee-photographer-giles-duley-shows-captivating-images-migrant-life-n560561