ホーム » エッセイ » 【 自らを致命的危機に陥れる、人類最悪の選択 】《2》
私たちが体験させられたのは、7年に1回という割合で原子炉のメルトダウンが発生するという事実
スリーマイル~チェルノブイリ~フクシマ、悪化を続けるゲンパツ事故の状況
フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 2016年7月29日
スリーマイル島の事故が発生してから35年が経ちますが、この間地球上でチェルノブイリ、フクシマと原子炉のメルトダウンが5回発生しました。
35を5で割ってみましょう。ロケット工学の話をしているのではありませんよ、ただの割り算です。
7という数字が出てきました。
スリーマイル事故以降、地球上では7年に1回の割合でメルトダウンが発生したことになります。
10年以内に1回の割合で原子炉のメルトダウンが発生する、これは歴史が証明するものです。
これに対し、原子力行政に関わる官僚や原子力規制委員会、原子力産業界 - いわゆる原子力ムラなどは当時の政治家たちにどう説明していたでしょうか?
メルトダウンのような事故が発生する確率は、100万年に1回だと語っていたのです。
現在世界には400台の原子炉がありますが、100万年を400で割ると2,500、つまり2,500年に1回の割合の発生確率になります。
現実には私たちは7年に1回の割合で原子炉のメルトダウンが発生したことを知っているわけですが、原子力行政というものは判断基準に2,500年に1回の発生確率の方を採用しているのです。
これが原子力ムラによって議論が本来あるべき形から歪められてしまった典型的な例であり、残念なことに国会議員たちにもその影響がモロに及んでいます。
しかし原子炉というものが7年に1回の割合で事故を起こすものだと解っていたら、いったい誰がディアブロキャニュオン原子力発電所の稼働継続を認めるでしょうか?
第1の問題はまさにここにあります。
原発に関わる行政機関の官僚や政治家たちは同じ土俵で物事を考えていますが、真実はそこには無く別の土俵の上にあるのです。
そして第2の問題です、事故は悪化しているという事実についてです。
原子力災害はより一層ひどいものになっています。
私自身も当事者になったのが、最初の事故であるスリーマイル島の災害です。
これは部分的なメルトダウンでした。
この写真を撮ったチームについてお話しますが、原子力業界の思考法について話すことは、興味深いことかもしれません。
これは事故の約1年後に行われたのですが、私自身もその場に居合わせました。
撮影は原子炉の上部から内部にカメラを降ろす方法で行われました。
これからお話するのは、その時のスタッフから直接聞いた実話です。
彼らは何メートルカメラを降ろせば炉心に到達できるのか把握していませんでしたが、とにかく撮影用のカメラを降ろしていきました。
撮影した結果、炉心は写っていませんでした。
彼らはどうやら測定する高さを間違ったようだと話し合いました。
そこでカメラを吊り下げるワイヤーの長さを調節し、再びカメラを原子炉の中に降ろしていきました。
そして撮影した結果やはり炉心は写っておらず、確かにこの長さの場所に炉心があるはずなのに、測定に何か問題があるために撮影できないと話し合いました。
そして三度カメラを原子炉内に降ろしましたが、今度は撮影を担当していた人間がこう言ったのです。
「なんてことだ!メルトダウンだ!」
そして事故発生から2年間、大量の放射性物質を散々まき散らした挙句、この写真の存在が明るみに出るまで原子力産業界はスリーマイルの事故がメルトダウンだとは認めようとしなかったのです。
これは原子力産業界の体質を如実に物語るエピソードです。
そしてメルトダウンによって社会には重要な問題は起きていないという説明が行なわれました。
しかし現場に立ち会った原子力産業界の関係者も、実は健康被害を受けていたはずです。
けれども米国原子力規制委員会のホームページには、スリーマイル島の事故で健康被害を受けた人間はいないとされています。
もちろん、原子力産業界の見解も同じです。
ここにあるのは、スティーヴ・ウィング博士の手になる資料です。
示されているのはサスケハナ川とスリーマイル島の図面です。
スティーヴ博士が行なったのは、スリーマイル島の事故から10年後の全人口に占める肺がんによる死亡者の割合のデータの検証でした。
博士の研究は谷あいに暮らす人々の肺がんの発症割合が、丘陵地帯で暮らす人々よりはるかに多いことを明確に証明しました。
なぜそうなったのでしょうか?
スリーマイルの事故が起きた時、原子力災害の発生時、すなわちメルトダウンが発生した時点で大気の気温逆転現象が発生し、放射性物質が谷あいに閉じ込められる現象が発生したのです。
しかしこのことを原子力産業界は認めず、スティーヴ博士は多くの批判にさらされることになりました
しかし博士の研究は間違いなく事実を語っています。
スリーマイルの事故によって死者が出たのは紛れもない事実です。
この写真はチェルノブイリの原子炉の炉心が溶けだした様子を撮影したものです。
その形状から『象の足』と呼ばれています。
この写真は事故の約1年後にロボットを使って撮影されました。
この場所はもし私たちがいたら2分間のうちに死んでしまうほど、放射線量が高くなっています。
これは『象の足』がいまだに極めて高濃度の放射線を発しているという事実を証明しています。
さて私たちはスリーマイル、チェルノブイリともに災害発生から2年以内に撮影された炉心の状況をこの目で確認しました。
さて、私たちはチェルノブイリの原子炉力災害によりヨーロッパ全域が深刻な放射能汚染に見舞われたという事を知っています。
アレクセイ・ヤブロコフ博士は、チェルノブイリが放出した放射性物質によって100万人以上が死亡したと計算しました。
これに対し国際原子力機関(IAEA)が試算した死亡者の数は約40人です。
きわめて大きいくい違いが、そこにはあります。
それでは福島第一の問題に移りましょう。
〈3に続く〉
http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education//world-in-danger
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原発の継続については人間の安全を深刻に脅かすということは、ガンダーセン氏が繰り返し指摘してきたことです。
ガンダーセン氏が指揮した事実は、福島第一原発の事故後、数年を経て国内研究者の手で現実になっていることが次々証明されています。[<原発事故>屋内汚染 原発距離と比例せず - http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201606/20160602_13020.html など]
そして今、原発は後始末にも莫大なカネがかかるという事が顕在化して来ています。
河北新報の記事[<原発賠償>東電、政府に負担要請へ - http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201607/20160729_63053.html ]を始め、福島第一原発の事故収束・廃炉作業の費用が国民に巡ってくることになりました。
そしてすでに1兆円以上の国費をつぎ込んだもんじゅ。この解体・廃炉作業についても国民が負担することになります。
日本の人口1億2,000万として、もんじゅには国民はすでに一人当たり1万円の支払いを求められたわけですが、今後解体・廃炉のためにそれ以上の支出を求められる可能性があります。
黙っていたら、自分たちに対する理不尽な要求が次々に正当化されることになりかねません。
それでも失った金は、働けば再び手に入れることもできます。
しかし命や民主主義は、そういうわけにはいきません。
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【 シリア、ホワイト・ヘルメットの最前線 】《3》
アメリカNBCニュース 2016年9月16日
2014年7月27日アレッポ、空爆の後生存者の捜索をするホワイト・ヘルメットのメンバー。(写真上)
2016年3月8日イドリブ、「バシャル・アル・アサドがこの国を出ていくまで、シリア国内の戦争は終わりません。」ホワイト・ヘルメットの21歳のオマール・アルワンがこう語りました。(写真下・以下同じ)
2016年5月14日イドリブ、ホワイト・ヘルメットが行なっている戦闘地域で身を護るための特別授業に参加する子供たち。
http://www.nbcnews.com/slideshow/angels-front-line-syria-s-white-helmets-n649691