ホーム » エッセイ » 【 日本から米国へのプルトニウム移送、2隻の武装英国船で 】
日本が行なっている核燃料再処理事業は、核拡散問題における世界の脅威
たとえ六ヶ所村再処理施設が稼働を開始しても、日本の核廃棄物問題の状況は改善されない
山口まり / AP通信 3月21日
2隻の英国船籍の輸送船の内の1隻『パシフィック・イーグレット』が3月21日月曜日、東京の北東にある東海村に着碇しました。
この船は日米両政府の相互協約に基づき、秘匿されていた数十発の核爆弾が製造可能な量のプルトニウムを日本から米国の核貯蔵施設に移送します。
日本の共同通信社はパシフィック(太平洋)核輸送株式会社が運営する2隻の装甲船が、国立研究開発法人である日本原子力研究開発機構の本拠地がある東海村の沿岸に3月21日未明に到着したと伝えました。
日本の市民グループもその事実を確認しました。
プルトニウムが充填された特別なキャスク樽を輸送船に積みこむ作業は数時間かかります。
輸送船は2隻とも砲その他の防御武器を備えています。
『パシフィック・イーグレット、パシフィック・ヘロン』(イーグレットもヘロンもともに鷺を表す単語)の両船ともパシフィック(太平洋)核輸送株式会社が運営するものですが、2014年に日本政府が行なった誓約に基づき、日本国内にあったプルトニウムの331キログラムをアメリカ、サウスキャロライナ州にあるサバンナ川核貯蔵施設に移送します。
このプルトニウムは大部分は英国から、そして少量を少し米国とフランスから提供されたものであり、これまで日本国内における研究のために使われました。
日本の報道各社と国内の国際的反核団体によると、パシフィック・ヘロンが沖合で待機中、パシフィック・イーグレットがまず着岸し、プルトニウムの積み込みを行っていたようだと語りました。
日本の当局は警備上の理由から詳細の確認を
発電用の燃料としてプルトニウムを使うという再処理事業への日本の取り組みと、そのための備蓄は、安全保障上の理由すら、国際社会の懸念の的になってきました。
11メートルトンに加え36トンのプルトニウムが英国とフランスでの再処理を終え、建材日本に返還・移送するための準備が進められていますが、この量は核爆弾6,000発が製造可能な量です。
今回の移送は3月下旬にワシントンで開催される核セキュリティ・サミットの直前のタイミングで行われ、日米両国の核拡散防止努力に対する取り組みを世界に向けてアピールする目的もあるものと見られます。
原子力発電の過程でプルトニウムを生み出し続ける核燃料再処理計画については、日本と中国が実際に行い、韓国もまた強い関心を寄せています。
しかしアメリカ政府はこれまでも度々、核燃料再処理計画は安全管理と核拡散の上で危険が大きいとして懸念を表明してきました。
アメリカの環境保護団体であるサバンナ川核貯蔵施設監視団は、プルトニウムを安全に保管する必要性は認めるものの、外国で作りだされたプルトニウムまでアメリカの国土に建設された施設に運び込まなければならないのか、疑問を感じるという声明を発表しました。
月曜日に発表されたこの声明の中で、監視団の責任者であるトム・クレメンス氏はアメリカ政府に対し、
「核セキュリティ・サミットにおいて、核問題においてアメリカが本来取るべき立場を確認するとともに、日本が行なっている再処理事業が核拡散問題において世界の脅威となっている現実を指摘し、日本に再処理事業を中止するよう厳しく迫るよう」求めました。
日本は1990年代初頭、フランスの国有企業アレバ社とともに大規模な再処理施設の建設に着手しました。 しかし技術開発は思うように進まず、繰り返されたトラブルによりこのプロジェクトはその都度大幅に遅れることになりました。
昨年11月、安全基準とより詳細な点検を行うため、再処理施設の操業開始は2018年まで延期されました。
専門家は次のように指摘しています。
日本が使用済み核燃料のリサイクル事業を完成させる望みはほとんどなく、たとえ六ヶ所村再処理施設が稼働を開始しても、使用済み核燃料や備蓄プルトニウムの処理問題の状況改善にはつながらないと。
プルトニウムを核燃料として使用する高速増殖炉『もんじゅ』の計画は20年以上計画に遅れが生じ、公平に見てその実現は不可能との大勢の見方によりその事業は廃棄寸前にまで来ており、従来の原子炉でウランとプルトニウム混合物であるMOX燃料を燃やす別の計画も福島第一原発の事故以降休止状態が続いています。
日本の国内の稼働可能な43基の原子炉のうち、現在稼働しているのは2基だけです。
http://bigstory.ap.org/article/d01e23d54d3a41888470399b086cb58f/2-british-ships-arrive-japan-carry-plutonium-us