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福島第一原発の本当の状況について、きわめて貧弱な情報しか提供されていない
福島第一原発の設計、それは第二次世界大戦後のアメリカの産業技術を支配していた傲慢さの現れ
メルトダウン・メルトスルーから使用済み核燃料プールの火災へ!国の破滅が眼前に迫っていた3.11
アーニー・ガンダーセン / フェアウィンズ 3月12日
3基の原子炉が同時にメルトダウンするという、人類が初めて経験した巨大事故が福島第一原子力発電所において発生してから3年という月日が経ちましたが、この間福島第一原発は今いったいどういう状況にあるのか、きわめて貧弱な情報しか提供されてきませんでした。
カネ、権力、そして科学技術に関する傲慢さは、日本国内はもちろん北半球で暮らしている人々の生活や生命、健康よりも常に優位に立ち、この間福島第一原発からは途切れることなく放射性物質が放出され、環境中のいたるところに入り込んでしまいました。
福島第一原発の事故は産業事故の歴史において、最悪の例を作りだしました。
福島第一原発の原子炉を廃炉にし、発電所そのものを解体し去るには数十年の歳月を要します。
そしてこの地一帯の汚染の解消は21世紀だけでは終わらず、どんなに早くても22世紀までずれ込むことになるでしょう。
今回はアーニー・ガンダーセンが、事故から3年が過ぎた福島第一原子力発電所の真実の状況について、分析を行います。
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フェアウィンズのアーニー・ガンダーセンです。
人為的な要因が重なり、福島第一原発の3基の原子炉をメルトダウンさせる事故が起きてから3年の月日が過ぎましたが、この間提供された情報というものは本当にわずかなものでした。
なぜこのような悲劇が起きてしまったのでしょうか?
関係する世界各国の政府は、この事故の計り知れない影響の大きさについて口を閉ざし続けています。
そし多くの大手メディアが真実の隠ぺいに加担している現在、数多くの疑問と質問が電話、電子メール、そして手紙によってフェアウィンズに寄せられ続けています。
日本の人々、特に子供たちの安全は確保されているのでしょうか?
避難を強いられていた人々は、自宅に戻ることが出来たのでしょうか?
海は汚染されなかったのですか?
残念なことに、答えはすべて『ノー』です。
そしてもう一つの疑問、今後福島県全域、そして日本はどういうことになるのか?
その大きな問題が残されているのです。
それではまず、3基のメルトダウンの引き金が引かれてしまった時点に立ち返ってみましょう。
福島第一原発の建設が始ろうとしていた1966年当時、設計を行っていたアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社は後の福島第一原発を運命づける、ある重要なデザイン上の決定を行いました。
日本の地震のおよび津波の専門家からの抗議にも関わらず、GE社は福島第一原発の建設予定地であった崖の上の台地を、海抜約8メートルの高さにまで削り取ることを決定したのです。
当時GE社は、日本で津波が引き起こした数々の災害の歴史について把握しており、この点についての知識を持つ科学者はGE社の決定に異議を唱えました。
しかしGE社はこの意見を退け、崖を削り取り、代わりに高さ5メートルの防潮堤を建設することにしたのです。
日本の2千年に及ぶ歴史には、太平洋岸に押し寄せる津波が40メートル前後の高さに達する可能性がある事が記されていましたが、GE社はその可能性を排除してしまったのです。
なぜ、GE社はそのような決定をしたのでしょうか?
私はその場にいたわけではありませんが、おそらくは福島第一原発の建設、そして完成後の運営費用を削減することが目的であったと考えています。
その決定は、第二次世界大戦後のアメリカの産業技術を支配していた傲慢さの現れでした。
アメリカは第二次世界大戦において、シンプルなデザインの兵器や車両を大量生産する物量作戦によって勝利を得ました。
アメリカの産業界の技術者たちは、この考え方があらゆる問題の答えになると信じていたのです。
彼らは日本人に対して、原子力の平和利用という考え方の普及に乗り出し、広島、長崎の悲惨な体験と原子力発電を切り離すべく大々的にキャンペーンを始めました。
福島第一原子力発電所の事故は2011年に安全管理の問題が突然に引き起こしたものなどではないのです。
1号機のメルトダウンが証明して見せたように、世界中の原子力監督・規制機関は、ゼネラル・エレクトリックのマーク1型沸騰水型原子炉が、操作が複雑で、安全上も問題がある事を把握していました。
それでは高さが15メートルの津波が福島第一原発を襲った2011年3月11日に移動しましょう。
日本の科学者が1960年代にその到来を恐れた巨大津波は、高さが5メートルの防潮堤を楽々と乗り越え、東北の太平洋岸に建設された福島第一原発に殺到しました。
原子炉の冷却ポンプが破壊され、非常用の電源装置も全く稼働できなくなました。
冷却水が無くなった原子炉を待つものは、破滅でしかありませんでした。
稼働中の原子炉1号機、2号機、3号機が次々と爆発し、北半球全域に向けて放射性物質を噴き上げました。
溶けた核燃料が圧力容器、原子炉格納容器の底を突き破るメルトスルーが起き、原子炉がある地上・地中一帯が取り返しがつかない程汚染されてしまいました。
稼働中の他の3基とは異なり原子炉の炉心が外に取りだされていた状態の4号機原子炉建屋でも爆発が発生、ここでは使用済み核燃料プール内の水が大量に蒸発し、大量の核燃料火災発生の直前にまで至りました。
4基の原子炉の爆発によって環境中に放出された放射性セシウム、ストロンチウム、放射性ヨウ素、そしてホットパーティクルは東日本・北日本全域に拡散しましたが、折から吹いていた北西風によって海上に運ばれ、その結果これらの放射性物質が北半球の全域で観測されることになりました。
〈 つづく 〉
http://fairewinds.org/nuclear-power-profits-risks/
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これまでご紹介してきた海外の報道によって、福島第一原発の状況が私たちの想像をはるかに超えるひどい状況にある事が伝わってきました。
ただ海外報道の場合、想定している読者は飽くまでアメリカ国民、英国国民であるため、実情が事細かに記されている訳ではありません。
それを伝えているのが東京新聞や河北新報などの『地方紙』の頑張りです。
今日も下記の記事を読んで、これまで英国のガーディアン紙やアメリカNBCニュース(ロイター通信)などが集中的に伝えてきた福島第一原発の作業員の問題が、私たち自身の身に迫る危険な問題だという事を痛感しました。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201404/20140410_63010.html
原発推進を標榜するY新聞やS新聞、そしてニューヨークタイムズが伝えたように( http://kobajun.biz/?p=16429 )安倍政権に浸食されてしまったNHKなどには期待しようのない地方紙の切実な報道に、私たちは目を向ける必要があると思います。