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「 福島第一原発近くで生まれた耳の無いウサギ 」
アメリカCNNニュース 2011年7月10日
アメリカの有名な物理学者であるカク・ミチオ博士は、汚染の実態は東京電力が発表したもの2倍である、とその隠蔽を指弾します。
そして福島第一原発の近くでは、7月に耳のないウサギが生まれました。
これは偶然なのでしょうか?
この原因は遺伝子が傷つけられてしまった事によるものですが、博士は「人々に事故の事を思い起こさせ、記憶に刻みつけるために生まれて来た」と語ります。
博士は現在ニューヨーク私立大学の教授で、『未来の物理学』他の著作があります。
(以上CNN)
( 以下は2011年7月にbigthink.comに掲載されたカク・ミチオ博士によるコメントの翻訳です。番組の中で博士がCNNのインタビューに対し、説明しているものとほぼ同内容になっています。)
〈1〉石で築かれた壁の向こうに真実を隠し、地面をボーリングして穴を掘ったほどに低い数値を発表し続けてきた東京電力も、アメリカの科学者たちが指摘してきたとおり、結局は3基の原子炉において、限りなく100%に近いメルトダウンが起きていることを認めざるを得なくなりました。
東京電力はメディアに対して非常に粗末なデータしか提供しませんでしたが、欧米の科学者たちはコンピュータの上で独自の解析を行い、今回の事故はこれまで日本政府が発表してきたものよりも、はるかに、はるかに悪い状況にあると結論づけました。
最新の数値は衝撃的なものですが、これまで米国内で行われてきた評価と一致するものです。
〈2〉3基の原子炉の炉心が100%近いメルトダウンを起こしたのだとしたら、なぜチャイナ・シンドローム型の事故が3か所で起きなかったのでしょうか?
なぜ3か所同時にチェルノブイリと同じ事故が起きるのを目撃しなかったのでしょうか?
その答えは、こうです。
最後の最後の瞬間に大量の海水が三基の原子炉の中に注ぎ込まれ、溶けていたウランが格納容器を突き破って大量の放射性物質を大気中に放出するのを防いだのです。
東京電力は原子炉を海水で水浸しにすることに抵抗しました、原子炉として使い物にならなくなるからです。
事故の後も使い続けようとした証拠です。
しかし、現場の原子炉のオペレーターは直接の命令に従いませんでした。彼は海水の注入を遅らせるように東電本社の命令を受けていました。
彼はこうした上の命令に従わず、困難を排して海水の注入を行いました。
彼のことは英雄として考慮する余地があります。もし彼が行った処置が遅れていれば、想像を絶する大惨事になっていた可能性があります。
〈3〉東京電力は圧力に屈する形で、当初予測していた2倍の約700兆ベクレル(チェルノブイリの事故で放出された放射線の量の約20%にあたる量)の放射線が(6月末までに)漏れ出していることを認めました。
東京電力は最後まで、福島第一原発の事故はスリーマイル島の事故よりも小さなものだと主張し続けた挙句のことでした。
〈4〉原子炉は現在も放射線を放出し続けています。
この問題は始めはミステリーでした。
なぜなら炉心のメルトダウン状態について安定的な状態にあるなら、溶けたウラン燃料に直接水をかけることは不可能だからです。
このことから明らかなのは、メルトダウンした核燃料は、格納容器そのものも溶かしてしまっている、という事です。
放射能汚染が止まらないのは、この外部に露出してしまっている溶け落ちた核燃料と水との接触が主な原因と考えられます。
〈5〉5か所の避難区域以外のホットスポットの存在は、さらなる住民の避難につながっています。
ある地区では8,000人の子供たちが線量計を常時携帯させられていますが、校庭の放射線量が通常の20倍に達しているためです。
何事にも黙って耐え忍ぶという日本の伝統に反し、この点については子供たちの両親は政府と電飾会社を厳しく批判しています。
〈6〉原子力発電所のクリーンアップにかかる年数については、異なった見解が出されています。東芝(原子力発電事業を継続)は10年でできると言いますが、日立製作所(原子力発電事業からの撤退を準備中)は30年かかるとしており、またある原子力技術者は100年を要する可能性がある、と語っています。
考えても見てください。格納容器の底が抜けたりしなかったスリーマイル島の事故でも、14年の歳月を必要としたのです。
チェルノブイリの事故からは25年たちましたが、事故は収束していません。こうした事実から考えて、福島第一原発の事故の収束には30年から100年かかる、という予測は不当なものではありません。
〈7〉東京電力は年度内に冷温停止、つまりは原子炉を沸騰点以下の温度に下げたいと考えていますが、現在それが不可能なのは明らかです。
同社は早くても来年初めになることを認めています。
実際には3基の原子炉は現在、時限爆弾のような存在なのです。冷温停止が達成される以前に再び大地震が起きたり、施設が破壊されたり、作業員がいなくなったりすれば、また初めから大事故が繰り返される恐れがあります。
再び大事故が繰り返されないようにするための、時間との戦いが続いているのです。
ドイツ、スイスが原子力発電からの撤退を宣言しているのに対し、日本はこの問題を先延ばしにしました。
福島第一原発の事故の影響は、今後も原子力産業界を揺るがし続けることになるでしょう。
http://inthearena.blogs.cnn.com/2011/06/21/fukushima-still-a-ticking-time-bomb/
http://bigthink.com/ideas/38924
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今週、アーニー・グンダーセン氏をご紹介したので、カク・ミチオ博士をご紹介したくてこの原稿を掲載しました。
カク博士は福島第一原発の事故直後からCNNやABCの番組にたびたび出演し、福島第一原発の事故がいかに危険か、そして危機が軽減などされていない ことを繰り返し訴えて来られました。
しかし何という事なのでしょうか、廃炉まで最長なら100年。
事故を起こした人間も、汚染されてしまった子供たちも、もう生きてはいない。
そんな時間がかかってしまうとは…
まさに絶句、です。
私たちは電気を不自由なく使う、そのためだけにこの国の将来の世代にとんでもないツケを回さなければならないのです。
私は太平洋戦争を引き起こした当時の日本人について、なぜ抑止できなかったのか、と批判的に見てきました。
無謀な戦争を引き起こしたために、600万人もの犠牲者を出し、広島、長崎を文字通りの地獄に変え、旧満州では人々がなぶり殺しの目に遭い、北方 領土・樺太の南半分など国土も失い、軍需用にしようと国内の広葉樹を切り倒して片っ端から杉の木を植え、今日の花粉症の大原因を作ったことまで、 数限りない禍根を残しました。
しかし、福島第一原発の事故は、私たちの世代から過去の日本の歴史を批判する権利を奪ってしまいました。
ヘレン・カルディコット博士も言っておられましたが、『良識ある』専門家の方々は、
「6基の原子炉がまとめて一緒に危機に陥り、うち3基の原子炉でメルトダウンが起きる。まさかそんなことをこの目で見るとは思っても見なかった」
のではないでしょうか?
そのことについて、カク・ミチオ博士は
「それがどれ程危険なことなのか、日本の人々はよくわかっていないようだ。」
と話しておられます。
先日、NHKのクローズアップ現代を見ていて、女性は卵子を生まれたときから持っていて、以後たった一個であっても増えることはない、という事を 知りました。
そして加齢とともに卵子も老化し、不妊や出産時の事故につながることも知りました。
私はこの番組を見ていて、この春、花粉症の季節の子供たちがものすごく心配になってきました。
今年のスギ花粉には、大量の放射性物質が付着していることが昨年のうちに確認され、その飛来が懸念されています。
そして放射性物質が呼吸器系に入りこんだら、消化器系とは異なり、一生体外には排出されない可能性があります。
放射線は生きた人間の設計図である遺伝子を、ずたずたにしてしまうことが知られています。
女性が持って生まれた卵子が一切取り換えのきかない物なら、少女や未婚の女性はいったいどうなってしまうのでしょうか?
ここにも対策を急がなければならない、大きな問題があります。
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【 最新の人員・給与削減プランに破れかぶれになるギリシャ国民 】
アメリカCBSニュー ス 2012年2月15日ギリシャの緊縮政策は、負債に苦しむ国の人々に怒りと嘆きの的になりました。
暴力的を伴う抗議の日々が続いていますが、それとてEUが提示する救済策 の条件受け入れを議会に思いとどまらせることはできませんでした。
そして今、この国は大規模な人員削減を迫られています。
政府関係のすべての部門が閉鎖され、15,000人の政府職員が職場から放り出されることになりそうです。
今回の危機は一人の女性を衝動的な自殺行動に駆り立てました。
しかし、救済策にはすでに破たんしてしまっているギリシャの体制を、再生させるチャンスがあるかもしれません。
CBS特派員のエリザベス·パーマーがお伝えします。
ギリシャの救済プランは危機に瀕しているのでしょうか?
人員整理のための最新の話し合いは、一部の人々を絶望の淵に追い込みました。
アテネ中心部では水曜日、仕事を失った直後一人の若い女性が飛び降り自殺をしそうになりました。
ランブロジア・ハリクレイアは自分の職場のバルコニーの手すりの上に上り、ここから飛び降りてやる、と周囲を脅しました。
彼女は障害児を持つ母親ですが、閉鎖が予定されている職場があるオフィスビルの手すりの上に乗り、飛び降 る姿勢を見せました。
彼女を助けようとする人々が、問題はすぐにも解決できる、と説得を試みましたが、彼女はそんなのはうそだとなじるばかりでした。。
断崖にギリシャの人々を追いつめることを余儀なくされた原因の一つは、腐敗が蔓延し、誰もが縮小の必要性を認めざるを得ない非効率的なギリシャ政府の姿です。
数十年間、政治家は票と引き換えに、むやみやたらに職場を作り、気前よく手当などを支給し、その結果国家財政は破綻してしまいました。
「私たちはみんな、今何をすべきか知っています。」
ギリシャの若い企業家の一人であり、懸命に働くアポストロス・アポストラキスはこう語りました。
「問題は改革を行うための政治的リスクを、誰が取るのか?という事なのです。個人的利益には目もくれず、ただひたすら国のために働く政治家が必要なのです。」
アポストラキスはインターネット取引会社の共同経営者です。
彼は戦力として頼みにしていた240人の人員整理を行わなければなりませんでした。
彼の企業の従業員のほぼ半分に当たり、解雇の際も、解雇の後も困難に見舞われています。
かつての彼の帰艦店舗の前で、彼は今後あり得る将来について語りました。
彼は今回のギリシャの経済危機は大崩壊であると同時に、人々にすべてを一からやり直すことを覚悟させる良い機会だと話しました。
「ギリシャ社会の仕組みを再構築し、人々が住みやすい社会にしなければなりません。」
しかし、その費用はどうするのでしょう?
結局ランブロジア・ハリクレイアはバルコニーの手すりの上ではない場所で、話し合いをすることを受け入れました。
自殺率は経済危機が始まって以来、倍増しました。
ランブロジアは100万人を超える失業者の仲間入りをしなければなりません。