ホーム » エッセイ » 【 福島第一原発2号機・桁はずれの放射線量を確認、廃炉作業の先行きは?! 】
桁はずれの放射線量が判明、東京電力の事故収束・廃炉作業の行方に暗雲
極めて危険な高い値の放射線の存在が、福島第一原発を廃炉にする取組を困難なものにしている
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2017年2月3日
約6年前福島第一原子力発電所の3基の原子炉がメルトダウンする事故を引き起こして以来、破壊された原子炉のひとつでこれまでで最高となる放射線量が測定される事態が明らかになりました。
この施設の所有者である東京電力によると、3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、メルトダウンする事故を引き起こした福島第一原発の3基の原子炉のうちの1基、原子炉2号機内の一時間当たりの空間放射線量が530シーベルトに達していることが判明しました。
福島第一原発では現在数千人の作業員が発電所全体の事故収束・廃炉作業を行っており、完了まで40年を要するとされていますが、それがどれ程困難なものであるか、今回計測された桁外れの数値はその規模の巨大さを具体的に表現するものです。
今回計測された放射線量について専門家は『想像もできない』数値だと絶句していますが、2号機の同じ場所の計測数値は前回は73シーベルトであり、一気に数値が跳ね上がりました。
人間が一度1シーベルトの放射線を被ばくすると放射能疾患(放射能障害、放射線病)を引き起こし、ひどい吐き気に襲われます。
5シーベルトの放射線被ばくをすると1ヵ月以内に50%の割合で死亡します。
そして一度でも10シーベルトの被ばくをしてしまえば、ほぼ100%の割合で数週間のうちに死亡します。
東京電力は画像分析により、原子炉2号機の圧力容器の下部の1か所で、金属製のグレーチングが脱落し穴が開いた状態になっていることを確認できたことも明らかにしました。
幅1メートルほどこの穴は、津波が福島第一原発のバックアップ冷却装置を完全に機能停止に陥った後、超高温状態になって溶け出した核燃料が原子炉の底を突き破って流れ落ちたことによりできたと考えられています。
AFP通信の取材に対し、東京電力の広報担当の山岸氏は次のように答えました。
「予備の冷却装置まで破壊された後、炉心溶融が発生して溶けた核燃料が原子炉格納容器に穴を開けたのだと考えられますが、現段階ではすべて仮説に過ぎません。」
「私たちは今回の画像は非常に役立つ情報を提供してくれたと考えています。だとしても内部の状態が実際にどのようになっているか、さらに詳しい調査が必要です。」
極めて危険な高い値の放射線の存在は、問題なく福島第一原発を廃炉にする取組を困難なものにします。
東京電力が原子炉2号機の格納容器内に送り込む予定にしている遠隔操作ロボットは、累積線量が1,000シーベルトまで耐えられるように設計れています。
これは正常に動作できる時間が2時間未満に限られるという事を意味しています。
東京電力は遠隔操作のロボットがたとえ撮影が出来なくなった後でも、ある地点から別の場所に移動させることにより放射線量の変化を確認できる点まだ役に立てられると語った後で、放射線が原子炉の外側にまで漏れている事実は無いと語りました。
福島第一原発の現場で事故収束・廃炉作業にあたる東京電力とその協力会社は、最もひどい損傷を受けている3基の原子炉において、溶け落ちた核燃料の所在と状態を確認できていません。
これを安全に除去する作業は原子力発電が実用化されて以来、前例のない困難な作業になります。
溶けた核燃料の塊は損傷した原子炉の格納容器の底に堆積したと考えられていますが、放射線量が桁外れに高いため、エンジニアがその量や状態を正確に計測することを阻んできました。
1月末東京電力は、原子炉2号機の底の部分でウラン核燃料棒が溶け落ちたことによってできたと見られる、暗い色の物質の撮影に成功してその写真を公開、事故発生以来初めて一歩前進しました。
2016年12月日本政府は福島第一原発の事故収束・廃炉作業を完了させ、周辺地域をすべて除染し、被害を受けた人々に補償金を支払い、さらには放射性核廃棄物をすべて安全に保管するために必要な費用総額が21兆5,000億円に達するとする見通しを公表しました。
この金額は2013年に最初の資産を行った際の倍の金額です。
https://www.theguardian.com/environment/2017/feb/03/fukushima-daiichi-radiation-levels-highest-since-2011-meltdown
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【 トランプが入国を禁じた7カ国の人々の暮らし 】《①シリア》
絶え間ない紛争と生活の困窮にあえいでいる人々に、トランプ大統領から入国を禁止する命令が突きつけられました
米国NBCニュース 2017年1月30日
1月27日金曜日、トランプ大統領はテロリズム発生への懸念を理由に、イスラム教徒が多数を占める7つの国からアメリカへの入国を一時的に制限する大統領令を発しました。
国連は2011年にバシャル・アル・アサド大統領の支配に対する抗議行動に端を発した内戦により、これまで250,000人が死亡したと報告しました。
アサド政権は現在も続く内戦でロシアとイランから軍事援助を得ていることもあり、優勢を保っています。
2016年4月26日、シリア・アレッポ市内の反政府勢力に対する空爆で負傷し、救助される青年。(写真上)
2016年9月11日、政権側の大規模攻勢の直前、空爆が行なわれた地区から子供たちを避難させる人々。(写真下・以下同じ)
2016年末、長年アレッポ市東部を勢力下においてきた反政府勢力に対し、ロシア軍などを後ろ盾にした政権側が大規模な攻勢をかけ、大量の市民が脱出する事態となりました。
2016年12月17日トルコに脱出した後、シリア国内に残っている家族の到着を待ち続ける子供たち。
http://www.nbcnews.com/slideshow/conflicts-challenges-faced-7-banned-nations-n714296