ホーム » エッセイ » 【 福島第一原発の犯罪現場を検証する : 3号機 / その原子炉格納容器で起きていること 】〈前篇〉
機能しなかった環境と人間を守るための設計、新たなトラブルが示唆するものとは?
東京電力は国民一般に対し、3号機の本当の状況を明らかにしているだろうか?
フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 2月19日
CSI: Fukushima from Fairewinds Energy Education on Vimeo.
福島第一原発の事故において問題なのは、東京電力が事故を起こした張本人でありながら、あたかも史上最大の産業事故の被害者であるがごとき振る舞いに終始していることです。
フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションのアーニー・ガンダーセンは、福島第一原発の3号機で新たに明らかになった放射能漏れについて分析を行い、東京電力がこの問題について厳格な対応を行なおうとはしていない、その怠慢について検証します。
原子炉格納容器は放射線をその中に閉じ込めることにより、付近で暮らす人々と周辺環境に放射能の被害が及ばないように設計されています。
フェアウィンズのアーニー・ガンダーセンです。
原子炉格納容器は付近で暮らす人々と周辺環境に放射能の被害が及ばないようにするための、最後の防衛線として設計・製造されています。
しかし福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンしてしまった事故では、ジェネラル・エレクトリック(GE)マーク1型沸騰水型原子炉は放射線を封じ込めることが出来ず、設計製造に問題があったことが明らかになりました。
福島の悲劇が発生した当初からフェアウィンズは度々原子力発電の格納容器の問題を取り上げ、以来3年に渡ってこの問題について議論を続けてきました。
この福島第一原発が放射線をその中に封じ込めておくことに失敗した件については、ニューヨーク医科大学における私の詳細な解説がお役にたつと考えています。
2014年2月初旬、東京電力は原子炉3号機において、新たな放射線の漏出個所を発見したとする発表を行いましたが、その時に公表されたデータは整合性の取れない奇妙なものでした。
まずはじめにこの問題に関する東京電力の公開資料を見てみましょう。
1.東京電力は福島第一原子力発電所、原子炉3号機内のロボットシステムが水漏れを感知したと公表しました。
2. ロボット・カメラがとらえた映像は、3号機が置かれた床を横切って人間の足幅ほどの水が流れ出している様子をとらえていました。
3.この水漏れが発見された当初、東京電力は雨水であると主張しました。
4.その後東京電力は水温を測り、摂氏20度であることを確認しました。
当時の気温は摂氏7度であり、その時の雨水が20度であるという事はあり得ない話でした。
5.次に東京電力はこの水を検査し、高濃度の放射性物質を含んでいることを確認しました。
温度が高く、高濃度の放射性物質を含んでいる以上、単純に考えても東京電力はこれを雨水だとは主張できなくなりました。
この問題は法科学的に検証する必要がありそうです。
水温は漏れ出している水の正体をはっきりさせるためのリトマス試験紙の働きはしません。
雨はどこにでも降り、何か熱いものに触れれば簡単に水温が上昇します。
同じことは、放射性物質についても言えます。
原子炉3号機は爆発事故を起こし、広範囲に放射性物質をまき散らしました。そして東京電力は未だに原子炉格納容器内にある爆発物の破片などを除去できずにいます。
従って3号機の原子炉建屋内に入り込んだ雨水は、格納容器から漏れている放射性物質を他に拡散してしまう働きをすることが考えられます。
原子力発電所の仕組みを考えれば、原子炉格納容器内に侵入した雨水が各部にある放射性物質を拾い集め、大量の放射性物質によってそのまま周辺環境の水資源や環境を汚染してしまう事はありうることです。
まず指摘しなければならないのは、東京電力が原子炉3号機周辺で雨水の漏出を公の場で認めたという事は、とりもなおさず放射性物質が周辺の水資源や環境中に漏れ出している危険性を明確に認めたということになるのです。
次に確認された水は温度が高く、放射能によって高濃度に汚染されているという事実から、この水が格納容器内の破片やがれきと接触したか、あるいは原子炉炉心の冷却を行うために常時送り込まれている冷却水と混じり合った可能性が考えられます。
ここで考えなければならないことがあります。
事故発生から3年が経過した現在も、各原子炉の格納容器、そして原子炉の炉心、さらには溶け落ちた核燃料が再び過熱して核反応を起こさないように冷却を続けるため、福島第一原発では毎時4トンもの水が送り込まれているのです。
第3の問題は、東京電力が考える以上にここには多くの問題が存在している可能性があります。
漏れ出しているこの水はいったいどこから来たのでしょうか?
東京電力はこの水は主蒸気分離バルブが置かれている部屋から流れ出していると主張しています。
この弁は事故が発生した場合に閉まるように設計されている、巨大なバルブです。
この場所から原子炉の冷却水が漏れることは、設計上あり得ないことなのです。
なぜこの場所から水が漏れているのか、ジェネラル・エレクトリック(GE)マーク1型沸騰水型原子炉の設計図を見ながら検証して行きましょう。
〈 後篇につづく 〉
http://www.fairewinds.org/csi-fukushima/
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【 ノルマンディ上陸作戦70周年 】〈後篇〉
アメリカNBCニュース 6月5日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
写真左 : 1944年8月21日、ノナン・ルパンに作られたドイツ軍兵士の捕虜収容所と警備をする連合軍兵士。
写真右 : 2013年8月24日、かつて捕虜収容所があった場所にそのまま残る農家。(写真上)
写真左 : 1944年6月6日、連合軍が上陸したジュノービーチから英国本土に送られるため行進する、捕虜になったドイツ軍兵士。
写真右 : 2013年8月23日、ジュノービーチで日光浴をする女性。(写真下・以下同じ)
写真左 : 1944年6月6日、激戦地のオマハビーチ(ヴィエルヴィル・シュルメール)に上陸するアメリカ軍増援部隊。
写真右 : 2013年8月23日、ヴィエルヴィル・シュルメールの海水浴客。
写真左 : 1944年6月6日、上陸用舟艇からオマハビーチに上陸するアメリカ軍部隊。
写真右 : 2013年8月22日、ランディング・セールクラスのレースに参加する観光客。
写真左 : 1944年6月5日、上陸用舟艇に乗り込むためイングランドのウェイマスを行進するアメリカ軍レンジャー部隊。彼らはこの後、オック岬のドイツ軍陣地を攻略する任務を与えられていた。
写真右 : 2013年7月13日、イングランドのウェイマスの港近くを歩く観光客。この港はノルマンディ上陸作戦の、連合軍艦艇の集積基地のひとつでした。
写真左 : 1944年6月8日、破壊されたオック岬のドイツ軍陣地に立つ星条旗。上陸する連合軍兵士の命を守るため、この重砲陣地の攻略は作戦の要でしたが、アメリカ軍レンジャー部隊が到達したときには、ドイツ軍の重砲舞台は内陸に移動した後だったのです。
写真右 : 2013年8月22日、戦場跡の掩蔽壕を見学するイタリア人観光客。