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【 混乱が続く日本の電力事情と再生可能エネルギー、今後の展開は? 】

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予想をはるかに上回る事態の進展により、混乱状態が続く日本の再生可能エネルギー開発
巨大発電施設頼ることなく、必要とする場所で適切な規模の発電・売電が行なわれる時代が来る
再生可能エネルギーの可能性ではなく、補助金目当てのペーパー事業が排除されることになる

AP通信 10月30日

AOL NYC01
この国がクリーンエネルギー社会へ移行することを信じて投資を行った人々同様、大場純一氏もまた怒れる人間のひとりです。
コンサルタント業を営む大場さんは現役引退後の収入の柱とすべく九州地方にある自宅に隣接するかつて水田だった場所に、道義的にも何ら恥じることの無い投資として約2,000万円をかけて最大容量50キロワットの太陽光発電システムを設備しました。

しかし大場さんが発電した電気を販売する先であるべき九州電力は、最近になって同社に対する新規の電気の販売申し込みの受け付けの一時中止を発表したのです。
同時期、日本国内の4社の電力会社も同様の措置を取ることを発表し、残る2社は一部についての制限を発表したのです。
電力各社は自然エネルギー等による新規の売電申し込みが殺到している事態に対応しきれないと語り、日本の野心的な再生可能エネルギーの開発戦略の先行きに不安が生じる事態となっています。

さらに太陽光発電などの場合常時安定した出力を得られない点と、蓄電設備の不足が問題になっています。

「九州電力ショックは、ドミノ式に拡大しています。」
大場さんがこう語りました。
「電力会社日本政府が互いに共謀し、国家レベルの詐欺を行っているようにしか見えません。」

チェルノブイリ以降最悪の原子力発電所事故となった福島第一原子力発電所事故の悪夢から一日も早く立ち直り、そして世界最高レベルの再生可能エネルギーの実現を目指し、日本は空前の自然エネルギー開発ブームに見舞われました。
しかしその発電コストが非常に高くつく上、各電力会社が福島第一原発の事故以降停止していた原子炉の再開に向け積極的に動き出した現在、自然エネルギー開発は無残な失敗に終わろうとしています。
日本における自然エネルギーの供給過剰状態は、ドイツとスペインがかつて経験したものでした。

太陽光4分ごと
九州電力管内の太陽光発電設備の接続申請は今年3月72,000件に跳ね上がり、前年度の年間トータルにほぼ匹敵する史上空前の件数となりました。
翌4月1日から再生可能エネルギーによって発電した電気の買取価格が1Kwhあたり36円から32円に引き下げられる事を受け、何とか3月中に手続きを完了させようと申し込みが殺到したためでした。
日本における発電コストは、通常1Kwhあたり23円前後です、
現在申請済みのシステムがすべて設置完了したとすると、日本の電気使用総量の8%が太陽
光発電によって賄われることになります。
この発電量に仮に32円の買取価格を適用した場合、国内の電気料金には3兆円という莫大な金額が上乗せされることになります。
政府の委嘱を受け再生可能エネルギー買取制度の見直しを行っている委員会は、この実質的な補助金制度をできるだけ混乱が生じないように終了させるため、できるだけ早い結論を求められています。

あてにしていた再生可能エネルギー事業による収入プランが雲散霧消してしまう事を心配しているのは大場さんだけではありません。
太陽光発電事業に投資した日本人の多くは、現行の補助金制度が10年程度継続することを願っていました。
大場さんは自然エネルギー開発に投資した企業などが倒産してしまう事を恐れています。
現時点では自宅に太陽光発電システムを設備し、売電によりエネルギーコストの削減を見込んでいた一般家庭にも影響が及ぶ可能性があります。

第一大破壊
2011年3月に発生した地震と津波によって福島第一原発の事故が発生する前、原子力発電所は日本の電気の総需要の約3分の1を供給していました。
資源が少ない日本は、原油と天然ガスの需要のほとんどを輸入によって賄っています。
日本では現在、稼働可能な48基の原子炉すべてが停止しており、世界第3位の規模を持つ経済社会を維持するため莫大な量の原油・天然ガスを輸入せざるを得ず、経済的に大きな負担となっています。

このような事情も併せ、安倍首相が率いる保守政権は経済界・実業界を優先する政策を採っており、事情が許す限りできるだけ多くの原子炉を再稼働させる方針です。
そして新しく採用された安全基準をクリアしたとして、九州電力・川内原発の2基の原子炉をまず
再稼働させることにしました。

福島第一原発の事故後に策定された日本の新たなエネルギー政策は、太陽光、風力、水力、そして地熱発電を含めた再生可能エネルギーの発電割合を、2030年までに20%にするとうたっています。

福島第一原発の事故の発生以前、日本の再生可能エネルギーの発電割合は実質的にはゼロでした。

安倍首相は再生可能エネルギーの開発推進を続けると語っていますが、現在の状況は海外の投資家、そして地元企業の動静に影響を与える可能性があります。

これまで日本に進出した外国企業の失敗例を参考に、アメリカの太陽光発電企業大手のファースト・ソーラー、サン・パワーの2社はいち早く日本法人を立ち上げ、積極的に素早い事業展開を行ってきました。
日本の通信大手であるソフトバンクもアメリカのスプリント社を買収し、福島第一原発の事故後積極的な太陽光発電システムの事業展開を行ってきました。

FR24 破壊された福島第一原発
東日本大震災の発生時、原子力発電所の事故により電力の供給が不安定となり、ソフトバンクが生命線とするネットワークが大きなダメージを受けて以来、創立者である孫正義社長ははっきりと原子力発電に反対する立場を取り、再生可能エネルギー開発推進の提唱者となりました。

ソフトバンク社は20カ所に及ぶ風力発電所を竣工・建設中であり、ゴビ砂漠においても風力発電設備を開発しています。
同社は日本国内において発電・売電事業に対する規制が撤廃され、大手電力会社による市場独占も解消されると確信しています。

ソフトバンク社の再生可能エネルギー事業を担当するSBエナジー社の代表を務める藤井社長は、日本が無計画に自然エネルギーの開発に突き進むのではなく、太陽光や風力も含め数世代に渡る最善のエネルギー生成計画を取りまとめるべきだと語っています。
藤井社長は日本が将来、一か所の巨大発電施設が広域に電力を送るシステムが解消され、必要とする場所で適切な規模の発電・売電が行なわれる時代が来ると考えています。

藤井社長は政府主導による日本の再生可能エネルギー開発の失敗を残念に思っており、この問題について国全体が開かれた議論を行うべきだと語りました。
「私たちはドイツが犯した誤りを検証することも無く、学ぶこともありませんでした。」

太陽光 2
ドイツでは2010年に開始された自然エネルギー開発の途上、2011年に福島第一原発の事故が発生したため、急きょ原子力発電の全廃を決定しました。
その結果電気料金が急上昇することとなり、一部の国民が電気料金の支払いができなくなり、電気の購入を一時ストップする事態に陥ました。

日本政府の再生可能エネルギー開発部門の後藤次長は、現在申請が出されている太陽光発電システム設置と補助金の申請について、申請だけ行って具体的事業の計画を持たない業者を排除するなどの、選別作業が必要になるだろうと語りました。

当初申請基準を厳正にすることも検討されましたが、現在起きているような事態は発生しないだろうとの楽観的な見通しの下、自然エネルギー開発への参入を容易にするため制限を設けることが見送られました。
後藤氏は大場氏のように現在の日本政府の対応に腹を立てている人々に対し、冷静に今後の事態の推移を見守るよう願っています。
「もうしばらく、我慢してお待ちいただきたいと思います。」
後藤氏がこう語りました。
「もう少しで混乱を収拾し、望むような展開になると思います。当初予想よりもはるかに早く、事態が展開してしまいました。」

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/after-fukushima-japan-gets-green-boom-_-and-glut/2014/10/30/8753e816-6003-11e4-827b-2d813561bdfd_story.html
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長いので2回に分けようかとも思いましたが、結論が解りにくくなるので一挙に掲載させていただきます。

私自身も今年、進言が容れられて会社で太陽光発電システムを設置しましたが、システムの設計と部材調達を終えた時点で申請を行いました。
このため申請後3か月後にはシステムが完成し、実際に発電(自家消費&売電)を始め、今年東日本は好天の日が多かったため計画を大きく上回る発電実績を記録しました。

実際の設備工事を行ったのは誰もがその名を知っている大手電機メーカーグループでしたが、担当者によると『売電価格の権利確定』だけのため申請を行っている事業者も多数いるという話でした。
部材の値下がりを待って実際の設備工事を行い、少しでも利ざやを稼ごうという、どこにでもいる『思惑買い』のグループです。
これらの業者がいずれ排除されることになるという事であり、例えば当社の場合は契約時の売電価格は20年問題なく保障されることになるという事でした。
つまりは再生可能エネルギー事業者すべてが不利になるという事ではないのです。
この辺が一連の報道で一番わかりにくい点でしょう。

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