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【 福島発 : 新しい反人種差別ムーヴメント 】《1》

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所要時間 約 8分

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福島第一原発の事故への抗議運動、在日韓国人などマイノリティの人権を守る新たな人種差別への反対運動に発展

日本政府、既存の大手メディア、そして科学分野を所轄する諸機関に対する不信感をエスカレートさせた3.11

 

ビビアン・ショー / アルジャジーラ  2017年3月12日

 

間接照明の中に浮かび上がる東京都恵比寿のレストラン、私がテーブルに着くと向かい合って座っていたサバコ(仮名)さんは、ちょうど2個のおにぎりの写真を撮っているところでした。

 

仮名で取材に応じてくれたサバコさんはこの店のシェフの友人であり、人種差別反対主義運動を行っている活動家であり、東京で行われるLGBTや音楽イベントの際は飲食関係を担当しています。

です。

彼女は撮影した写真をツイッターの『おにぎりアクション』のアカウントにアップロードするのに2、3分かかりました。

 

運動に携わる人々は、昨年の11月下旬の数日間、日本国内で拡大する貧困、そして満足に食事すらとれない人々のための啓発活動を行うために、このハッシュタグを使っていました。

そして今年3月、サバコ(仮名)さんは2011年3月11日に発生したマグニチュード9.0の地震によって引き起こされた巨大な津波、そして原子炉がメルトダウンした日本の巨大三重災害の傷あとが未だ癒えてはいないことをアピールするため、路上でのデモ行進とソーシャルメディアでの発信を行った数多くの市民運動家のひとりです。

 

18,000人もの人々が死亡または行方不明となり、数千人の人々が移住せざるを得なくなった2011年3月11日の災害について多くの日本人が普通の日常が戻ったと考えていますが、被災地の現実は当時の悲惨な傷跡が癒えたとはとても言えない状況にあります。

 

福島第一原発が環境中に大量に放出した放射性物質による汚染は東日本のほぼ全域に拡大し、多くの人々がパニックに陥りました。

東京都内で暮らしていたサバコさんも10代だった子供と他の家族とともにずっと北の札幌市に避難しました。

彼女は1ヵ月間その場所で暮らしました。

そしてツイッター・アカウントを開設し、東京に戻ると同時に定期的に反原発集会とデモに参加するようになったのです。

 

彼女は事故によって放出された放射性物質が自分の家族にどのような危険をもたらす結果になったのか、冷静にその分析を行う一方で、東京電力の管理責任の欠如や福島第一原発の事故原因を間接的に作りだしたと彼女が考えているその他の政府機関などに対しては、ただただ怒りを感じてきました。

 

しかし最近、サバコさんの時間と関心の多くは人種差別主義、そして外国籍の人びとをターゲットにするヘイトスピーチ・スピーチとの戦いに費やされるようになりました。

 

▽ アフター・フクシマ

 

日本で再び社会的差別に対する反対運動が盛り上がるきっかけを与えたのが、3/11の予想外の副産物でした。

福島第一原発の事故は、危機的状況の中では民主主義というものがいかに脆く、そして変容してしまう可能性のあることに、何万人という人々が初めて『目覚める』きっかけを与えることになったのです。

そしてこの数多くの人々の目覚めは、巨大災害のがれきの中から新しい日本を生み出すための動機を与えるだけにはとどまらなかったのです。

 

これまで日本国内での原子力発電所建設に無関心であったことへの深い後悔の念に加え、日本政府、既存の大手メディア、そして科学分野を所轄する諸機関に対する不信感がエスカレートしたことにより、日本人であること及び日本の国土で暮らすという事のこれまでの概念が、大きく揺さぶられることになったのです。

 

20世紀を通し日本国内で続けられてきた人種差別への反対運動の代表的なものは、日本社会でのマイノリティーである在日韓国朝鮮人への差別撤廃運動、部落解放運動、そしてアイヌ民族や沖縄の人々などの先住民族差別への反対運動などがあります。

しかし人種差別に反対する市民グループが3/11の後で切望したものは、これらとは異なるものでした。

 

最初に民族の違いを理由にする人種差別問題に取り組んだ市民活動家たちは、人種差別は社会のすべての面に対して有害な問題を引き起こすものと見なしていました。

こうした活動家たちは日本の中での人種差別主義への反対運動の主流となり、日本国内の少数民族が直面している肉体的・精神的重圧を軽減するために、労働組合的運動も取り込もうとしています。

 

2012年には一度その頂点を迎え、原子力発電の中止を求めて東京都内にある首相官邸前及び国会議事堂前の道路を約200,000の市民たちが埋め尽くしました。

こうした運動を率いたのは、東日本大震災・福島第一原発事故が発生した一カ月後の2011年4月、一団の文芸評論家や音楽雑誌の副編集長だった野間泰道氏などが結成したTwitNoNukesというツイッター名のグループで、様々な職業や政治的立場を持っていた一般市民の心の中に芽生えた反原子力発電感情を一つにまとめ上げる、橋渡しの役割を担ったのです。

 

それまでの既存のマスメディアが福島第一原発の事故を引き起こした勢力に対し毅然とした態度をとれずにいたことに加え、ツイッターやその他のソーシャルメディアで韓国朝鮮人などの少数派に対する誹謗中傷が相次いだことで、一般市民の中の多くの活動家が野間泰道氏をオピニオン・リーダーとして認めるようになりました。

 

-《2》へ続く -

http://www.aljazeera.com/indepth/features/2017/03/fukushima-gave-rise-anti-racism-movement-170310103716807.html

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【 3月24日 – 31日の報道写真から 】

 

アメリカNBCニュース 2017年3月31日

 

2017年3月25日シリアの首都ダマスカス近郊、反政府勢力に対する空爆が行なわれる中、車いすの男性を避難させるその妻。(写真上)

2017年3月25日シリアの首都ダマスカス東郊のゴータ地区で、反政府勢力に対する空爆が行なわれた後、泣きながら救護所値を待つ子供たち。

この空爆では少なくとも16人の一般市民の犠牲者が出ました。(写真下)

http://www.nbcnews.com/slideshow/week-pictures-march-24-31-n740981

 

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