ホーム » エッセイ » 【 福島発 : 新しい反人種差別ムーヴメント 】《3》
ヘイトスピーチ関連のデモや集会は福島第一原発の事故の補償金までやり玉に挙げ、原発難民に落とされた人々まで攻撃の対象にした
ヘイトスピーチ・デモの参加者は減少、しかし姿を隠したままソーシャルメディアを使っての虐待的差別発信は多数
ビビアン・ショー / アルジャジーラ 2017年3月12日
最終的に『しばき隊』は対レイシスト行動集団(C.R.A.C)へと発展しました。
彼らは日本国内でヘイトスピーチや差別集会の頻度の高い場所にカウンター・デモを行うための地方支部を準備開設しました。
その場所は大阪、京都、北海道、沖縄、そして福島県が含まれます。
C.R.A.C.の結成母体となったのはそれぞれの立場で人種差別との戦いを続けてきた文化事業従事者、音楽家、デザイナーなどです。
彼らは反ファシズム・ファッションを『かっこいい』ものにするべく、Tシャツや帽子をデザインし、クラブ・パーティーの開催も行いました。
日本の法務省の調査では在特会とそれに類似するグループが2012年4月から2015年9月の間に開催したヘイトスピーチ関連のデモや集会は1,100回以上に上っています。
こうした集会などで在特会が攻撃対象にしているのは主に在日韓国朝鮮人ですが、矛先を向けられ被害を受けたのは中国人、難民、そして移住してきた家族など、その幅は広がっています。
彼らは福島第一原発の事故の補償金や賠償金までやり玉に挙げ、事故によって避難を余儀なくされた人々まで攻撃の対象にしたのです。
▽ ヘイト・スピーチの禁止
結局、ヘイトスピーチ集会やデモに参加していた人数、そして在特会のメンバーは数の上で減少局面へと転じました。
特に2013年夏に在特会会長の桜井誠氏が起訴され、2009年に朝鮮学校に通う小学生たちに対して行った脅迫行為に対し、約1,200万円の損害賠償を命じる最高裁判所の判決が下されるなどのスキャンダルが起きると、その傾向はより明らかになりました。
さらに連携して日本の差別問題に関する情報発信を行う世界中の報道機関、人権活動家、人権擁護団体、そして政策担当者の数が増加した結果、2014年夏、日本に対し国連が状況の改善を求める厳しい勧告を行うことになったのです。
さらに国内の人権活動家と一部政治家が協同してこの問題に取り組んだ結果、2016年5月には日本で初めてヘイトスピーチ集会を禁止する法律が成立し、この問題への取り組みを続けてきた人々の手に一定の成果がもたらされたのです。
それでも2017年になっても尚、在日韓国朝鮮人やその他の国々の人々に対するヘイトスピーチ集会が公共の場で続けられています。
活動家や評論家はその原因がこの法律の弱点にあると考えています。
この法律はヘイトスピーチ集会を禁止してはいるものの、違反した者に対する罰則の規定が無いのです。
在特会が行なうヘイトスピーチ集会やデモの参加者は、減少傾向によって概ね100以下に減りましたが、その代わり開催場所は韓国系の人々が多く暮らす新大久保などから、東京の観光やショッピングを代表する場所、銀座と秋葉原へと移りました。
2017年2月20日、東京を代表する観光地で浅草寺や東京スカイツリーなどの観光スポットが点在する浅草で、大勢の中国人観光客を運んできたバスの車列の反対側で、在特会のデモが始まりました。
この時はヘイトスピーチ・デモの参加者同様、カウンター・デモを行う側の参加者もその数を減らしてはいましたが、それでもヘイトスピーチ・デモ参加者よりは明らかに多いように見えました。
しかしソーシャルメディアにおける極端な罵詈雑言を使ったヘイトスピーチは、衰える気配がありません。
反人種差別運動の高まりによって、やっと一般の日本人の目に見え始めた在日韓国朝鮮人女性の置かれている状況は、彼女たちが職場において、そして普段生活している場所で、日常的に攻撃の標的にされるという脅威にさらされている実態を明らかにしました。
ソーシャルメディアやウェブサイトで依然続くヘイトスピーチ問題に取り組んでいる法律の専門家、政治家、そして人権活動家たちもこうした問題にも目を向け始め、解決の必要性を認識するようになりました。
国内の人権活動家は日本の人種差別がヘイトスピーチに留まらない、もっと奥深い問題であることを懸念しています。
2016年7月に行われた東京都知事選では、在特会の桜井誠元会長が約110,000票を獲得しました。
これは得票数で第5位、投票総数のわずか2パーセント未満という数字でしたが、翌月には極右政党『日本第一党』を結成したのです。
※ビビアン・ショーは人種、政治と文化を研究分野とする社会学者です。
-《4》へ続く -
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【 マスターズ2017 】
USPGAツアー 2017年4月9日
ジョーダン・スピース(アメリカ・11位タイ)
松山英樹(日本・11位タイ)
ジェイソン・デイ(オーストラリア・22位タイ)
ライアン・ムーア(アメリカ・9位タイ)
ジャスティン・ローズ(英国・2位)
セルヒオ・ガルシア(スペイン・優勝)
http://www.pgatour.com/news/2017/04/09/golf-best-photos-pictures-gallery-masters-augusta-national-major-emotions-reactions.html