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【 福島の事故で次々と内部情報が暴露された後、秘密保護法制定に動く安倍政権 】

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秘密保護法案に関する安倍首相の答弁を、そのまま信じる一般国民はほとんどいない
民主主義に対する脅威、報道機関を脅迫し政府批判を封じ込める安倍政権
戦前の国権主義国家への回帰、その第一歩 - 後退を続ける日本の民主主義

デヴィッド・マクニール / ザ・インディペンダント(英国) 11月27日

Abeno07
2011年4月、福島第一原子力発電所の事故現場でまだ火がくすぶっていた頃、無数のジャーナリストたちが発電所内の状況について何か手がかりとなる情報を手に入れようと躍起になっていました。
福島第一原発の南約40キロの場所にある駐車場では、事故の収束作業に取り組んでいた作業員たちがやっととれたと休憩の間、内部は混乱しきっており、危険な状態が続いているとインデペンダントの取材に答えていました。

当時作業員たちは消耗しきっており、東京電力の上層部にいた人間たちで現場の状況を的確に把握している人間はいませんでした。

事故からもうすぐ3年が過ぎようとしていた11月下旬、日本の議会は先のような受け答えも、取材も許されない、場合によっては違法になってしまうとして批判が相次ぐ特定秘密保護法案の成立を議決しました。

この法律は国家の各機関各省庁に対し、情報の公開を厳しく制限できる『国家機密』と認定する権限を与える事になり、国権・国家権力を一方的に大きくするものだとの批判が集中しています。
もし機密漏洩にあたると判断されてしまえば、最高で10年間刑務所に収監される事になってしまうのです。

安倍甘利
この法案について安倍首相は、報道機関の取材や国民の知る権利を制限する事が目的ではないと、批判をかわしました。
「この法案の趣旨については誤解があります。」
安倍首相は法案の議決に先立ち衆議院でこのように演説し、12月6日の法案成立に向け意欲を示しました。
「報道機関の日常的な取材活動を罰則の対象にすべきでない事は当然の事です。」

しかし議会を一歩外に出れば、安倍首相のこの答弁をそのまま信じる人はほとんどいません。
この法案に対しては、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、国際ジャーナリスト連盟、日本新聞労働者組合、日本弁護士会、その他のメディア関連機関の抗議を明らかにしました。

そして多くの学術関係者が、この法案を廃案にするように求める嘆願書に署名しました。

「この法案の規定は漠然としている上、対象のする範囲がきわめて広範囲に及ぶ恐れがあり、日本のジャーナリズムにとって大きな脅威となります。」
野党社民党の旧党首で弁護士の福島瑞穂氏がこう語りました。
福島氏はこの法案が政府内の『種々雑多な』秘密にまで範囲を広げて適用される可能性がある危険性を指摘しました。

Abe nationalist
必然的にこの新しい法律は、福島第一原発の事故において、様々な切り口から明らかにされた電力業界、原子力産業界、そして官僚機構との不適切な関係、癒着などの問題に関わって来る可能性があります。
こうした問題を報道関係者が暴露した場合、少なくとも3つの分野の『特定秘密』に抵触するとの新たな解釈が可能になるのです。
その結果取材・報道が著しく制限され、国民の目から事実が隠されてしまう、そうした批判があります。
すなわち外交・防衛上の『機密』に加え、テロリズムに対する脅威、国家公務員の守秘義務から、報道・取材が『違法』とされる可能性があるのです。

11月この法案が国会内で審議されていた間、政権の法案担当となった森晶子少子化担当大臣は質疑の中で、福島第一原子力発電所の状況についての情報が、テロリストに悪用される可能性がある以上、国家機密にあたると考えざるを得ないとの解釈を明らかにしたのです。
その解釈・判断は、各省庁の高級官僚に任される事になります。

日本政府は福島に関する議論は早々に切り上げ、中国などとの間で高まる国家的緊張の方に国家の関心事を移そうとしています。
そして日本の軍事上の重優な同盟国であるアメリカが、エドワード・スノーデン氏やブラッドリー・マニング氏の内部告発により外交的に窮地に陥ってしまった事を、今回の特定秘密保護法成立の理由のひとつとしてあげています。
米国政府は、内部告発によって始まったドイツなどとの外交不信の問題解決に未だに苦慮しています。

日中紛争 2
今年11月日本が沖縄の南方でこれまでで最大規模の軍事演習を行った際、特定秘密法が施行された場合どうなるか、その実例が見られる事となりました。
この法案に反対する人々は、日本の大手メディアはすでに増大する国家権力の前になすところが無くなっていると語り増したる

国境なき記者団によって毎年公表される『世界各国の報道の自由度調査』最新(2013年度)のランキングで、日本は先進各国から遥かに引き離され、リトアニアの次、ガーナの前、53位という順位でした。

「なぜこんな法律が必要なのでしょうか?」
一般市民の力を結集し国会議員の席を得た山本太郎氏が、こう疑問を投げかけました。
「現政権の本当の狙い、それは強権国家を作り上げる事なのです。」

http://www.independent.co.uk/news/world/asia/japan-cracks-down-on-leaks-after-scandal-of-fukushima-nuclear-power-plant-8965296.html
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

日本は『世界各国の報道の自由度調査』のランキングが53位!
オリンピックやその他の国際競技の順位より、もっと大切な順位がまさに恥ずべき状態にあるようです。

私は学生時代に太平洋戦争の一連の歴史を見て、
「なぜこんな愚劣な戦争を始めたのだろう?軍部の勝手な暴走に対し、一般市民はなぜ抵抗しなかったのだろう?」
と強く感じた事を憶えています。

その「なぜ?」が、今目の前にある思いです。
そのうち治安維持法や大政翼賛会も復活させるつもりなのではないか、と危機感を新たにしています。
国民一人がもっともっと声を挙げていかなければなりません。

今月はジョン F.ケネディ大統領が暗殺されて50年です。
キューバ危機の際、そのケネディ大統領がとった対抗措置はキューバに核ミサイルを向けるのではなく、ソ連の首脳と直接交渉する事でした。

それが今の日本はどうでしょう?
軍備の拡充、そして特定秘密保護法案。
中国の態度も腹に据えかねますが、それに以上に問題なのは手玉に取られた挙げ句、民主主義の基盤を壊し続ける日本政府の方ではないでしょうか?

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