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【 福島における放射線被害調査、分かれる見解、衝突する意見 】《前篇》ALJ

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原子力発電推進の政府当局、ゲンパツに不利な結論を出した調査研究を否定
国連の委員会の『調査報告』、実際に現場に出向くこと無く、公開された論文等を『科学的に検証した』だけ

ジョン・ボイド / アルジャジーラ 2014年8月30日

灯ろう
2011年3月11日に3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の事故は、一連の爆発、そしてメルトダウンの発生により3基の原子炉と使用済み核燃料プールが深刻な破壊を受け、原子力発電所は見るも無残な姿に変わり果てました。

この事故は、大気中と海洋中に莫大な量の放射性物質を放出しました。
その結果日本政府は福島第一原子力発電所の周囲に避難指定区域を設定し、155,000人以上の人々が住んでいた場所を追われ、自宅を捨てて避難しなければならなくなりました。

そして3年が経った今、放出された放射性物質が人間の健康や動植物に対しどのような影響を与えるに至ったか、様々な立場から研究が行われましたが、その結論はまちまちであり、議論が絶えることがありません。

▽ 無視された?ゲンパツに不利な調査研究結果

今年初めに国連の委員会が広範囲にわたってまとめ上げた科学調査の結果は、当たり障りのない表現と、それ以前に公表され、ゲンパツに不利な結果が出ていた調査研究の存在をほとんど無視したものでした。
このため、世界中の独立的立場の研究者の批判を招くことになりました。
福島第一原子力発電所の事故による健康被害について原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が今年4月に公表された報告書には80名の科学者が署名をしました。

NBC 3
たとえば動植物に関してこの報告書は次のように結論づけました。
「事故後2カ月の間に放出され、(各動植物に)蓄積された放射性物質の量は、客観的観察によってその違いを判別できるまでのレベルには達しなかった。」
「長期的影響についても、いくつかの種の何例かに健康被害や突然変異などが認められたとしても、種全体に明らかに影響が出るような事実は無かった。報告はこの通りである。」

「そんな結論を裏づける、どんな研究結果も存在しません。」
こう述べるのは、サウスカロライナ大学の生物学科のティモシー・ムソー教授( http://cricket.biol.sc.edu/Mousseau/In_Japanese.html )です。
ムソー教授をはじめ独立した立場の研究者たちは、国連の報告書に不信感を募らせ、批判しています。

こうした批判に対し、国連科学委員会(UNSCEAR)のカール-マグナス・ラーション委員長は、アルジャジーラの取材に対し次のように答えました。
「我々が参照することが出来た資料は公開公刊された論文を基に作成されたのであって、その時点では未だ公開されていない資料もあったのです。」
「公開されていた資料をまとめ上げて、全体的な評価を行ったのです。」
国連科学委員会の役割は、実際に現場に赴いて実際に調査を行うのではなく、その時点で利用可能な論文等について「科学的な検証を行う事です。」
ラーション委員長はこう説明しました。

汚染02
これとは対照的に、ムソー教授もメンバーを務める『チェルノブイリ+フクシマ・リサーチ・イニシアチブ(CFRI)』( http://www.chernobylcongress.org/fileadmin/user_upload/Arnoldshain_Doku/Mousseau_-_IPPNW_Press_Release_-_Chernobyl_Fukushima_Feb_2014.pdf )は多岐に渡る科学分野の専門家たちが参集し、何より現地調査を重んじる形で報告書を作成しています。

CFRIは1986年当時は未だソ連邦の一部であったウクライナで、人類史上最悪の原子力発電所事故を起こしたチェルノブイリ事故の後、放射能汚染がその地の動物にどのような影響を与えたか、実地に広範囲の調査を行いました。
さらに2011年以降は、フクシマの地において10種の同様の調査研究を行いました。

8月22日東京で開催された海外の報道機関を対象とした記者会見で、ムソー教授はCFRIの最新の調査結果について、下記の報告を行いました。
すなわちUNSCEARが報告書を公表する以前に、福島において放射線による健康被害や動植物に対する被害が現実に発生していることを報告する研究結果が6例公開されていました。
そしてさらに多くのチェルノブイリ周辺での放射線の被害報告書がすでに公開されていたのです。

しかしこれらの調査・研究結果はUNSCEARによって「明らかに無視されました」。
そしてそれは「計画的な、作り上げられた無知」というべきものであったと、ムソー教授は指摘しています。

他の科学者たちも、ムソー教授の見解を支持しています。

「原子力発電を推進しようとしている政府機関や国際機関には、原子力発電の悪影響を明らかにする研究結果を否定しようとする傾向が見られます。」

Chernobyl04
京都大学で原子力工学を専攻する今中哲二助教がこう語りました。
「チェルノブイリの事故の後、ウクライナとベラルーシの地元の科学者たちが放射線被害の調査報告を行った後、こうした傾向がある事が明らかになったのです。」

そして事実が否定しようも無い程大きなものになった時だけ、政府機関や国際機関などは報告を受けて入れている、今中氏はこう指摘しました。

「そして現在、こうした傾向の一環として福島における被害報告が否定されているのです。」
今中氏はこれまで何度も、放射線による被害調査を実地に行うため、チェルノブイリとフクシマを訪れました。

〈後篇に続く〉

http://www.nbcnews.com/science/space/month-space-see-supermoon-other-super-sights-n192001
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国連のIAEAが世界の原子力発電所建設をスムースに進めるため、その『安全性』に権威付けを行う事を目的の一つとしている。
そんなことは福島第一原子力発電所の事故が起きるまで、全く知りませんでした。

事故以前、WHOやユニセフについても、私たちが知らない問題が多々ある事が伝わり始めていたタイミングでもあり、「国際原子力機関」なるものの本当の設立趣旨に胡散臭いものを感じざるを得ません。

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【 今月の宇宙傑作写真 】《3》

アメリカNBCニュース 9月1日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

SPC11
8月22日、フランス領ギアナにある欧州宇宙機関の発射施設から打ち上げられるソユーズ・ロケット。 ロケットはヨーロッパのガリレオGPS衛星2機を宇宙空間に運び上げました。
しかし投入操作に失敗、衛星は間違った軌道に入ってしまいました。(写真上)

8月18日、チリのラシイラ天文台・欧州南天文台の広角映像受像器により捕えられた、南銀河の2つの劇的な星の形成の様子です。
左側を占めるのはNGC 3603星団。距離は地球から約2万光年。
右側はNGC 3576として知られる高温のガス雲で、こちらの方が地球との距離が3603星団の半分ほどになります。(写真下・以下同じ)
SPC12
8月10日、地中海のマルタ島で、スーパームーンが輝く夜空を飛び交う花火。
SPC13
8月6日チリにある欧州南天文台のパラナル天文台が捕えたメシエ33銀河、別名三角座銀河。
渦状を成すこの銀河は、明るい星団とガスとちりの雲が密集しています。
この写真はメシエ33銀河の姿をこれまでで最も明快に表現しています。
SPC14
8月3日欧州宇宙機関のロゼッタ宇宙船が撮影した67Pチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星。
ロゼッタはこの彗星とのランデブーに初めて成功、太陽の周囲を回る彗星を追跡し続ける予定です。
SPC15
8月2日北フランスで24回目となるイベント「星たちの夜」で、天体観測の準備に余念がないリール地方宇宙協会のメンバー。
SPC16
http://www.nbcnews.com/science/space/month-space-see-supermoon-other-super-sights-n192001

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