ホーム » エッセイ » 【 汚染水の海洋流出、ついに東京電力が認める 】
様々なトラブルの兆候を繰り返し見落とし、問題に発展するたび隠ぺいを図り、公表を意図的に遅らせた東京電力
発表の遅れは、東京電力が福島第一原発で続いている危機に充分対処できていない現実を、改めて強く印象づけた
AP通信 / アメリカCBSニュース 7月22日
22日月曜日、東京電力は津波によって破壊され完全に機能を失っている福島第一原発から、汚染水が海洋中に両出している可能性が高いと発表しました。
これまでずっと専門家によって指摘されてきた問題について、東京電力が初めて公式に認めました。
さらに東京電力は、明らかに甲状腺ガンのリスクが増大する値以上の放射線被ばくをした福島第一原発の緊急作業員の数が、実際には当初発表した数の10倍であったことが判明し、この点においても批判を浴びました。
発表が遅れたことは、東京電力が福島第一原発で続いている危機に充分対処できていない現実を、改めて強く印象づけました。
東京電力は福島第一原発の事故現場で様々なトラブルの兆候を繰り返し見落としており、問題に発展するたび隠ぺいを怒ったり、公表を意図的に遅らせたりし、多方面から批判を浴び続けています。
東京電力のスポークスマンである小野雅之氏は、手例の記者会見において、破壊された原子炉建屋付近の汚染水が地下水に入り込み、それがそのまま海洋中に流出しているものとみられると語っています。
日本の原子力監視機関の職員や原子力発電の専門家は、事故発生当時から汚染水が太平洋に流れ込んでいる可能性について疑いを持っていました。
2週間前原子力規制委員会は東京電力に対し、汚染水漏出の疑いが非常に高く、この問題に関する調査を指示していました。
発電所内で採取した地下水と海水のサンプルからは、放射性物質の異常に高い数値を示していたにもかかわらず、東京電力は太平洋への漏出の可能性を飽くまで否定していました。
東京電力は今年5月、福島第一原発内の観測用の井戸から採取した地下水のサンプルから、高濃度の放射性セシウムを検出して以来、地下水の放射性物質量の監視を続けてきました。
漏出が疑われるエリアでは、潮位や降雨によって観測用井戸の地下水の水位が変化しているため、発電所の職員が漏出はあり得ると考えていたが、その情報が共有されていなかったと広報担当の小野氏が語りました。
「再び懸念される問題を引き起こしてしまったことは、非常に残念です。私たちは外部への漏出が決して起きないよう対策を講じてきましたが、結果的にうまくいかなかった可能性があります。」
小野氏は地下水の汚染源となっているのは、大部分が事故発生当初に放出された放射性物質によるものであると、東京電力側は考えていると語りました。
そして汚染が東北太平洋岸全体では無く、福島第一原発付近に留まっていると考えられ、太平洋の広域に漏れ出した放射性物質の量はきわめてわずかな量だと考えられるとも語りました。
東京電力は現在、汚染水が海に浸出しないよう、海沿いの護岸部分に化学物質を注入し地下構造を固化する処理を進めている様子を22日に日本のメディアに公開しました。
「多くの問題に対し、後手に回ってしまいました。危険については先先と予見し、対策を取っておくべきだったのです。」
経産省の赤羽一嘉副大臣が東京電力の対応を検証した後、このように述べたと共同通信が伝えました。
海洋生物学者は、福島第一原発の近くで獲れた魚の放射性物質の量がきわめて高いことから、放射能汚染水が地下から海に継続して漏れ出している可能性について警告しました。
現在、福島県沿岸で獲れる魚介類の多くが、国内市場には出回っておらず、輸出もされていません。
小野氏はまた、検査を受けた福島第一原発の作業員の約10%、1,972人の作業員が甲状腺がん発症の危険率が高まる100ミリシーベルト以上の被ばくをしたことを明らかにしました。
東京電力は昨年、世界保健機構(WHO)に対し、522名の作業員の検査を行った結果、178名の被ばく線量が100ミリシーベルトを超えていたと報告していました。
※2枚目の写真 : 2013年7月18日、福島第一原子力工場の3号機付近で上がっている水蒸気について、記者団に対し説明を行う、東京電力の小野氏。
http://www.cbsnews.com/8301-202_162-57594901/japan-utility-radioactive-water-likely-seeped-into-sea/
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本日は私の感想に変わり、この河北新報の社説をぜひご参照ください。
「原発汚染水の流出/東電任せはもはや危うい」
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2013/07/20130724s01.htm
ちなみに福島第一原発の事故収束・廃炉作業について、事故直後から東京電力の対応を問題視してきたのが、ニューヨークタイムズでした。
以下は私が翻訳した記事の中から、目についたものを抜き出したものです。
【 271,000,000,000,000,000ベクレルの汚染規模 】〈 セシウム137・福島第一原発から太平洋に7月中旬迄 - フランスの放射線防護原子力安全研究所が見積もる 〉ニューヨーク・タイムズ → http://kobajun.biz/?p=1448
【 福島沖には驚くべき事実が隠されている – 海洋汚染の実態 】「事故前1.5ベクレル→事故後100,000ベクレル」ニューヨークタイムズ → http://kobajun.biz/?p=1268
【 福島沖には驚くべき事実が隠されている – 海洋汚染の実態 】「福島第一原発沖合の海洋汚染がなぜそれほどひどいのか、さらなる海洋調査が緊急に必要」ニューヨークタイムズ → http://kobajun.biz/?p=1276
ビニールで覆われただけの、11,000本以上の使用済み核燃料棒の脅威【 膨れ上がる福島第一原発・4号機使用済み核燃料の脅威 】「もし火災を起こせば、その被害は1~3号機メルトダウンの比ではない」ニューヨークタイムズ → http://kobajun.biz/?p=2680
【 福島第一原発の事故収束、業界利害を優先し、危険な状況に 】〈前篇〉「深刻な危機、莫大な量の放射能汚染水・追いつめられる東京電力、それは日本全体の危機」ニューヨークタイムズ → http://kobajun.biz/?p=11016
【 福島第一原発の事故収束、業界利害を優先し、危険な状況に 】〈後篇〉「東京電力は汚染水発生の根本対策の実施を拒否・経産省は汚染水の問題の存在自体を無視」ニューヨークタイムズ → http://kobajun.biz/?p=11033
【 またも汚染水漏れ、改めて問われる東京電力の事故収束能力 】「隠ぺい体質に加え、問われる事故処理能力・最新式の浄化装置が稼働しても、汚染水は無くならない」ニューヨークタイムズは → http://kobajun.biz/?p=11721
安倍政権の原発再稼働への強力な後押し、その裏に隠される事実【 福島第一原発、2年の間途切れることなく汚染水を海に漏出か】「放射性セシウム、トリチウム、ストロンチウムの量が急上昇」ニューヨークタイムズ → http://kobajun.biz/?p=12663
さらにはエコノミスト、ザ・ガーディアン、ザ・インデペンダントなどの英国の代表的メディア、そしてデア・シュピーゲル(ドイツ)などが繰り返し福島第一原発の作業員への『非人間的的扱い』を避難してきました。
なのに日本政府は、被災者・避難民の方々の救済ではなく、東京電力の救済にばかり本腰を入れてきたように感じられます。
そして福島第一原発の現状に対する危機感を持たない現政権。
日本の『社会正義』はどこへ行ってしまったのでしょうか?