ホーム » エッセイ » 【 時代遅れの国家主義を煽り、世界最悪の隣国関係に陥る中国/北朝鮮/韓国/日本】《前篇》
繰り返された北朝鮮中距離ミサイル・ムスダンの誇大広告とは別の『あり得るシナリオ』
北朝鮮への対応を誤れば、東アジア一帯で核軍拡競争が始まる恐れが現実になる
アンドレイ・ランコフ / アルジャジーラ 6月3日
近年朝鮮半島から伝えられるのは、専らミサイルに関するニュースばかりです。
衛星画像で確認された通り、北朝鮮は中距離弾道ミサイル「BM-25ムスダン」の発射準備にかかりきりでした。
発射は今年に入って4度目の失敗に終わりました
それにもかかわらず朝鮮のエンジニアと科学者は、射程の長い潜水艦ベースの弾道ミサイルの開発に懸命に取り組み、いずれアメリカ合衆国まで射程に入るミサイルの開発を成功させる可能性があります。
ムスダンの発射については数多くの誇大広告が繰り返されましたが、この間韓国から発信されたある一連の報道の重要性に気がついたのは、ごく一握りの人びとでした。
匿名を条件に取材に応じた韓国の高級官僚は、韓国海軍が独自に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を開発中であると語りました。
そして新しく開発された韓国の潜水艦が弾道ミサイルの発射装置を装備していることについては、公表しても問題ないという見解を得ていると語りました。
この発言は北朝鮮の核弾頭と長距離ミサイル開発とは別の、『あり得るシナリオ』が存在することを思い起こさせることになりました。
つまりは北朝鮮の『脅威』が周辺諸国において、『同様の兵器開発の必要性』という結論を引き出せることになり、最悪の場合にはミサイル、そして核兵器開発競争すら誘発しかねない危険性を持っているという事なのです。
▽ 戦略バランス
今から10年前の2006年10月、北朝鮮が初めて核実験を行った後、深刻な懸念が持たれることになりました。
その後の議論の中では、韓国と日本の核武装についても可能性が取りざたされました。
しかしその後の展開では2カ国の核武装については一応その可能性は消えましたが、ここにきて再びその議論が現実味を帯び始めました。
これは数十年間韓国と日本に『核の傘』を提供してきたアメリカが、孤立主義に向かう動きを見せ始めたことに対する、考えられる反応のひとつという事が言えるかもしれません。
共和党大統領候補のドナルド・トランプは、東アジアからの米国の軍事的撤退という選択肢を除外しないという方針を明らかにし、韓国人と日本がアメリカの軍事的援助がなくとも自国の防衛が可能になるよう核兵器の保有も視野に入れて良いという考えを明らかにしています。
北朝鮮は独自の核兵器の装備による防衛態勢の開発整備を続ける決心を明らかにしていますが、中国、それと対立するアメリカの同盟国である韓国との間に位置するという戦略的位置をうまく利用しながら、自分たちの方針を貫こうとしています。
明らかにトランプの意見は(控えめに言って)少々毛色の違う大統領候補の極端な発言のひとつに過ぎませんが、『世界の警察官』を自認してきたアメリカ人の考え方が徐々に変わりつつあることを代弁している部分もあります。
一方、韓国内では独自に核兵器を保有すべきであるとする考え方への支持が広がっています。
この点は世界で初めて核兵器の攻撃による被害を体験した日本とは異なり、韓国には核兵器へのアレルギーはありません。
2016年1月に実施された世論調査では韓国人の54パーセントが独自に核兵器を保有することは理論的に正しいと回答しています。
少なくとも20年間、韓国ではこうした考え方が国民の半数を上回り続けてきました。
▽ 想定外について考える
近年では、国政に関わる政治家の口から韓国の核武装という言葉が頻繁に語られるようになってきました。
これまでそうした発言は、国政選挙前に自分たちの得票率を上げるために強い対外姿勢を示して見せるデモンストレーションであるか、あるいはアメリカの強力な軍事的援助を引き出すための圧力を目的としたものでした。
しかし現在、様相は異なったものになっているかもしれません。
アメリカが今後どのように極東アジアの安全保障問題に関わって来るのか不透明な状況の中で、韓国の国家戦略を立てるべき担当者の一部は、これまでは想定していなかった事態について考えるようになりました。
〈 後篇に続く 〉
http://www.aljazeera.com/indepth/opinion/2016/06/nuclear-arms-race-east-asia-160602091442504.html
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【 『イチゴ色の満月』が輝く夏至の夜 】
アメリカNBCニュース 6月21日
1967年6月以来初めて、『イチゴ色の満月』が夏至の夜空に輝きました。
2016年6月20日、イングランドのサマセット、グラストンベリー・トアの満月。(写真上)
6月のイチゴの収穫期に真っ赤な満月が観測されることから、アメリカ先住民族のアルゴンキン族は6月の満月を『イチゴの月』と呼びならわしていました。
南イングランド南部のソールズベリー平原のストーンヘンジで。(写真下・以下同じ)
ドイツ、シェーネフェルト空港の管制塔と満月。
フランクフルト近くのヤーコプスドルフのオーデル川河畔に立つ枯れ木にとまる野鳥と満月。
http://www.nbcnews.com/slideshow/strawberry-moon-shines-during-summer-solstice-n596276