ホーム » エッセイ » 【 時代遅れの国家主義を煽り、世界最悪の隣国関係に陥る中国/北朝鮮/韓国/日本】《後篇》
韓国の疑問「ソウルを防衛するために、アメリカがサンフランシスコを危険に曝すことはあるのか?」
世界規模では『終わった』はずの核兵器開発競争が、東アジアで再燃する恐れ
アンドレイ・ランコフ / アルジャジーラ 6月3日
韓国・日本の核武装を容認するというトランプの気まぐれな思いつきの発言は、極東アジアの安全保障にアメリカが今後どうかかわっていくのかという問題の一部に言及したに過ぎません。
この問題について一部の韓国人が最も重要だと考えるのは、次のような側面です。
北朝鮮は核兵器開発を急いでおり、もし核兵器をフル装備してしまった場合、果たしてアメリカは同盟国を守るため、進んで北朝鮮との全面戦争に参加するのか?
『ソウルを防衛するために、サンフランシスコを危険に曝す』つもりはあるのか?
韓国が自国の潜水艦に潜水艦発射弾道ミサイルを装備させるとすれば、同時に核弾頭を装備して初めて対北朝鮮防衛態勢が完備されるという決定が行なわれれば、重大な変化と言うべきです。
それは論理的飛躍にはとどまらず、現実に莫大な経費が掛かる問題であるからです。
そうなれば次に起きることは何でしょうか?
核兵器とミサイルの軍備拡大競争が東アジア地区で現実に開始されてしまったら、それはいつどんな形で終わらせることが可能なのでしょう?
現在の東アジアの不気味な緊張関係は、100年以上前のヨーロッパ、第一次世界大戦の勃発直前の状況を思い出させるものです。
時代遅れの国家主義がそれぞれの国を支配し、隣国に対して深い猜疑心を抱きあっている、それが現在の東アジアの姿です。
これまで隣国同志が抱きあって来た長年の憎悪は、アメリカが強力な同盟関係の要となることでおさえられてきました-韓国人と日本人は憎しみ合いが繰り返し歴史に刻まれてきたにもかかわらず、それぞそれが米国と密接な関係を築くことにより直接的な対立を防いできました。
そしてそれぞれが同盟関係の下でかつて経験したことが無い経済成長を記録したことも、対立の解消に役立ちました。
しかしこうした状況は永遠に続くのでしょうか?
現実を見る限り、その可能性はますます遠のいているように感じられます。
▽世界規模では『終わった』はずの核兵器開発競争が、東アジアで再燃する
そして間違いなく『中国問題』があります。
軍事的圧力を強め続ける中国は、控えめに表現してもベトナムから日本に到る隣国の評判はきわめて悪いものです。
東アジア地区における戦略的状況は変化しています。
中国は人類がかつて見たことも無い巨大な人口規模と経済規模を有し、その重圧をはねのけるためには通常兵器では不可能であるとの理由から、核兵器を自国も装備すべきであるという選択肢が生まれています。
北朝鮮の核ミサイルの装備が現実のものとなり、アメリカの優柔不断な態度が続けば、韓国は意外に早く自身が『核抑止力』を手にする決断をする可能性があります。
韓国のような先進国が核兵器を装備することには技術的にも困難が少ない上、費用も時間もそれ程多くはかかりません。
しかし韓国の核兵器装備が現実になれば、続いて日本も核武装する確率は一層高いものになります。
そしてさらに急速に近代化が進む東南アジア各国に加え、台湾はなぜ自国だけが核兵器を持たないのか、疑問に思い始める可能性があります。
通常このような状況に陥った場合にはもっとましなアイディアが出て来るものですが、現在はそのような楽観的な展開はほとんど期待できません。
北朝鮮は独自の核兵器の装備による防衛態勢の開発整備を続ける決心を明らかにしていますが、中国、それと対立するアメリカの同盟国である韓国との間に位置するという戦略的位置をうまく利用しながら、自分たちの方針を貫こうとしています。
しかしその行動は世界の中で重要性を増しているこの地域の、そしてひいては全世界の安全を危険にさらすことになるでしょう。
※アンドレイ・ランコフはソウル市内にある国民大学校の教授で、専攻は韓国の時事問題です。
著作として『北朝鮮 : 失敗したスターリニストのユートピアでの政治と暮らし』などがあります。
本稿に掲載されている見解は、著者自身のものであり、アルジャジーラの編集方針を必ずしも反映するものではありません。
http://www.aljazeera.com/indepth/opinion/2016/06/nuclear-arms-race-east-asia-160602091442504.html
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【 『イチゴ色の満月』が輝く夏至の夜 】
アメリカNBCニュース 6月21日
1967年6月以来初めて、『イチゴ色の満月』が夏至の夜空に輝きました。
イングランド南部のソールズベリー平原のストーンヘンジ。(写真上)
6月のイチゴの収穫期に真っ赤な満月が観測されることから、アメリカ先住民族のアルゴンキン族は6月の満月を『イチゴの月』と呼びならわしていました。
ハンガリー、ナジカニジャの満月(写真下・以下同じ)
ニューヨーク、マンハッタンの夜景と『イチゴ色の満月』
http://www.nbcnews.com/slideshow/strawberry-moon-shines-during-summer-solstice-n596276