ホーム » エッセイ » 【 映像は告発する : 抗議する人々にとうがらしスプレー 】
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2011年11月19日
警官隊と抗議する人々が国内中で頻繁につばぜり合いを繰り広げる中、3本の最新の映像が手荒に扱われる人々の姿を伝えています。
警察は退役軍人と学生を含むデモ隊に、とうがらしスプレーを浴びせかけました。警官たちは超えてはならない一線を超したのではないか、この点が大いに疑問です。
昨晩までの2日間、オレゴン州ポートランド・デイヴィスと、カリフォルニア州オークランドのカリフォルニア大学における警官隊とデモ隊の衝突問題がクローズアップされ、この衝突における新たな問題に対し、注意を喚起することになりました。
カリフォルニア大学デイヴィス校の学長リンダ・カテヒーは、18日に発生したキャンパス内でのとうがらしスプレー噴射について、綿密な調査を行うため特別委員会を組織した、発表しました。その様子は複数の目撃者が映像に記録しています。
カテヒー学長は大学のウェブサイトに、以下の声明を掲載しました。
「記録された映像におけるとうがらしスプレーの使用は、見るものすべてに不快の念を抱かせ、このような状況でそれを使用することが最良の解決方法なのかどうか、疑問を抱かせました。」
何本もの映像がそれぞれ違った場所から、キャンプを守ろうとするカリフォルニア大学デイヴィス校の生徒たちが、とうがらしスプレーを浴びせられる様子が撮影されていました【ビデオNo.1】。
カテヒー学長は大学の敷地内でのキャンプ禁止の学則を引用し、キャンプを撤去するよう、学生たちに求めていました。
暴徒鎮圧用の装具に身を固めた35名から50名程の警官が現れると、学生たちはキャンプの回りで腕を組み合わせ始めました。
「5分も経たないうちに警官たちは腕づくで学生を引きはがし、逮捕し始めました。」
大学で都市開発を専攻する、スペイン人のクリス・ウォンが話しました。
「まるで映画のワンシーンのようでした。」
ウォンによると学生と周囲にいた群衆が腕を組んで、警官と数名の逮捕された学生の回りを取り囲みました。
私たちは「彼らを釈放せよ!釈放せよ!」と叫びました。
木の上からこの様子を撮影していた2年生のセレナ・グロスジャンは樹から飛び降り、カメラを近くにいた人に手渡すと一緒に腕を組みました。
この時点で一人の警官が腕を組んでいたデモ隊めがけて、とうがらしスプレーを浴びせかけたのです。
「私はスカーフとセーターで顔を覆いましたが、息をすることができませんでした。」
セレナはスプレーを浴びせられ、まる1日顔の腫れが引かなかった、と話しまた。
「とうがらしスプレーのひどいところは、触れた部分がすぐに炎症を起こすことです。目はそんなにひどくありませんでした。涙が流れて、その分助かりました。」
ウォンはとうがらしスプレーを向けられた時、あわてて顔を上着のフードで覆い隠しました。
デイヴィス校の警察署長アネッテ・スピクーザは、デモ隊に包囲された警官隊が、最後の手段としてとうがらしスプレーを用いた、と公表しました。
「取り囲まれた中から出る方法が無かったのです。デモ隊は警官隊の列を分断しようとしたのです。」
スピクーザ署長がAP通信に語りました。
国内の警官はおしなべて、抗議する人々から敵意を持ってみられている、と話します。
「デモ隊が警官を押したりするのを、見ているはずです。デモ隊が騎馬隊の馬を叩くのを、警官に向かって悪態をついたり、軽蔑した仕草をするのを見ているはずです。」
オレゴン州ポートランドの警察のスポークスマン、ロバート・キングは20歳のエリザベス・イヴォン・ニコルズについての - 公開とともに反響を呼んだビデオに対する反論の中で、放送したABCの系列局にこう話しました。
エリザベスは木曜日、とうがらしスプレーを浴びせられたあと、さらに放水され、デモの解散命令に従わなかったために秩序紊乱のかどで逮捕されました。
「一人の女性警官が私の首に、警棒を押しつけたんです。」
ニコルズは釈放された後、系列局にこう話しました。
「警棒は私の気道を圧迫し、息ができなくなりました。いったん彼女が警棒を引いた時に、私は彼女に向かって猛烈に抗議しました。すると突然抗議の最中に、とうがらしスプレーをおもいっきり浴びせられたのです。」
先月抗議行動中に頭蓋骨骨折を負わされた退役海兵隊員、スコット・オールセンは回復に向かっていますが、2人目の退役軍人が警官との乱闘により、重傷を負ったという知らせが飛び込んで来ました。
11月2日のビデオの中で、棒で殴られている人物が32歳のカヤン・サベジであることを、撮影者が確認しました(ビデオNo.2)。
カヤンは逮捕されましたが、アラメダ郡刑務所で14時間勾留された後、内臓破裂のため病院に搬送された、とサンフランシスコのABCの系列局KGOテレビが伝えました。
この件に関し、ABC放送はオークランド警察署の誰とも接触できていません。
KGOテレビも問題のビデオを同警察署に送り、説明を求めていますが、土曜日の時点で返答はありません。
前月、オークランド警察署長のハワード・ジョーダンは地域の人々がデモ隊と警官隊の衝突に懸念を深めている、との声明を警察署のウェブサイトに掲載しました。
その声明にはこう書かれています。
「あなた方同様、私もまた抗議行動をする人々や警察官が負傷することの、そのどちらについても懸念しています。警察側はどの段階の鎮圧行動も、軽々しく行うことはありません。」