ホーム » エッセイ » 【 『弱者の視点が無い経済政策、アベノミクス』企業業績さえ改善すれば、本当に何もかも解決するのか?! 】
またも復活した巨額の公共投資、国民全員が『監視』を!
企業の業績さえ改善すれば、それで何もかも良くなるという雑な理論
ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 1月20日
今年初めてとなる演説で、日本の新任の安倍首相は『日本経済の復興に向け、ロケット発射並みのスタート』を求めました。
折しも2月は旧暦の新年にあたり、干支は『巳年』、安倍首相は演説の中で『商売繁盛の象徴』だと語りました。
株式市場と為替相場は、おそらくは安倍首相が期待した以上の反応を見せました。
日本円が米ドルに対してじりじりと値を下げる中、日経平均株価は劇的に値上がりしました。
円安傾向に、厳しい環境に追い込まれていた輸出業者もほっと一息つくことが出来ました。
18日金曜日には、日本円が2年半ぶりの安値をつけました。
昨年12月に行われた衆議院議員選挙で日本の有権者は、安倍首相の世界第三位の規模を持つ日本経済の復興に的を絞った公約を、他のどの公約よりも高く評価しました。
例えその公約が、IMF(国際通貨基金)によればGDPの230%にまで膨らんだ日本の公的負債の問題に、全く触れていなかったにもかかわらず、です。
前政権の公的債務の削減、そして増税による福祉政策の充実を優先する政策には距離を置く「アベノミクス」。
そこには、耳慣れた政策が盛り込まれています。
死語になったはずの政策、公共事業への巨額の投資です。
長きにわたり自民党が得意としてきたこの政策は、過疎に悩む地方の村々に立派なコミュニティセンターを建築し、そしてどこにも通じていない道路を『整備』するなど、無用な事業に多額の国費をつぎ込むことで、非常に悪名の高いものでした。
安倍首相は今度こそそのような浪費は行わないと約束し、3つの事業に集中的に資金投入を行うとしています。
ひとつは東日本大震災の被災地の復興。
もう一つは昨年12月に発生し、複数の犠牲者を出したトンネル事故が問題の存在を明らかにした、老朽化した公共設備の補修。
そして最後に学校と病院の耐震補強工事です。
今月、10兆3000億円の政府予算をつぎ込む景気刺激策の内容について、安倍内閣は合意しました。
この政策の狙いはデフレから脱却して約2%の実質的な経済成長を実現すること、そして600,000以上の雇用の創出です。
財界を代表する人々は、この景気刺激策を歓迎しました。
「時宜を得た対策であり、スピード感がある、幅広い対策が盛り込まれています。」
経団連会長の米倉弘昌氏がこう語りました。
安倍首相はインフレターゲットを1%から2%に引き上げる、日銀による積極的な通貨政策により政府の政策が側面から支援されることへの期待も明らかにしました。
安倍首相の要求に基づき、政府と日本銀行は今週、共同声明を出すことになっています。
首相は日銀総裁の指名権を行使し、この4月、現在の総裁である白川方明氏を交代させ、阿部首相と見解を同じくする新総裁を指名することになる見こみです。
「私のデフレ脱却のための政策を支持する人間を、我々は後任として選ぶことになるでしょう。」
先週発表された景気刺激策の中、ひとつのもの要素が現実になろうとしています。
リーマン・ショック以来最大規模となるそれは、直ちに大きな影響力を発揮することになるでしょう。
上智大学の政治学が専門の中野孝一教授によると、それが成功すれば7月に予定されている参議院議員選挙において、自民党に議席の過半数を制する勝利をもたらす可能性があります。
「それは自民党が何よりも景気対策を重視していることの表れです。自民党はその障害になるようなら、その他の問題には関わらないという約束を行い、とにかく経済問題にのみ焦点を当て続けてきたのです。」
中野教授がこう語りました。
「しかしそれは、過去の失敗の繰り返しになる可能性があります。特に地方において、莫大な公共投資が、既得権層のフトコロに入っていく危険性があるのです。巨額のお金がどこに行くのか、国民がきちんと監視することが大切です。」
東京にあるテンプル大学のアジア総合研究所のロバート・デュジャリック所長は、安倍首相の政策が日本を20年間続く不況とデフレーションから脱却させられると信じています。
「ある程度までは成功するでしょう。」
「安倍首相の政策に欠けているものは、ミクロ経済面における改革です。女性が結婚して家庭を持ち、安心して子供が産めるようにする一方、もっと経済に貢献できるようにするための、社会構造の改革がその一つです。」
「この問題について全く関心が無く、どのような対策もしてこなかったのが自民党、すなわち安倍氏の与党です。女性が仕事と家庭を両立させるための対策に、首相自身もほとんど関心を持っていません。」
世論調査の結果も、果たして安倍政権に日本の経済局面を転換できるだけの能力があるかどうか、日本の消費者が懐疑的であることを示しています。
円安傾向は輸出業者にとってはメリットがありますが、輸入に頼る品目、主に食料品とエネルギーの価格上昇は家計を直撃することになり、予想を超えるインフレになった場合はなおさらです。
雇用不安も解消されるかどうか解りません。
労働者の賃金の改善もこの先不透明であり、少なくとも2012年度において改善はありませんでした。
これでは一般家庭では、安心して金を使うことなどできそうにありません。
「消費者心理を解放するまでには、まだまだ時間がかかるでしょう。」
デュジャリック所長はこう語りました。
「20年以上もの間、景気の停滞と低成長が続いたわけですから、状況が変わったことを納得させるためには相当の時間を必要とします。」
安倍首相の経済特別顧問を務める浜田孝一氏は、政府と日本銀行が綱渡りに近い対応を行なおうとしていることを認めました。
「経済は治療薬のようなものです。」
「熱を下げるためにどれだけの薬が必要なのか、まだわかりません。とりあえず薬を飲ませて、あとは様子を見なければなりません。しかし少なくともデフレから脱却するために、できる限りのことをする必要があります。」
12月、首相に就任する以前から、安倍氏は日本銀行に対しインフレ・ターゲットを現在の2倍にするよう圧力をかけていました。
そして安倍氏の金融緩和政策に同調しないという事は、政治的な宣戦布告をするのも同じことだと警告していました。
他の先進各国は安倍政権の経済運営の行方を、かたずをのんで見守っています。
膨れ上がる公的負債、高齢化の進行により増え続ける年金支払いなどの社会福祉事業費。
あらゆる意味で、日本は先進各国のこの先の運命を占うことになります。
巳年の今年に日本が願うことはただ一つ、蛇が脱皮するように、景気低迷とデフレから抜け出すことなのです。
http://www.guardian.co.uk/world/2013/jan/20/japan-new-prime-minister-rising-hopes-economy
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【 シリア難民子供たちの表情が伝える勇気、くじけぬ心、そして時には笑顔さえ…、しかし… 】
アメリカNBCニュース 1月31日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)
ヨルダンのザータリ難民キャンプの子供たち、1月31日。(写真下・以下同じ)
国連の調査によれば、内戦によって近隣諸国にあふれ出した64,200人のシリア難民の半数以上はこどもたちです。
ヨルダンのサータリ・キャンプにもたくさんの子供たちがいます。
彼らの様子には打ちひしがれた様子は無く、その表情に浮かぶものは勇気であり、困難にくじけない心です。時には喜びの表情すら見せることがあります。
しかし、この地で難民の世話をする国連当局の幹部は、そうした様子は子供たちが置かれている状況を伝えている訳では無いのだと語りました。
「難民となった子供たちは危機的状況に置かれています。難民キャンプに到着した時の様子、そしてその後どんな生活を送っているのか、それを見ていると心が痛みます。
子供たちは目には見えない傷を負っており、たくさんの子供たちが寝小便をするようになったと親たちが話しています。
「ここにやって来た中には言葉では表現できない程つらい経験をし、残酷な場面に遭遇した子供たちがいます。目の前で親や肉親を殺されてしまった子供たちもいます。家を破壊され、通っていた学校もめちゃくちゃにされ、ここにやって来たのです。」
この地で難民の世話を行っている、国連難民高等弁務官事務所のパノス・マウンティスがこう語りました。
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【 ウィンター・ワンダー・ランド!〈2〉】
アメリカNBCニュース 2012年1月8日~18日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
林間の道を行く一組の夫婦。アメリカ合衆国ユタ州ソルトレイク・シティ、1月11日(写真下・以下同じ)。
ベラルーシ共和国の軍用犬の訓練。1月11日。
1995年、ユネスコの世界文化遺産に指定された岐阜県飛騨地方の合掌造りの家、1月19日撮影。この地区では毎年2月25日まで、夜間のライトアップが実施される。
ノルウェー、オーレスンの夜景と彼方に広がるオーロラの光。1月16日。
スウェーデンの天体写真家ゴラン・ストランドが、月光に照らされた景色の上に広がるオーロラを撮影しました。 オリオン座、プレイアデス星雲、そして木星の輝きも見事にとらえられています。
英国北部、ボルトン・アビーにある橋を渡る男性。1月14日。
成人式の帰り道。東京都の豊島園、1月14日。