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【 日本の首相、ようやく福島第一原発の安定宣言 】
英国BBC放送 12月16日
日本の福島第一原発の損傷した原子炉は最終的に安定化した、と内閣総理大臣野田佳彦が発表しました。
3月に発生した地震と津波は、同発電所の冷却システムを破壊して放射能漏れを引き起こし、数万人の人々に避難を余儀なくさせました。
野田首相の「冷温停止」宣言は、原子力発電所の安定化を意味します。
しかし政府は原子炉の解体に至るまでは、数十年を要する、と述べています。
福島第一原発の6基の原子炉は3月11日に発生した地震と津波により激しく損傷しました。
冷却システムが停止した後、4基の原子炉が爆発しました。
東京電力株式会社(TEPCO)が運営する福島第一原発の作業員は、原子炉を冷却するために海水を使用しました。
使った後の海水、そしてその他の汚染された液体は海洋中に漏出しました。
原発周辺半径20キロ(12メートル)の立ち入り禁止区域はそのままです。
▽『終わってはいない戦い』
「原子炉は冷態停止の状態に達しているため、我々は現在、実際に原子炉の事故が収束した事を確認できます。」
野田首相は記者会見で述べました。
「我々は現在原子炉を安定化しようと言う取り組みから、廃炉作業に移行しようとしています。」
「日本政府は現時点からの明確なロードマップを作成し、可能な限り原子炉の安定を確保しながら、廃炉に向けた作業を行う事に最大限の努力を行うことを約束します。」
「しかし、戦いはまだ終わっていません。」
と彼は語り、次の段階は、工場周辺の地面の汚染除去を含め、クリーンアップ操作に集中することであると、付け加えました。
原子炉の安定化実現に伴い、事故の直後に設定された避難区域を見直す、と発表しました。
今年上旬、政府は今年度末までに冷態停止を目指すと述べていました。
冷態停止とは核燃料棒を冷却している水の温度が沸騰点以下に抑えられ、核燃料棒が再び加熱しない、という意味です。
また東京電力は冷態停止について、放射性物質の放出について制御下に置き、原子力発電所敷地境界線における放射線量の測定値が、年間1mSv/以下に抑えられることである、と定義しています。
先週の金曜日、野田首相は事故対策委員会の閣僚に対し、
「もう一度事故が起きたとしても、我々は今や原発周辺の放射線被爆量を、充分に低いレベルに維持する事が可能である。」
と話しました。
しかし何人かの原子力専門家は、事故後の発電所において行われた修理は間に合わせのもので、予兆無く壊れてしまう可能性がある、と指摘します。
▽ 40年
80,000人以上の人々が住んでいた場所から避難し、いくつかの場所では放射線量が居住に適さない程高いままです。
今週初め政府は福島第一原発の原子炉を廃炉にし、周辺の汚染除去を完了させるまでに40年を要する、と発表しました。
原子炉内の使用済み燃料棒と、メルトダウンした燃料を取り除く必要があります。
また汚染排水も安全に格納する必要があります。
米、牛肉、魚を含む食材が汚染されている事が確認され、数カ所で基準以上の土壌汚染も確認されています。
一部の専門家はまた、強力な余震が襲った場合には、発電所がさらに破壊される可能性があると警告しています。
技術者たちはまた新たな問題が続いている事も指摘します - 先週東京電力の職員は、45立方メートルの汚染水が、浄化施設の基礎部分にできた亀裂から海に流出したことを確認しました。
▽ 人々の反応
ローランド・バーク / BBCニュース東京特派員
退職した教師である高橋ユウジさんとテツコさんは、福島第一原発の近くの自宅を放棄せざるを得なくなった、数万人の人々の中の2人です。
彼らはテレビで首相の発表を見るつもりでした。
政府が用意した東京のマンションの中にあるテレビも、彼らの後ろにある洋服ダンスも、その他の何もかもが寄贈を受けたものです。
「
たとえ冷温停止していると言われても、私たちはそんな事は信じられません。」とテツコさんが話しました。
「政府は事故が始まった時点から、ウソばかりついてきました。政府の閣僚の一人はメルトダウンは起きていない、と言いましたが、実際には起きていました。最初から福島第一原発の実態は、私たちに説明されていたものよりも、ずっとずっと悪いものでした。」
夫妻の最終的な目標は、マンションの26階にある仮住まいから、愛する庭のある自宅に戻る事です。
避難区域は数年間そのままである可能性がありますが、彼らはむしろすすんで汚染に立ち向かいたい、と語ります。
テツオさんがこう語りました。
「私たちはもう67歳と61歳です。戻ればガンになる危険性は当然高くなるでしょうが、がんを発症するまで5年から10年かかるでしょう。深刻な病気を抱え込む前に、私たちは故郷に戻り、そこに骨を埋めたいのです。」
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-16212057
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17日土曜日にニューヨーク・タイムズの冷温停止に関する記事の翻訳を掲載しましたが、今日から英国BBC放送、アメリカCNN、そしてアルジャジーラの『冷温停止』に関する報道を順次掲載して行きたいと思います。
翻訳を終えたのはこのBBCの分だけですので、CNN、アルジャジーラと翻訳していき、掲載する事にどういう意味があるのかは、私自身にもまだわかりません。
けれどもこれまで海外の報道については、全文を訳してみて、最初にざっと原文を読んだときよりも内容の深さに驚いた、という事が度々ありました。
世界の報道は(日本の大手メディアを除き)このたびの福島の悲劇を見て、大きく『脱原発』に舵を切りました。
その記事をひとつひとつ翻訳し、レンガを一個一個積み上げるようにして、大きな『原発阻止』の大きな壁が出来上がれば、そう思っています。
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【 心優しい人々の季節 】
アメリカNBCニュース[この世界をかえていく![ メイキング・ア・ディフェレンス ] 12月16日
ブライアンウィリアムズ
「気を滅入らせるような話ばかりが続く中、クリスマスが近づくこの季節になって起きた、心癒される話が全米各地から寄せられました。
ケビン・ティブルズが[ メイキング・ア・ディフェレンス ]をお送りします。
ケビン・ティブルズ(レポーター)「今年のクリスマスは、善王ウェンセラスも鼻高々といったところでしょう。
失業中の配管工、アラン・ジャクウェズは財布を落としてしまいました。財布の中身は今月分の家賃と娘にプレゼントを買うためのお金が入っていました…救ってくれたのはサン・ホセに住んでいた良きサマリア人でした。」
アラン・ジャクウェズ「私は涙にくれながら、彼女を抱擁し、感謝の気持ちを伝えました。彼女は私に『大丈夫よ、気にしないで』と言ってくれたのです。」
レポーター : 財布を拾ってくれたのは同じく職を探しているシングルマザーのキャシー・シルヴィアでした。彼女は1,300ドルが入った財布を拾い、届けてくれましたが、お礼を一円だって受け取ろうとはしませんでした。
キャシー・シルヴィア「誰か他の人の持ち物を持ち主に返してあげただけで、お礼を受け取る気にはなれなかったのです。」
レポーター : ジム・ジョーダンはカリフォルニア州コスタ・メザにある自宅を差し押さえによって失ってしまいました。そして40年続けて来たスヌーピーの光のディスプレイは、今年の開催が危ぶまれる事になりました。そこで町は役場の広場で彼に代わってイベントを開催する事にしました。
キャロライナでは200個もの真珠のプレゼントが、あちこちに置かれていました。
プレゼントにはHGパールからのメッセージが添えられていました。
『見つけた方に差し上げます!』
クリスマスの宝物…
女性「クリスマスは分かち合いの季節だという事を考えると、とても良い事だと思います。」
レポーター : しかしながら、厳しい時代には困窮する人々がつきものです。
ここシカゴの救世軍本部は、1,200人の子供たちにおもちゃをプレゼントしたいと思っていますが、予算が不足していて提供できるのは200個だけでした。
しかし匿名のミシガン州(シカゴがあるイリノイ州の近く)のミセス・サンタが現れ、頭金だけ支払っておもちゃの取り置きをしているのが誰なのかを販売店に尋ね、匿名で残金を支払ってくれました。
メアリー・チェイピン(取り置きのプゼントを受け取った女性)
「心から彼女に感謝しています。私が今まで受け取った中で最高の贈り物である上、それは人を信じることを改めて教えてくれました。あなたもご存知の、いつか必ず良い事がある、と教えてくれた贈り物でした。」
サンタクロース「君たちは何が欲しいのかな?」
レポーター : そしてサウスカロライナ州コロンビアでは、サンタクロースはマイルス家の子どもたちに、彼らが欲しいものを尋ねました。
マイルス家のこどもたち「お父さん!」
レポーター : 中東方面からクリスマスのとっておきの、驚きのプレゼントが送られてきました。
マイルス家のこどもたち「パパ!」「お帰りなさい、パパ!」
レポーター : やはり最高のクリスマスプレゼントは、お金では購えないもののようです。
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