ホーム » エッセイ » 【 数年に及ぶ食品汚染危機に直面する日本 】
[11月30日の東電の発表、米国メディアはどう伝えたか?]
アメリカCBSニュース 11月30日
この春発生した日本の福島第一原発の事故は、当初伝えられた『一部のメルトダウン』などではなく、ほとんど完全なメルトダウンであることが明らかになりました。
東京電力は11月30日水曜日、原子炉一号機の核燃料は原子炉の底を突き破り、コンクリートの土台を破壊し、地面近くまで達していると発表しました。
3月、福島第一原発は大地震と津波により深刻な損傷を受けましたが、CBSの特派員ルーシー・クラフトは、これらすべてのことが日本の食品に今後どれだけの影響を与えるのか、日本は懸念を深めている、と伝えます。
原発から170マイル(270キロ)の場所で暮らす専業主婦の安田としこさんは、原発事故の影響を心配し、近頃は食料品店での買い物をすることが少なくなりました。
「汚染された牛肉がスーパーマーケットで売られたことがありました。ブロッコリーも、ホウレンソウも、シイタケにも似たようなことがありました。汚染の事実が明らかになった時点で、これらはみんなすでに販売されていたのです。もうこれ以上、政府の言うことは信じられません。」
安田さんはさらに、放射線そのものが微量ではあっても、8歳になる娘のあいみさんを傷つけかもしれないと心配しています。
食事の準備をしていてもこの心配が頭を離れることは無く、彼女はほとんどの食材をインターネットで購入するようになりました。
彼女ははるか遠くの南日本の販売業者から卵やその他の生鮮食品を購入し、遠く米国から購入することすらある、 とCBSの特派員に話しました。
東日本全域の漁師や農民にとっては、放射性物質による汚染そのものより、人々の放射能汚染への恐怖がもたらす彼らの生計手段に対する影響の方が大きい、と語ります。
常陸那珂港は、制御不能に陥っている福島第一原発の南約100マイル(160キロ)の場所にあります。
ほぼ週に一度程度、水揚げされた魚について放射線量の測定を行っています。
これまでのところ、基準以上に汚染されている魚は皆無でした。
ここの漁師たちは、彼らが獲ったヒラメ、タコ、エビは食べても安全であると主張します。
しかしながら、近くの直売所の客足は原発事故以降、それまでの半分にとどまっています。
「これ以上消費者が風評被害に惑わされることが続けば、ここにいるみんなが食べてはいけなくなってしましま す。」
政府は人々の食品に対する不安は、過剰反応だと主張します。
毎日何百品目もの食品について放射線検査を行い、このうち放射性セシウムが基準値を超えて検出されているのは数点にとどまる、と発表しています。
しかし、放射線検査機器の数が不足しており、すべての漁船のすべての水揚げについて検査するのは不可能です。
リスクは大きくないかもしれないが、安田さんは放射線で汚染された食べ物が決して娘の口に入らないようにしている、と話します。
「低い線量の放射線被ばくで娘がガンになることは、多分無いでしょう。でももし5年後、娘がガンを発症してしまったら、私は後悔に苛まれることになります。なぜもっと、細心の注意を払わなかったのか、と。」
低いレベルではあっても非常に広い範囲に広がっている土壌と水資源に対する放射能汚染、日本はこれから数年の長きに渡り、食卓に載せても安全な食品とは何か、悩み続けなければなりません。
http://www.cbsnews.com/8301-18563_162-57334218/japan-faces-years-of-food-contamination-fears/?tag=cbsContent;cbsCarousel
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私自身、暮らしているのが福島第一原発の北約95kmの仙台市なので、こういうニュースを見ると心穏やかではありません。
『いったい何であれば食べても安全なのか』、私たちにとって毎日の懸念になってしまいました。
11月8日、9日の2日間ご紹介したアメリカ・ニューヨークタイムズの海洋汚染の実態についての記事 ( http://kobajun.biz/?p=1268 )、そして16日にご紹介したイギリスBBC放送の汚染マップ( http://kobajun.biz/?p=1314 )、さらにはドイツ国際放送による放射性物質以外の汚染物質の存在( http://kobajun.biz/?p=1388 )と、福島第一原発の事故による日本の国土の汚染が容易ならざる状況に陥っていることが、 震災後8か月が経ったこの11月になって次々に世界各国のメディアに取り上げられています。
さすがに国内のニュースでも、福島県北部の深刻な汚染状況が取り上げられるようになり、ひところ問題になった「20ミリシーベルトなんて大丈夫なんです!」などという発言を繰り返していた『学者』も、姿を見せなくなりました。
しかし、深刻な危険と向き合う生活を強いられるのはこれからです。
今回のニュースでも、『数年にわたり』と表現されています。
これらの問題が『完全に』解決されない限り、原発の再稼働など『あり得ない』話だと、私は考えます。