ホーム » エッセイ » 【 原子炉の地震リスクは、当初考えられていたよりも深刻である 】〈第2回〉
アメリカ東部を襲った地震の規模はマグニチュード5.8。
これを東日本大震災のマグニチュード9.0と比較すると、33,000分の1から50,000分の1になるそうです。
その規模の地震がほぼ「最大規模」と予測されているにもかかわらず、記事中にもあるように、アメリカのとある原子力発電所に設置された「非常用電源装置」は、蒸気機関車並みのスケールのものが3基だそうです。
今回掲載した原稿は長くて、ある意味退屈な原稿ですし、翻訳するのにも苦労しました。
ただ、私が3.11以来、抱き続けている疑問に対し、一つの答えがあるような気がしているのです。
それはアメリカ東部のように、地震の懸念がほとんどない場所であっても、原子力発電所に限っては、ありとあらゆる危険の「可能性」にあらかじめ対処しなければならない、という前提を
◆ アメリカの行政・管理監督機関
◆ 産業界
◆ 学会
すべてが共通して持っている、ということです。
その前提に基づき、なすべきことはすべてやる - それは当然である、という考え方が確かに存在しています。
日本の地震頻度を考えると、国内にこれだけの原子力発電所を持つ、ということだけでも、ものすごい無理を感じるのに、日本では3.11以前、「この前提」は、少なくとも東京電力と原子力安全保安院にはありませんでしたね?
そのような会社や国が、果たして原子力発電所を持ち、運用する資格があるのか、あらためて議論が必要だと思っています。
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
【 原子炉の地震リスクは、当初考えられていたよりも深刻である 】〈第2回〉
アメリカCBSニュース
2011年9月2日
NRCは最大のリスクの増加を27の原子力発電所で確認しましたが、リスクの程度についての情報は開示しませんでした。
APは各原子炉のリスクがどの程度増加したかをNRCのデータと方法論を使用し、独自に計算を試みました。
オハイオ州のペリー原子力発電所1号機は、炉心損傷の確率が急上昇したことにより、このリストのトップに来ます。1989年の予測の24倍です。
最もリスクが上昇した他の4つの原子力発電所のうち、ルイジアナ州のリバーベンド1号機は9倍、イリノイ州のドレスデン2-3号機が8倍、アラバマ州のフェアリー1-2号機がとカンザス州のウルフ・クリーク1号機が7倍になっています。
最少の増加はノースアンナ原子力発電所の38%でした。
ペリー原子力発電所を運営するファーストエナジー社の広報担当者トッド・シュナイダーは、NRCによる推定の地震リスクの増加には誤解があると述べました。彼は、ペリー原子力発電所は、通常この地域で観測されるよりも大きな地震に耐えることができると述べました。
ニューヨーク市郊外のインディアン・ポイント原子力発電所とサウスカロライナ州のオコニー原子力発電所を含む他の複数の原子力発電所の幹部職員は、すでにNRCの計算をやり直し、地震による炉心損傷のリスクははるかに低いことを提示しています。これらの計算結果は、他の連邦機関と共働しながらすべての原子力発電所に対する地震リスクの、あらゆる側面を検証しているNRCによって、まだ検討されてはいません。
地震発生確率と被害の予測は当てになりません。
この3月、地震により引き起こされた津波が、はるかに予測を上回る規模で福島第一原子力発電所に襲いかかったとき、日本の原子力産業はただ驚くばかりでした。
「米国の原子力産業は、どちらかと言えば、完全に準備ができていない可能性があります。
現行の規制では、NRCは原子炉が地震について新たに判明した脅威に対し、そのままでも 対応できるのかどうかを確認する必要はありません。
それは単に地震だけの問題ではありません。それは洪水、竜巻やハリケーンを含む、あらゆる種類の災害がもたらす脅威です。」
NRCの最近の地震活動について話すことを許可されていなかったため、匿名を条件に取材に応じたNRC関係者はこう語りました。
地震については、核反応を起こさせるために頑丈に作られている原子炉容器に対する直接被害よりも、災害が襲った時に必要になる水槽や機械装置、電気機器についての懸念の方がより大きなものなのです。
こうしたシステムの故障は、放射性燃料のメルトダウンを防ぐために必要な冷却機能を停止させる恐れがあります。
AP通信社が入手した電子メールの一部には、NRCの職員が、米国の原子炉は余震の影響と津波と地震の複合的影響について、綿密な検証を行ってこなかったのではないか、と懸念を深めているものがありました。
彼らは、原子力発電所がより耐久性のある配管を行うだけでなく、より大きな洪水への障壁と中枢機器の防水機能を必要とするかもしれないと提案しました。
職員たちは大量の燃料の供給手段と、大規模な電力喪失への対応の必要性について論じました。一つのメールには、地震で機能しなくなる可能性がある、ドレスデン原子力発電所のメインポンプに関する懸念が表明されていました。
[ つづく ]
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
動画【エネルギー101】
今日はアメリカ政府エネルギー省のシリーズ・キャンペーン・ビデオ「エネルギー101」から、改めて太陽光発電編をご覧ください。
『太陽光発電電力(PV)システムは、太陽が輝く場所である限り、どんな場所でも清潔でコスト効率の良い電力を生成することができます。このビデオは家庭とビジネスに電力を供給するため、PVパネルが太陽のエネルギーをどのように、再生可能な電気に変換するか、その働きについて解説しています。』