ホーム » エッセイ » 【 原発輸出推進のアベ政治、東芝の破綻に続き、日立をも深刻な窮地に追い込む 】
新たな原子力発電所建設計画、危険なほどの不採算性を前に中止の可能性が急浮上
新しい原子力発電事業の経済基盤は極めて脆弱
アダム・ボーハン/ ガーディアン 2018年12月10日
写真 : ウェールズのアングルシーで予定されているウィルファ原子力発電所の完成予想図
アングルシーにある160億ポンド(2兆2,800億円)をかけた日立製ウィルファ原子力発電所建設は、ヒンクリーポイントCの次に計画中のプロジェクトです。
英国政府は、日本の日立製作所がウェールズのアングルシーに建設を予定しているウィルファ原子力発電所に直接投資することを検討しています。
日立がウェールズでの原子力発電所建設計画の中止を検討しているとの報告が提出され、英国の原子力発電計画の見通しに疑問が生じています。
アングルシーにある日本のコングロマリット日立製作所製の出力2.9GWの原子力発電所は英国の原子力発電計画の要となるものであり、EDFエナジー社によるサマセット州の3.2GWのヒンクリーポイントC原子力発電所建設計画の次に実施される予定になっています。
しかし日本の民間の全国放送の番組でWylfa Newydd(ウィルファ・ネーウィズ)計画が中止される可能性があると伝えると、日立の株価は一時約3パーセント上昇、ただし終値では1パーセントの上昇にまで値を戻しました。
このプロジェクトは、火曜日日本の多国籍企業理事会で議論される予定です。
ガーディアンの取材によれば、原子力発電所建設から撤退すれば日立はこのプロジェクトに関して約20億ポンドの欠損を計上しなければならなくなります。
先週、日立製作所取締役会長の中西弘明氏は、同社は資金を調達のための投資家探しが難航していることを認めました。
日立は「異例なほど厳しい状況」に直面していると語りました。
一方ウィルファ・プロジェクトが失敗すれば、一連の新しい原子力発電所の建設によって二酸化炭素の削減目標を達成すると同時に、老朽化した火力発電所と原子力発電所が廃炉されていくことによって生じる電力不足を解消するという英国の希望的計画に大きな打撃を与えることになるでしょう。
東芝が自身がムーアサイド・プロジェクトから撤退した後に事業を引き継ぐバイヤーを見つけられなかったために、カンブリアの重要な新原子力発電所の建設計画が崩壊したため、英国の政権は既に打撃を被っています。
しかしこの段階で日立がウィルファ原子力発電所の建設プロジェクトからの撤退を表明するのは極めて異例です。
現在も英国政府、日立、そして日本政府の三者による協議が進行中です。
事業の顧問を務めるグレッグ・クラーク(Greg Clark)氏は、6月に英国政府は民間の原子力発電事業には関与しないという何十年もの方針を覆し、原発事業に「直接投資」を行うことを検討していると述べました。
しかしこうしたプロジェクトであっても「長期的には民間部門から資金を調達すべきだ」と述べています。
英国は、発電所160億ポンドの融資を行うために、少なくとも50億ポンド以上の株式を取得することを提案しているとみられ
ています。
同社と政府は、依然として「かなり激しい」と表現される内部協議を続けています。
日立の英国の子会社ホライゾンは、EUの国家援助の承認を清算し、2020年半ばから後半にかけて最終の投資に関する決定を下すためには、2019年中頃までに英国と合意に達する必要があります。
ウィルファ・プロジェクトは、日立が建設を検討している2つの原子力発電所の1つであり、グロスターシャーのオールドベリーで計画されている同一規格の2.9GWプラントです。
ホライゾン社の広報担当者は次のように説明しています。
「今年6月の国務長官の英国下院への声明は、ホライズン社と英国政府間のウィルファ・ネーウィズ・プロジェクトの資金調達についての話し合いは、投資家と英国の電力利用者の双方に利益がもたらされるよう配慮する内容のものです。」
しかしホライゾン社は交渉内容は事業として機密保持が必要であり、憶測や噂について一々言及するつもりはないと述べています。
グリーンピース英国は、投資家が新しい原子力発電事業の経済基盤が極めて脆弱であることを目の当たりにすることになったと語りました。
グリーンピース英国のチーフ・サイエンティスト、ダグ・パール氏は次のように語りました。
「日立はウィルファ原子力発電所の建設プロジェクトから撤退するかどうかを検討している以上、英国政府は何年ものあいだ間違った方向にこの国の電力行政を後押ししてきたのではないかということを検証しなければならないかもしれません。」
https://www.theguardian.com/environment/2018/dec/10/uk-nuclear-plant-hitachi-wylfa-anglesey
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この記事が伝える事態もアベ政治の本質を伝えるものの一つです。
すなわち、世界全体の潮流を見極めることができない
道理というものを考えれば当然不可能なものを、政治圧力をかけて事実と真実を曲げて欺瞞で覆い隠して押し通ろうとする
日本国内では通用しているこうしたやり口も、数字と現実を見る欧米では通用しないのは当たり前。
この報道を他国の出来事と捉えるのではなく、欺瞞に満ちた不誠実そのもののアベ政治がまかり通ることを許している私たち日本人について考える材料にしたいものです。