ホーム » エッセイ » 【 再生可能エネルギー100%社会を実現するドイツ・目標は2050年】《前篇》
再生可能エネルギー供給が100%を大きく超える社会が、すでに実現されている
巨大電力会社所有の送電網利用の拒否に対し、自前の送電網を建設、電気代は一気に3分の1に
アンドリュー・ボーエン / ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 5月28日
ドイツは2050年までにエネルギーの100パーセントを再生可能エネルギーから得ることが出来るようになる、一部の専門家はそう確信しています。
再生可能エネルギー100%社会、それは遠いゴールのように見えるかもしれません…
しかし実は、ブランデンブルグの小さな村では、すでに成し遂げられたものなのです。
フェルトハイムの住民に、彼らが暮らす村について説明してくれるよう頼んでみましょう。
少なくともひとつの点については、同じ答えが帰ってくるはずです。
静かさです。
ベルリンの南西約60kmの場所にあるフェルトハイムは、人口わずか128人の小さな村です。
見ただけでは何の変哲もありません。
しかしこの村のたった一本のメインストリートの下に張り巡らされた電源ケーブルと暖房用のパイプに電気を供給しているのは、すべて再生可能エネルギーです。
51歳のペトラ・リヒターさんは、フェルドハイムで生まれ育ちずっとこの場所で暮らし、現在村長の役を担っています。
彼女はこの村が実現したことを、大変誇りに思っていると語りました。
「村の人々がみんなで力を合わせ、短期間のうちにチャンスをものにしたことにより、この取り組みが実現できたと考えています。」
▽ 風力からバイオマスへ、そして太陽光へ
フェルトハイムの取り組みが始まったのは1995年でした。
当時工学部の学生であると同時に起業家であったミカエル・ラシュマン氏が、地元の農業協同組合が所有する農場に4基の風力発電タービンの設置を提案しました。
比較的平地が多く風の強い気候は、風力発電にうってつけであることが解りました。
ラシュマン氏も共同経営者のひとりである再生可能エネルギー会社エネルジーケレ(Energiequelle)社と協力しながら、フェルトハイムは風力タービンの数を47基にまで徐々にふやしていきました。
「プロジェクトは最初から今日の形をめざしていた訳ではありません。徐々に徐々に現在の形になって来たのです。」
近所に住む在留英国人で、フェルトハイムの再生可能エネルギーシステムのツアーガイドをするキャサリーン・トンプソンさんがこう語りました。
フェルトハイムでは最新最大の風力タービンは、1基だけで年間900万キロワットの発電を行っており、1基で村全体の電気需要を十二分に賄うことが出来ます。
フェルドハイムで再生可能エネルギーによって生み出される電気の実に99%は、市場に売電されているのです。
風力発電所の成功を基に、農業協同組合は事業を多角化しました。
穀物価格の下落と光熱費の値上げに直面したフェルトハイムの農協はバイオガス発電所の建設を決定しました。
この村ではトウモロコシと穀類の実をとった後の葉や茎、そして豚と牛の糞を混ぜ合わせたものをメタンガスに転換させます。
このガスは村のすべての家々の暖房用の燃料となっています。
そして2008年、バイオガス発電所が稼働を始めた年、フェルトハイムとエネルジーケレは太陽光発電システムの設置を開始しました。
太陽光パネルが遺棄さられた旧ソビエト軍の軍事設備の跡地に設置され、現在、一般家庭600世帯分以上の電力を生み出しています。
〈 後篇に続く 〉
http://www.dw.de/feldheim-germanys-renewable-village/a-18466800
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【 自暴自棄…トルコ国境に溢れるシリア難民 】《1》
アメリカNBCニュース 6月15日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)
激しい戦闘が続くシリア北部から国境のフェンスを超えてトルコへ逃れようと、数千人のシリア難民が国境付近に溢れています。
現在シリアのクルド人武装組織が、イスラム国(IS)が支配する拠点都市のひとつに対する攻勢を強めています。
この都市はイスラム国(IS)の事実上の首都に近く、国外からの重要な補給路であり、双方にとって重要な戦闘となっています。
これに対しトルコ側は、この地における難民の受け入れ能力には限界があり、難民流入を制限する措置をとっていると語っています。
6月15日のトルコ、シャンルウルファ、アクチャカレで、国境を通過するため国境ゲートに向かうシリア難民の親子。(写真上)
国境のフェンス越しに、幼児をトルコ側に越境させようとする男性。
国境のフェンスにはすでに大きな穴が開けられています。
トルコの当局者は6月1日から半月ですでに13,400人のシリア難民がトルコ領内に入り、現在も2,500人が受け入れを待っていると語りました。(写真下・以下同じ)
数千人のシリア難民を前に、警備にあたるトルコ軍の車両。
結局ここにいた難民は14日午後に一斉に国境を突破し、トルコ軍側はあまりの大人数になす術がありませんでした。
http://www.nbcnews.com/news/world/syrian-refugees-flee-turkey-n375461