ホーム » エッセイ » 【 再生可能エネルギー100%社会を実現するドイツ・目標は2050年】《後篇》
気候変動問題に対する自分たち世代の責任行動、それが再生可能エネルギー供給100%を超える社会の実現
再生可能エネルギーによる発電、自前の送電網の整備、住民自らの取り組みにより電気代は一気に3分の1に減少
アンドリュー・ボーエン / ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 5月28日
フェルトハイムの中、そしてその成功を見て周辺の自治体が次々と再生可能エネルギー開発に踏み出して行きましたが、エネルギーの自給自足社会の実現にはまだ大きな障害が残っていました。
電力会社E.ONは送電網をフェルトハイムに売却することも、賃貸することも、その両方を拒否したのです。
こうした嫌がらせに対し、フェルトハイムもエネルジーケレも屈することはありませんでした。
彼らは独自に送電・受電が出来る送電網と、暖房用の配管のネットワークの建設に取り組むことにしたのです。
財源はEUの助成金と事業用資金の貸し出し、そして村人一人当たり3,000ユーロ(約415,000円)の拠出金でした。
2010年、村民たちが築いた送電網に電気が流されました。
そしてここに従来の大規模発電事業から完全に独立した再生可能エネルギー100%社会が実現し、各家庭の電気代は一気に3分の1になったのです。
そして同時に自他ともに認めるカーボン・ニュートラル(炭素循環型)社会が実現したのです。
しかしカーボン・ニュートラルという名称については、幾分割り引く必要があるかもしれません。
ドイツの法律はこうした送電網との接続を、自宅の所有者に限っています。
フェルトハイムの住民であっても、少数ですが賃貸住宅で暮す人は従来の送電網から、他のドイツ国内で暮らす人々と同じ電気を購入しなければならず、その電気は再生可能エネルギー100%ではありません。
しかし在留英国人で海外からのフェルトハイム見学者のためのガイドを務めるトンプソンさんは、最終的には法律が改正され、村の全員が独自の送電網を使って再生可能エネルギーの供給を受けることが出来るようになることを期待していると語っています。
さらにフェルトハイムではすべての発電設備が停止しても、2日刊村に電気を供給できる大型の蓄電池の設置を現在進めていますが、この秋には稼働を開始する予定になっています。
▽ 模範例?
フェルトハイムについて発信された情報の総量は莫大なものになり、村はちょっとした観光の名所になりました。
この村には一日平均3,000人の訪問者がやってきますが、その中には福島第一原子力発電所の事故を受け、次の世代のためのエネルギー源について模索する日本人の姿を数多く見かけると言います。
オーストラリアで持続可能エネルギーの開発普及に取り組む活動家のリン・ハヴィーさんは、最近フェルトハイムを訪れましたが、村民が自前の送電網を整備したその取り組み姿勢に感動したと語りました。
同じくオーストラリアのビクトリアから見学に来たリッデルズ・クリークさんは、故郷で同じ取り組みを実現させるのは難しいだろうと語りました。
ひとつはビクトリアという都市の規模、もうひとつは大手電力会社の存在です。
「気候変動の問題については、私たちの世代がなんとか解決のための糸口を見つけ出さなければなりません。」
リッデルズがこう語りました。
「それは、人々次第です。言えることは、私たちは先行する事例が存在する場所まで出かけていき、この目で確かめ、学ぶべきものを学び取る必要があるという事です。」
フェルトハイムの住民たち、そしてその再生可能エネルギー開発に携わった人々は、ここと同様の成功を世界中どこでも実現することは極めて難しいことであることは解っています。
しかし先出のトンプソンさんは、フェルトハイムではいくつもの幸運があったことを認める一方で、巨大電力会社などが圧力をかけてきたにもかかわらず、一丸となって再生可能エネルギー100%社会を実現した村の人々の不屈の精神を、過小評価するべきではないと考えています。
〈 完 〉
http://www.dw.de/feldheim-germanys-renewable-village/a-18466800
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【 自暴自棄…トルコ国境に溢れるシリア難民 】《2》
アメリカNBCニュース 6月15日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)
激しい戦闘が続くシリア北部から国境のフェンスを超えてトルコへ逃れようと、数千人のシリア難民が国境付近に溢れています。
現在シリアのクルド人武装組織が、イスラム国(IS)が支配する拠点都市のひとつに対する攻勢を強めています。
この都市はイスラム国(IS)の事実上の首都に近く、国外からの重要な補給路であり、双方にとって重要な戦闘となっています。
これに対しトルコ側は、この地における難民の受け入れ能力には限界があり、難民流入を制限する措置をとっていると語っています。
6月15日のトルコ、シャンルウルファ、アクチャカレ、国境のフェンスを破壊し不法入国するシリア難民(写真上)
次々とトルコ領内に逃れるシリア難民。(写真下・以下同じ)
トルコ・シリア国境の金網で囲われた緩衝地帯に留め置かれたシリア難民の幼児。
トルコ領内から遠望するシリア、アブヤド郊外への空爆。
自宅付近が米軍機の空爆を受ける様子を見て、泣き崩れるシリア難民の女性。
http://www.nbcnews.com/news/world/syrian-refugees-flee-turkey-n375461