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ドイツのアーヘン市当局、ベルギーの原子力発電所を相手に訴訟、狙いは廃炉の決定
国土全体から原子炉を無くす画期的な決断をしたドイツ、隣接するフランス、ベルギーの原発の脅威
エリザベス・シューマッハー / ドイツ国際放送 2016年2月2日
ドイツ西部のアーヘン市は2月2日火曜日、隣国ベルギーの原子力発電所を相手に近々訴訟を起こすと発表しました。
訴訟の内容は、老朽化したベルギー国内の原子力発電所の安全管理が適切に行われていないというものです。
大都市圏にあるアーヘン市議会はこの原子力発電所の安全管理上の未だ解決されていない問題について、ベルギーの管理法廷に訴訟を起こすことについて満場一致で賛成の採決を行いました。
ベルギーのユイ市にあるティアンジュ原子力発電所は、アーヘン市の約71キロメートル西方にあります。
アーヘン市はベルギー、オランダと国境を接する位置に有ります。
アーヘン市当局によると、訴訟の内容はティアンジュ原子力発電所の完全廃炉に向けての作業の中で、老朽化した原子炉を再稼働させることは、欧州連合が定める原子炉の安全管理基準に違反するというものです。
ドイツの報道機関によれば、ティアンジュ原子力発電所の原子炉2号機はコンクリートブロックに軽微な亀裂が発見され、2014年3月に停止の措置が採られました。
ところがアーヘン市の訴状によるとティアンジュ原子力発電所2号機は、必要な修理を施される事無く、2015年3月に再稼働されてしまいました。
「ここ数週間で、ベルギー国内のドゥール原子力発電所とティアンジュ原子力発電所では、危険な事故が続けて何件か発生しました。ルール地方の大都市圏にも近いドイツ、ベルギー、オランダの3カ国の国境が入り組んでいるこの場所では、住民が不安を抱え、懸念を深めています。
アーヘン市当局が明らかにした声明文にはこうありました。
この声明はひとつにはベルギーの法廷において訴訟を起こすことを告知することが第一の目的ですが、もうひとつの狙いはEU(欧州連合)のレベルで「ティアンジュ原子力発電所原子炉2号機を廃炉にする」という結論を導き出すことです。
アーヘン市はさらにティアンジュ原子力発電所原子炉1号機についても、現在グリーンピースが稼働停止を求めていることを視野に入れ、将来的にこちらに対しても法的措置をとる可能性があると言及しました。
拡大するアーヘンの反原発運動
ティアンジュ原子力発電所の所有者であるエレクトラベル社が老朽化した原子炉のうちの1基を再稼働させるとの発表を受け、多くのアーヘン市民が抗議のため集まってきました。
ドイツでは原子力発電は重要かつ注目を集めている問題です。
2011年に発生した福乃事故を受け、ドイツ政府は国内のすべての原子炉を段階的に廃止していく政策を採用しました。
国土全体から原子炉を無くしてしまうというこの画期的な決断と努力も、ドイツ国境付近に数多く存在するフランス、ベルギーの原子炉によってほとんど無意味にされてしまう可能性があります。
昨年12月、ドイツ政府はベルギー国内にあるティアンジュ原子力発電所の原子炉を止める法的拘束力を持っていないとの発表を行いましたが、これを受け1,500人以上のアーヘン市民が原子力発電所の停止を求めてデモ行進を行いました。
http://www.dw.com/en/german-city-of-aachen-to-sue-belgian-nuclear-power-plant/a-19021423
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