ホーム » エッセイ » 【 ゲンパツ…温暖化…核兵器…すべてが無くなる世界の実現を!】《9・完》
福島第一原発周辺で採られている防護対策が万全ではないという事実を証明した、原発作業員の防護服
原子力発電は気候変動の解決策などではなく、地球と人類にとって克服しなければならない問題
フェアウィンズ 2017年2月2日
ラジオ・エコショック(ES):では次にマルコ・カルトーフェン博士についてご紹介いただき、ボストン・ケミカル・データにおける彼の研究成果についてお話しいただけますか?
アーニー・ガンダーセン(AG):
カルトーフェン博士はボストン・ケミカル・データの代表を務め、これまで私が日本各地で採集した数多くのサンプルを分析し、結果を出してくれた人物です。
彼のウェブサイトにはフェアウィンズのサイトのリンクからも移動できますが、そこにはこれまでの分析結果が詳細に記載されています。
カルトーフェン博士が公開している資料の中で最も注目すべき部分は、日本の人びとがフェアウィンズに送って来たサンプルを分析した結果得られたものです。
ここに福島第一原発で事故収束・廃炉作業を行っていた職員の作業服一式があります。
彼らは放射性核廃棄物が大量に積み上げられた福島第一原発の施設内のほか、福島県内全域に飛び散った放射性物質を取り除くための除染作業などを行っています。
私たちの手元にあるのは、これらの作業に従事した際着用していた衣服の完全なセットです。
率直に申し上げて当初私たちは作業ズボンが最もひどく汚染されているだろうと予想していました。そして体の下から上に行くにしたがって汚染の程度も減少すると考えていたのです。
その他私たちの手元には作業員が使用した手袋、靴、シャツがあり、そしてズボンがありました。
しかし実際に検査を行った結果、最も汚染がひどかったのはズボンのジッパーだったのです。
実に驚くべき結果でした。
この作業員はズボンのジッパーを開く際、特段の警戒はしていなかったと思います。
その結果、彼のズボンも下着も放射能によって汚染されることになりました。
このように作業員が着用していた衣服の思いもかけないところが放射性物質によって汚染されているという事は、日本で採られている防護対策が万全ではないという事実を証明しています。
ラジオ・エコショック(ES):それでは次に昨年各報道機関によって取り上げられた福島第一原発の事故に関する訴訟や現在審理がつついている裁判とあなたとの関わりについて質問させていただきたいと思います。
アーニー・ガンダーセン(AG):
現在私たちが関与している裁判は1件ですが、弁護士からは事故に関する報告書が公式に刊行されるまで、コメントを差し控えるよう指示されています。
それ以降であればどのような説明もさせていただきますが、現時点では具体的なお話が出来ない事をご容赦いただきたいと思います。
ラジオ・エコショック(ES):そのような事情であれば仕方がありません。
ところでフェアウィンズのサイトには、誰もが期待する暴露記事のようなものはありませんね?
抑えた内容になっている理由というのは、専門家が見ても納得できるようにするためですか?それとも原子力産業界の人間に遠慮しているのか、あるいは私たち一般市民全員に飽くまで客観的事実を提示するためなのでしょうか?
アーニー・ガンダーセン(AG):
理由は飽くまで客観的事実を提示するためです。
私はかつて原子力産業界に身を置き、原発機器メーカーで副社長を務めていました。
しかし私の考え方を嫌う人間たちによって原子力産業界から追い出され、私は学校の教師になりました。そして教師の仕事を続けながら、副業として原子力発電に関するコンサルタント業を始めたのです。
そして私は高校生、中学生に原子力発電について正しい知識を持ってもらうために必要な資料の入手方法や手がかりを見つけました。
それは原子力発電に関する解説の中身を簡略化したり、レベルを下げたりといったことを必ずしも意味しません。
私たちは一般の人々が原子力発電所について正しい理解をするために必要な手順と手続きについて、必要な資料を集めて作成したのです。
私はこうした手法を採用して良かったと考えています。
ラジオ・エコショック(ES):残念なことですが、現在の原子力行政を見ると、産業界の利益誘導により闇に支配されているというのが実態のようです。
私は気候変動に関わる科学者たちの中に、国外のサーバーを使って色々な権威機関にそっくりのサイトを立ち上げている事実を把握しています。そこではあなたのように原子力発電に反対する人々について、よくて偽りの情報を拡散する人間というレッテルを貼り、最悪の場合にはテロリスト呼ばわりしています。
このように原子力発電業界から供給されていると思われる闇の資金によって、あなたが行なっているような啓蒙活動は今後難しいものになりそうですか?
アーニー・ガンダーセン(AG):
あなたもご存じの通り、フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションの代表を務めるマギーと私は1990年以来ずっと苦しい立場に置かれてきました。
それを繰り返し使嗾してきたのが原子力産業です。
アメリカの原子力規制委員会は私たちの立場を守ることを拒否しています。
私たちは住む家も失い、破産にまで追い込まれました。
これ以上暗い世界があるだろうかという立場に置かれ続けてきました。
基本的に今もその事実は変わりません。
サン・オノフル原子力発電所のタービンに関する問題に取り組んでいた際、フェアウィンズのサイトがDDoS(多数のコンピュータを乗っ取り、特定の対象を一斉攻撃する)攻撃を受けたことがありました。
犯人の特定はできませんでしたが、執拗な攻撃は6日間続けられ、サイトの再構築に数千ドルの費用を要しました。
そして結局日本語のサイトは二度と回復させることができませんでした。
私たちはこうした人間たちからずっと目の敵にされ続けてきましたが、唯一の救いは気候変動に取り組む科学者たちの中に政府や原子力産業界の主張は正しいものではない、という事実に気が付き始めた人が増えているということです。
真実の世界へようこそ、声を大にして言いたいと思います。
ラジオ・エコショック(ES):ガンダーセンさん、最後に何か皆さんに伝えたい事はありますか?
アーニー・ガンダーセン(AG):
私はフェアウィンズのサイトをご覧いただいている皆さんに改めてお礼を申し上げたいと思います。
そして先ほど申し上げた事情から、善意の寄付をいつでもお待ちしています。
私たちは長い間原子力発電とは何か?という事を考え続けてきました。
その結論は原子力発電は気候変動の解決策などではなく、地球と人類にとって克服しなければならない問題だという事なのです。
〈 完 〉
http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education//ecoshock-interview-extreme-nuclear-dangers