ホーム » エッセイ » 【 これ以上待つつもりは無い?日本の平和主義は私が終わらせる?! 】《後篇》
「私はすでに国民から、憲法を改定するための信任を得ている!」
経済優先「アベノミクス」は隠れ蓑、その視線の先にあるのは憲法改定
首相自身の中でいくつかの問題の整合性が取れていないため、ある部分では安倍首相は危ない橋を渡っているという事が言えるかもしれません。
まず挙げられるのが中国との関係です。
日本にとって最大の貿易相手国であり、道半ばの日本経済の回復の重要なカギを握っており、個人的にも会計の悪化を望んではいません。
しかし経済の専門家は安倍首相がこれ以上中国に対して挑発的な態度を取れば、中国国内で事業を展開している日本企業などが攻撃される危険性があり、それはそのまま安倍首相の経済政策を損なう可能性があると警告しています。
そして安倍首相の歴史の修正主義者としての在り方もまた同様の結果をもたらします。
安倍首相の祖父である岸信介は最終的には総理大臣に就任できましたが、戦後は戦争犯罪人として有罪の判決を受けた人物です。
その人物から安倍首相は、アジアの安全保障について、日本はより大きな役割を演ずるべきであるという考え方を受け継ぎいだのです。
軍事能力を高めていく中国という存在に対し、アメリカ政府は日本に対し一定の軍事的役割を担ってくれる盟友として機能するよう切望してきました。
しかし日本は頼もしい盟友になるどころか、ことあるごとに中国政府と対立し、アメリカが解決すべき問題を一つ増やしてしまったのです。
2013年10月、ジョン・ケリー国務長官とチャック・へーゲル国防長官の日本訪問の際、彼らは千鳥ヶ淵戦没者記念碑を訪れ、無名の人々の霊に参拝し、日本の政治指導者たちに対し靖国神社からは遠ざかるよう、無言の警告を行ったはずでした。
「つまるところ安倍首相の歴史認識は、アメリカをはじめとする西欧社会のものとは全く異なっているのです。安倍首相は戦後アメリカが確立した秩序を、全く受け入れてはいないのです。」
それでも就任当初経済政策に集中したおかげで、歴代の内閣と比べ安倍内閣の支持率は50%前後と高い水準を保ったままです。
今のところ強力なライバルや政敵も出現せず、国政選挙は今のところ2016年まで行われる予定がありません。
安倍首相率いる自由民主党は2013年7月、参議院選挙で地滑り的勝利を得ました。
それにより安倍首相は両院議会の制御、そして法律を成立させる力を得ました。
安倍首相はその時々において、アメリカとの協調作業を上手にこなしてきました。
一例として挙げられるのが、沖縄のアメリカ軍基地問題です。
海兵隊の基地移転問題については、個人的に熱心な取り組みを見せていました。
「安倍首相は就任するとまず経済復興に集中し、支持がためをすることから始めました。それは賢明なやり方でした。」
関西大学法学部の吉田栄司教授がこう語りました。
「しかし実は安倍首相は本当に自分がやりたいことに取り掛かれるタイミングを待ちに待っていたのです。そのタイミングが今なのです。」
中国は11月に一方的に東シナ海に外交紛争の原因となっている尖閣諸島をも含める地域に一方的に新しい防空識別圏を宣言し、東アジア全体で近隣諸国を警戒させる結果を招きました。
そのため新たな戦略を展開できる余裕を失ってしまいました。
防空識別圏に他国の航空機が侵入した場合、中国は直接的軍事手段を取る可能性があります。
これに対し宣言直後アメリカは圏内でB52戦略爆撃機2機を飛行させましたが、中国側は反応を示さず、直接威嚇を加える政策を撤回したようにも見えました。
「中国はすでにカードを切ってしまっていました。」
同志社大学の村田教授がこう語りました。
「中国側には安倍首相の靖国参拝について、これ以上問題を大きくすべき余裕は無かったのです。」
一部のアナリストは安倍首相が靖国参拝の余波が最小限のものになるよう、慎重にタイミングを選んで行ったと語りました。
安倍首相は、靖国神社の重要な宗教行事が行われる日、あるいは政治的、歴史的に重要な記念日の参拝は避けました。
日本の保守政治家のほとんどは、靖国参拝の目的は単に第二次世界大戦で亡くなった310万人の軍人と一般市民に哀悼の意を表するためのものであり、政治的に糾弾されるべき筋合いのものではないと主張しています。
安倍首相自身もこの主張を行いました。
首相は靖国を参拝し、改めて平和の大切さを痛感させられたと語ったのです。
しかしほとんどのアナリストは、自ら語る程安倍首相が経済政策に専念しているとは見ていません。
2014年、安倍首相は経済対策よりも、憲法を書き換えるための第一歩を踏み出すことになりそうです。
安倍首相は当初、同盟国が攻撃を受けた際に有効な反撃を可能にするため、憲法の解釈を見直すと発言していました。
安倍首相は当初、同盟国が攻撃を受けた際に有効な反撃を可能にするため、憲法の解釈を見直すと発言していました。
しかし今や日本が正規軍を設立するために、憲法の条文全体を書き換えようとする姿勢を隠そうともしていません。
顧問会社であるテネオ・インテリジェンスの日本の政治問題の専門家であるトビアス・ハリス氏が次のように指摘しました。
「安倍首相による靖国参拝から読み取るべきこと、それは何よりも景気回復を優先するというその発言の裏側では、首相として自分が国民から負託されているのは経済問題に限られたものではない、そう考えているだろうという事です。」
〈 完 〉
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ご紹介した記事をお読みいただいた後、下記URLのダイヤモンド・オンラインの記事をお読みいただくと、この問題に関するご理解がさらに深まると思います。
http://diamond.jp/articles/-/46994