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【 回避できたはずの福島第一原発の事故 】〈前編〉

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【福島の真の事故原因 : 2000年に世界標準になった、冷却装置耐水基準を無視したこと】
「1999年のフランスの事故により、策定された国際基準を原子力安全保安院と東京電力が無視」

ジエームズ・アクトン&マーク・ヒッブズ / インターナショナル・ヘラルド・トリビューン 3月10日

2011年3月11日日本、巨大な津波が福島第一原子力発電所に殺到し、チェルノブイリ以来最悪の原発事故を引き起こしました。
原発の周囲で暮らしていた30万人以上の人々が避難を強いられ、原発周辺の土地の広大な土地は、これから何十年もの間、使用できなくなります。
これらの地域から放射能を除去する作業には、数千億円規模の費用が掛かる可能性があります。
当然のことながら、自然災害の発生が予測不可能である以上、原子力発電は危険が大きすぎる、という批判が人々の間で急激に盛り上がることになりました。

さらに1年が過ぎ、地震と津波が福島第一原発で事故を引き起こしたことは「神のなせる業」でもなければ、「日本の大いなる不運」などではないことが、ますます明らかとなってきました。

原子力発電所に対する津波の危険性は詳細に検証されており、こうした危険性を軽減させるための一連の国際基準が2011年にはすでに出来上がっていました。

なのに日本の原子力規制機関である原子力安全保安院は、日本が津波による被害を度々受けている国であるにもかかわらず、これらの国際基準を採用しようとはしなかったのです。

そして福島第一原発の運営会社である東京電力も、この国際基準に基づく津波がもたらす危険性の再検証をしていませんでした。
当然ながら国際基準に準拠する、津波の危険を軽減するための設備の開発の強化を行ってはいませんでした。

加えて東京電力自身による過失もありました。
福島第一原発がある周辺地域では、1,000年間隔で巨大津波に襲われた地質学的証拠がありました。
西暦869年に襲ったと同じ巨大地震が発生した場合、その時と同規模の津波が、再び襲う可能性を示唆するコンピュータによるシュミレーション結果を東京電力自身が2008年に確認していました。
しかし東京電力はもしそうなった場合、どのような事態につながる可能性があるのか、十分な検証を行いませんでした。

津波が原子力発電所に与える最大の危険は、施設内の電源喪失です。
電源の供給が無ければ炉心の冷却ができず、メルトダウンにつながる危険性があります。
これは実際に福島で起きてしまいました。

実は1999年12月にフランスのブライエ原子力発電所が洪水に襲われた際、同じような事故が発生しそうになったことがあったのです。

この事態を受け欧州各国は、自国内の原子力発電所の脆弱性について徹底的に検証を行いました。
その上で緊急電源設備の強化を行い、厳しい自然災害からこれらの設備を守るための防御工事を行いました。

東京電力も原子力安全保安院も、これら一連の経緯をすべて把握していたのです。

もし東京電力と原子力安全保安院が、ヨーロッパに倣って同じ処置をとっていれば、福島第一原発の事故は起きなかったはずなのです。

要するに、東京電力と原子力安全保安院がその時すでに出来上がっていた国際安全基準を採用し、この時点で可能だった最良の対策を施していれば、福島第一原発の事故は避けられたことでしょう。
〈つづく〉

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現在大飯原発の再稼働に関し、「福島第一原発の事故を受け、新たに高所に電源車を配置するなど…」と国内で報道されていることを、まず思い出してください。
つまり、『関西電力が運営する』大飯原発でも、福島第一原発の事故が起きるまで、この記事が指摘する国際標準を無視していたことになります。
亡くなられた作家の司馬遼太郎さんが
「日本はこれでいい」
という、機械文明を理解するという点において、致命的な欠陥が日本人にはある、と書いておられます。
司馬さんはご自身が満州の戦車兵であった経験について、こう書かれています。
当時の世界水準(ソ連のT-34、ドイツのタイガー、アメリカのM4シャーマン など)と比べ、ブリキのおもちゃのような日本の戦車で、ソ連と満州国の国境線に配備され、いざソ連軍が雪崩を打って国境線を超えてき たら、この『戦車』で迎え撃て、と命令されていた。
ところがその『戦車』なるもの、こちらの主砲の弾がソ連のT-34に命中しても厚い装甲によって跳ね返されるだけなのに対し、もしソ連のT-34の主砲の弾が一発でもこちらに命中すれば、木端微塵に吹き飛ばされるという『代物』だった。

日本は資源が乏しい国なのだから、日本製戦車はこの程度のもので十分である、と いう発想がこの戦車を生み、国境線に「部隊を配備し ている」という「形だけが」作られた。
自分はその場所で死ぬことを国家によって強制されていたが、その馬鹿馬鹿しさについて考え抜かざるを得なかった、それが作家としての原点だった、と書いておられます。

敵が一体どのような装備を持っているか分析もせず、少しでも味方の損害を減らしながら、戦闘に勝利するため相手が必死に兵器開発に取り組んでいる、という事を想像できない。
結論から言えば、戦争などしてはいけない頭脳が日本を戦争に引きずり込み、むやみやたらと犠牲者を作り続けた、それが太平洋戦争の実態ではなかったのか、と書いておられます。

現在の日本の原発行政はどうでしょうか?
またしても「日本はこれでいい」という考えが、事故につながったのではないでしょうか?

「原発を動かすなら、ここまでしなければならない」
という世界基準を無視し、肝心の安全対策を怠ったまま、周辺自治体への補助金の交付や政治家への献金などにばかり金を使ったこと、あるいは使わせたことが、福島の事故につながったのではないでしょうか?
原子力安全保安院という、原子力発電など扱ってはいけない頭脳が日本の原発行政を握り、むやみやたらと犠牲者をを作り続けた、それが日本の原発行政の実態だったのかもしれません。

それがいまだに原発再稼働の問題でも、実に堂々とイニシアチブをとっています。
なぜそれが、この国で許されるのか、私たちは考え抜く必要があると思います。
とてもじゃありませんが、「日本はこれでいい」とは思えません。

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【 マスターズ・チャンピオン、また別の雄姿 】

アメリカ CBSニュース 2012年4月9日

ゴルフをプレーする以外にゴルフらしいことって、いったいなんでしょうか?
それはジャンプスーツを着て、踊りながら「オー!ナ・ラ・リー・ラ・リー」と叫ぶことです。
えっ、何ですって?

ベン・クレーン、ハンター・メイハン(2012年すでに優勝2回)、リッキー・ユタカ・ファウラー、そしてババ・ワトソンの4人で構成する『ゴルフボーイズ』は、アメリカPGAツアー最高の、そしてたったひとつのバンドです。
世界最高峰の舞台で活躍するゴルファーたちが発表した、たった一回だけのきちんとプログラムされたようには見えない大はしゃぎを、まずは動画でお楽しみください。

ちょっとひどすぎる?
そうですね、でも彼らがこんなパフォーマンスを披露しなければならない、ちゃんとした理由が実はあるのです。
アメリカの保険会社、ファーマーズ・インシュアランス社はこのビデオが10万回再生されるごとに、チャリティに1,000ドル寄付することになっています。
そしてこの動画はすでに390万回以上再生されました。
これであなたにちょっとばかり忍耐をお願いし、本来なら芝の上で戦うべき男たち の決して上手とは言えないヴィレッジ・ピープル並みの歌と踊りを見ていただく、立派な口実ができようというものです。

そして青いオーバーオールを着ている男こそ、今回のマスターズの覇者、ババ・ワ トソンです。
こっちは相当にイケテない?!
まあ、仕方ありませんよ。

※この『ゴルフボーイズ』のメンバー中、ババ・ワトソンとハンター・メイハン(毛皮を着たヒゲのオジさん)の2012年の獲得賞金額ですが、まだ4月になったばかりの段階で既に2人ともそれぞれ300万ドル(2億4,000万円以上)を突破しています。

[波には乗れなかった帰って来たヒーロー : タイガー・ウッズ]

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