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【「汚染された場所で暮らせ…」福島の被災者たちへの圧力 – グリーンピースが告発 】《後篇》

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所要時間 約 10分

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原発難民にされた人々にさらなる犠牲を強いてでも、原発に対する一般市民の信頼を回復させたい日本政府

原発事故の影響について責任をとるべきなのは帰還をためらう被災者ではなく、事故を起こした電力会社

 

メラニー・ホール / ドイチェ・ヴェレ 2017年2月21日

 

▽汚染された状態を当たり前と思わせる企み?

 

グリーンピース・ジャパンは日本政府を次のように批判しました。

「2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故が発生したことにより、福島県内は広範囲にわたり放射能によって深刻に汚染されました。しかしそのわずか数年後、日本政府は地域社会が再建され人々がかつてと変わらない生活を営むことが可能になったという神話を広め、原発事故後の異常で危険な状況を日常化しようとしています。」

「そうすることで、原子力発電に対する一般市民の抵抗が時間の経過とともに薄れていくことを期待しているのです。」

 

さらにグリーンピースは、人々がかつて住んでいた場所に帰還すべきかどうか決めかねている人々の重要な質問を、日本政府が未回答のまま放置しているとして、厳しく批判しました。

放射線被ばくは1年間の被ばく線量だけを問題にすべきではなく、数十年という言う単位、あるいは一生涯の累積線量を問題にすべきだと指摘しました。

 

グリーンピースは日本政府が、原発難民になった人々にさらなる犠牲を強いてでも、原子力発電に対する一般市民の信頼を回復させたいと願っています。

「これまで日本政府は一年単位の年間被ばく線量ばかりを言い続け来ました。しかし汚染された場所で暮らし続けるという事であれば、一生涯の間にどれだけの量の被ばくをすることになるのか明らかにしなければなりません。日本政府はこの点に触れようとしていないのです。」

 

グリーンピース2011年以降福島県内各所の放射線量の測定調査を行ってきましたが、飯舘村では2016年11月に最新の調査を行いました。

その結果もしこれから70年間飯舘村で生活した場合の累積被ばく線量が39ミリシーベルト(mSv)から183mSvなることが解りました。

この累積量には2011年3月の福島第一原発事故発生からこれまで、それぞれの人が被ばくした線量、およびこれから被災地以外で生活した場合に受ける自然界その他の被ばく線量は加算されていません。

 

これから70年間飯舘村で生活した場合の累積被ばく線量の平均の値は、国際放射線防護委員会(ICRP)が決めた年次被ばく線量の安全基準を上回ることになります。

 

国際放射線防護委員会は、1年間の被ばく線量を1mSv以内に留めるべきだとしています。

グリーンピースは次のような見解を示しました。

「放射線科学の見地から言って飯舘村におけるきわめて複雑で、しかも緊急事態と言うべき放射線量の高さと、どの場所にどのような危険が潜んでいるかわからない実情を考えれば、福島県飯舘村へ帰還しても、通常の生活を営むことは不可能です。」

 

そしてグリーンピースは日本政府が現在行っている避難民の帰還政策をやめるように求めています。

そして原発難民となった人々に対し万全の財政援助を行い、

「一般住民の帰還を暗に強制するがごとき社会的圧力、財政的圧力をかけることを止め、帰るか帰らないかは住民自身の選択に任せるよう」

要求しました。

 

グリーンピースによれば「飯舘村の6,000人のかつての住民たちは、今や不安と混乱の中に追い詰められて」います。

 

グリーンピース・ドイツのメンバーで原子物理学者であり放射線科学の専門家でもあるハインツ・スミタル博士は、飯舘村で測定調査を行ってきた専門チームの一員です。

博士はドイチェ・ヴェレの取材に対し、飯舘村の住民たちは今非常に困難な状況に置かれていると語りました。

「飯舘村で暮す事を諦めどこかほかの場所で生活を再建する決心をしても、財政的にまったく立ちいかなくなります。しかも村以外の場所では『もう戻ることが出来るのに、あなたは戻ろうとしない。』と非難され、受け入れを拒否される可能性もあります。どこかほかの場所を探せと言われ、追い立てられてしまうことになります。」

「戻った人々も困難に直面することになります。農地が汚染されたままなのに、どうやって農業で生計を立てることが出来るのでしょうか?」

 

スミタル博士は人々の意思決定プロセスに日本政府が介入している実情を踏まえ、政府が『生活環境が正常な状態に回復した』というイメージ作りを止めるよう求めました。

「原発難民にされてしまった人々は、自ら進んで何か間違ったことをしたわけではないのです。そうした人々にそのような状況を強いることは人権の侵害です。原子力発電所が引き起こした数々の損害に責任を持たなければならないのは原発難民にされてしまった人々ではなく、原発事故を引き起こした電力会社です。」

スミタル博士がこう語りました。

「原発事故の被災地にされた場所で暮らしていた人々の財産、そして生活や文化が深刻な損害を被ったことは明らかです。しかし日本政府はその重い現実をきちんと受け止めようとしていません。」

 

〈 完 〉

http://www.dw.com/en/fukushima-nuclear-disaster-evacuees-pressured-to-return-to-contaminated-homes-says-greenpeace/a-37639353

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「原発事故の影響について責任をとるべきなのは帰還をためらう被災者ではなく、事故を起こした電力会社」

こういう当たり前のことがないがしろにされることが、私は非常に問題だと思っています。

いくら日本政府や政府系メディアの扇動があったとしても、家を失った人々に対しいじめに近い感覚を持つという事を深刻に恥じなければなりません。

自分が今持っているものをすべて奪われたら、

そしてその補償も不確実だという現実に直面させられたら、

さらには放射能汚染が常態化している場所で生活するよう圧力をかけられたら、

人間は何を思うでしょうか?

 

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推敲中の森友学園疑惑をとりあげたエコノミストの記事を9日午前誤ってアップしてしまいましたが、完全原稿にした上で後日改めてご紹介致します。

手違いがあり、お詫び申し上げます。

 

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【 メトロポリタン美術館375,000の収蔵作品をデジタル化、無料提供 】《8》

 

米国NBCニュース 2017年2月14日

 

ニューヨークのメトロポリタン美術館はそのコレクションをデジタル化し、無料で375,000点に上る画像データを公開しました。

いずれも公有財産として、無料で制約なしで利用することが出来ます。

 

フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス(スペイン:1746 - 1828)作[ドン・マヌエル・オソーリオ・マンリケ・デ・スニガ]油彩、1787-88

ゴヤが1786年にカルロス3世の宮廷画家に任命された直後に、アルタミラ伯爵が1784年に生まれたばかりの息子をはじめとする家族の肖像画をゴヤに依頼したと考えられています。

美しく着飾った子供が中世以降ペットとして好まれたカササギをつなぐひもを手に持っています。背景には、3匹の猫が目をいっぱいに見開き、いまにも飛びかかりそうにこの鳥を見つめています。(写真上)

 

エドガー・ドガ(フランス:1834 - 1917)作[バレエのレッスン]油彩、1874

当時有名なバレエの指導者だったジュールズ・ペロのレッスンを受ける24人の女性たちの姿を描いた作品です。(写真下)

http://www.nbcnews.com/slideshow/met-digitizes-its-collection-releasing-350-00-images-free-n719661

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