ホーム » エッセイ » 「私は常に正直であった!」カルロス・ゴーン元日産会長、裁判所で証言
財務上の不正嫌疑に対する元会長の反論、千人以上のメディア関係者と傍聴人
経営危機に陥っていた日産を鮮やかな手並みで蘇らせた救世主であり、ルノー、三菱自動車との三者連合を築き上げた功績は?
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2019年1月7日
財務上の不正を行ったとして昨年11月に逮捕され、そのまま拘留されていた日産のカルロス・ゴーン元会長は日本の法廷で「無罪」を主張しました。
「私は常に誠実さに基づいて行動してきました。そして私はこれまでの数十年、プロフェッショナルとしてのキャリアにおいて、いかなる不正も指摘されたことはありません。私は誤った摘発を受けているのであり、犯罪としての実態が存在しない根拠のない告発によって不当に拘束監禁されているのです。
豊かな頭髪の根元が白髪になってしまった64歳のゴーン氏は、満員の法廷でこう語り、次のように付け加えました。
「検察官による告発内容とは反対に、私は日産からいかなる非公開の支払いも受けたこともなく、また非公開のまま決められた金額の報酬を将来受け取るという内容の契約を交わしたこともありません。」
ルノー社は日本で金銭上の不正について容疑がかけられているゴーン氏について、取締役のまま据え置いています。
ゴーン氏の顧問弁護士はすでにゴーン氏を逮捕拘禁している正当な根拠を明らかにするよう請求しています。
今回の事件は日本の自動車メーカーとフランス・ルノーとの提携関係を動揺させる一方、日本の容疑者の扱いに対し批判を巻き起こすことになりました。
ゴーン氏が最初に逮捕拘禁されたのは11月19日ですが、2016年から5年間約50億円の役員報酬を過少申告したとして起訴されました。
日産側は過剰な支払いだと主張していますが、ゴーン氏はそうした告発は当たらないとしている模様です。
それ以来、彼は虚偽の役員報酬の報告書を提出を続け、個人投資による損失1億8,500億円を日産に補填させたという容疑で2度再逮捕されましたが、告訴はされていません。
法律の専門家によれば8日に行われた審問は戦後発効した日本国憲法によって容疑者に与えられた権利によるものであり、ゴーン氏の裁判の正式な開始でもなく、また訴訟に影響を与えるものでもありません。
東京拘置所における凍えるように寒く狭い独房での長期にわたる拘留は、検察側がそれぞれ異なった主張の上で容疑者を数回再逮捕した結果によるものですが、ゴーン氏は弁護士が立ち会うことが許されない状況で1日最大8時間にわたる取調べを受けています。
ゴーン氏の審問が行われたの法廷の外の路上は、拘留所を出発から法廷に到着する瞬間までゴーン氏の姿を捉えようとカメラを手にした国内外の報道関係者で埋め尽くされました。
そして14の傍聴席を獲得するため1,000人を超える人々が列を作って並んでいました。
ゴーン氏の最新の拘留期間は11日に期限が切れます。
ブラジル生まれのレバノン育ちのフランス人であるゴーン氏は、1990年代後半に経営危機に陥っていた日産を鮮やかな手並みで蘇らせた救世主であり、ルノー、三菱自動車との三者連合を築き上げ、称賛の的となっていました。
逮捕直後、ゴーン氏は日産の会長職を解任されましたが、永続的な後継者はまだ指名されていません。
ルノーの会長職はそのままです。
今回のゴーン氏の逮捕は、何人かの業界関係者が日産、三菱、ルノーの3社連合が解体の危機に陥るという観測を生むことになりましたが、一方でフランスの自動車メーカーと日本の2社との間の違いを鮮明にしました。
しかし現在の日産の最高経営責任者である西川社長は、フランスのAFP通信とのインタビューで、今回の事件が3社連合を決裂させる危険性があるとの憶測に対し、これを否定しました。
「3社連合が決裂する危険にさらされているとはまったく思っていません。」