ホーム » エッセイ » 放射性物質入り食品を食べたくないのは、アメリカ人も日本人も同じ&「エスカレートするアメリカへの東日本大震災がれきの漂着」
【 アメリカのすし愛好者たちの憂鬱 】
ローリー・キャロル(ロサンジェルス特派員)ザ・ガーディアン(英国) 5月30日
アメリカ西海岸で福島第一原発が汚染源と見られる放射性物質が検出されて以来というもの、アメリカの消費者たちは警戒感を強めています。
ロデル・フュガオの目はしばらくメニューの寿司のあたりを行ったり来たりしていましたが、2ブロック程離れた場所に打ち寄せる太平洋の泡立つ波に思いが行きました。
次の瞬間、彼は悲しげに首を振りました。
「あーあ、今日は鶏肉か牛肉の料理にしなきゃな…。」
ロサンジェルスのアウトレット・モールにあるレストランチェーン店の『サーク・ジャパン』は、新鮮な魚をのせた寿司を提供してきました。
そして33歳のフュガオはこの店の寿司に目がありませんでした。
しかし寿司の食材は世界中からやって来ます。
「気がかりなことは確かだよ。誰だって放射能に汚染されたものは口にしたくないよ。」
彼の発言は寿司、もちろん「放射能には汚染されていない」寿司が大好きな、ロサンジェルスの市民たちの意見を代表するものかもしれません。
アメリカの科学アカデミーが5月28日号の会報で、カリフォルニアで水揚げされたマグロから、2011年3月に爆発事故を起こし、以来放射能の漏出が続く福島第一原発が汚染源と見られる放射性物質が検出されたことを伝えました。
2011年8月にカリフォルニア州サンディエゴで15匹のクロマグロが水揚げされましたが、その体内から微量ではありますが、セシウム-137とセシウム-134の放射性物質が検出されました。
検出された値は通常の量の10倍でしたが、幸いに日米の両政府が『食べても害はない』とする範囲内にとどまっていました。
しかし、たとえそうではあっても、ロサンジェルスで暮らす人々にとって、マグロはもはや『健康に良い選択肢』では無くなってしまったことを意味します。
「当たり前でしょ。もう猫にだって食べさせないわ。」
大学生のダニエル・アストラーダはチキンヌードルをほおばりながら、こう決めつけました。
「カリブ海の(ディープホライゾンが引き起こした)重油流出事故だって、ずいぶんひどかったわ。」
「そして今度は、これよ…。」
別のレストラン『寿司イットー』では48歳のプロのカメラマン、キム・マレイがメニューにざっと目を通しながら、何だか裏切られでもしたかのようにこう語りました。
「私は、マグロが好きなんです。週に2回は食べてました。さあ、これからどうしたものか、私にだってわかりませんよ。」
すでに現役を引退した70代のローランドとアイリーン・ピンツァ夫妻が近くに座り、チキンとエビのプレートをつつきながらこう語りました。
「チキンやエビなら問題は無いんだろうけど、マグロはねえ…。よく考えてみなきゃならないねえ。」
この問題に関し、直ちに警告を発したレストラン、メニューからマグロを外したレストランはありませんでした。
「我々は仕入れ先からいかなる警告も受け取っておらず、またお客さまからも放射能に汚染されたマグロに関する苦情は一切ありません。」
高級レストランの『ノブ』の広報を担当するダナ・サルディーニャが、電子メールでこのように返答しました。
「私たちは決してお客さまの健康に脅威を与えるようなことをするつもりはありません。現在は事態の推移を見守っている状況ですが、必要があればすぐに対策を取ります。」
サンタモニカのレストラン、『寿司・笹舟』のオーナー、ノビ・クスハラは、すべてというわけではないが、カリフォルニアのレストランで出されるマグロの多くがメキシコの養魚場から供給されている、と語りました。
いずれにしても、クロマグロが乱獲されているという懸念があったことから、多くのカリフォルニアのレストランは、メキシコの養魚場からクロマグロを仕入れてきたのだ、と語りました。
ネットの世界で、放射性物質とマグロに関する冗談が飛び交っています。
「私はもっとマグロを食べて放射能も摂取しようと思ってます。科学マンガでの話が本当なら、私はスーパーパワーを手に入れることが出来るでしょうから。」
これはザ・ガーディアンのコメント欄に寄せられたものです。
「クロマグロを食べたら、体が青く光り出すんじゃないの?」
などと言うのもありました。
カリフォルニアの娯楽施設で働く、29歳のジョージ・ヒメネスはあらゆる話を無視しています。
「僕は何が何でも寿司を食べるのを続けるよ。たとえそれに放射性物質が付着していてもね。」
【 緊急紙上アンケート 】
質問「福島第一原発由来のセシウムがクロマグロから検出されましたが、それでも今後もあなたは寿司を食べ続けますか?」
ザ・ガーディアン(英国) 5月29日
▼もう食べない 44.5%
▽食べ続ける 55.1%
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/poll/2012/may/29/fukushima-caesium-tuna-sushi-poll?INTCMP=SRCH
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最近の日本では、原子力発電の新たな『規制庁』に関するニュースが伝えられています。
しかし非常に気がかりなことがあります。
それはその規制庁の骨格について、日本の『原子力ルネッサンス』を主導してきた自民党・公明党の案を民主党が丸呑みする、という点です。
自民党・公明党は自分たちの主唱してきた『原子力ルネッサンス』のひとつの結果が福島第一原発の事故であり、未だ数万人、否2次的被害により生業が立ち行かなくなった人々を含めれば、何十万人の日本人の人生を狂わせてしまったことについて、まだどのような総括もしていないはずです。
どころか『原子力ルネッサンス』路線の放棄すら、正式に表明していないはずです。
『原子力ルネッサンス』の主唱者たちが考案する原子力規制庁とは、いかなるものなのでしょうか?
上記のザ・ガーディアンのアンケート結果について、念のため申し上げますが解釈を間違えないでください。
「寿司を食べ続ける人の方が、やめる人より多いじゃないか?」
ではありません。
「もう寿司はやめる」人が半数近くいる、という事なのです。
これは客商売をしていらっしゃる方ならお分かりいただけると思いますが、顧客の半数が自分の店の主力商品を「もう買わない」と言っているのと同じことなのです。
ここにも「人生を狂わされ始めた」人々がいることになります。
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「エスカレートするアメリカへの東日本大震災がれきの漂着」
【東日本大震災 : 長さ20メートルの日本の『浮きドック』、アメリカ・オレゴン州に漂着】
アメリカCNNニュース 6月6日
オレゴン州公園・レクリエーション局はポートランドにある日本領事館の確認を経て、ウェブサイト上で同州海岸に漂着した浮きドック(埠頭)が、2011年に発生した東日本大震災の津波によって破壊されたものであることを認めました。
同局は併せて、この埠頭に付着している生物が、日本の固有種であることも確認しました。
ポートランドのオレゴン州当局者は、日本語で書かれた金属板がはめ込まれたこの長さが66フィート(20メートル)あるこの浮きドックが、どのようにして破壊されて現在の形になり、この海岸に打ちあげられることになったのか、調査を進めています。
オレゴン州公園・レクリエーション局よれば、この埠頭が最初に目撃されたのは、ニューポートの北1マイルにあるアゲイト海岸の沖合でした。
「この浮きドックが一体どこのものなのかまだわかりません。そして太平洋を横断してきたという明らかな証拠も無いのです。」
とオレゴン州公園・レクリエーション局は声明の中で述べています。
このドックは高さ7フィート、幅19フィートあり、コンクリートと金属でできていますが、水には浮く構造になっています。
かなり大きいため、州の公園・レクリエーション局は、念のため近づかないよう付近の住民に警告しています。
今年になってアメリカ西海岸の各地に東日本大震災のがれきなどが大量に漂着していることから、この埠頭も津波によって破壊され、ここまで漂流してきたものと見ている人々もいます。
オレゴン州公園・レクリエーション局では確認の手段がないため、金属板を取り外し、日本領事館に送付して、現在確認を求めていることを明らかにしました。
州当局がドックの放射線量の測定を行う、と公園・レクリエーション局の報道官、クリス・ハヴェルがCNNに語りましたが、結果は不検出でした。
福島第一原発の事故があり、日本から漂着するがれきなどについては、放射性物質に汚染されている恐れがあります。
しかしアメリカ海洋大気局は、放射性物質に汚染されたがれき類の漂着の恐れは、現在のところは無い、と語りました。
ハヴェル報道官は、近損晩にきざまれた文字は日本の会社名、所在地、電話番号であり、州当局が確認を行っている、と語りました。
そして埠頭にくくりつけられたタイヤは日本のものに間違いないと思われる、さ付け加えました。
州当局ではさらに、この埠頭に付着している生物が、日本固有のものか、それとも太平洋のどこかに生息しているものなのか、現在確認を行っています。
Japanese dock from tsunami drifts, lands on Oregon beach
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【Dデイ・メモリアルと87歳の老兵】
アメリカNBCニュース 6月6日
1944年6月6日フランス・ノルマンディー地方の海岸にアメリカ軍を中心とした連合軍が上陸、今年はその68回目の記念日にあたる。
フランス・ノルマンディーのコルビーユ・シュル・メールにある米兵墓地には、9,387の墓標が並んでいる。
【ハドソン川を遡上するスペースシャトル・エンタープライズ】
アメリカNBCニュース 6月6日
ニューヨーク市にある「海と空の博物館」に収容・展示のため、ハドソン川をさかのぼるスペースシャトル・エンタープライズ