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漁業・宮城の戦い

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東日本大震災では宮城県の漁船の実に9割が使い物にならなくなってしまいました。気仙沼、女川などの名だたる港は、破壊された上にがれきで埋め尽くされました。がれきは港の海中にも堆積、漁の再開には気の遠くなる程の時間と労力を要する事になりそうです。

『企業化』されているアイスランドの漁業

『企業化』されているアイスランドの漁業

そんな中、村井宮城県知事の提案になる『宮城県漁業特区』構想が波紋を広げています。これまで港港の漁業協同組合にのみ認めていた漁業権を、一般企業にも解放し、宮城県の漁業の復興を早め、ビジネスとしても堅牢なものにしようというプランです。
これに対し、各漁協は「民間企業は採算が合わなくなればすぐに事業から撤退するだろう。我々漁民は、子々孫々まで漁業という事業を継承して行きたいのだ。」と真っ向から反対しています。

5月13日に直接話し合いが行われましたが、議論は平行線です。
でも私はこの際、徹底的に議論すればいい、と思います。
宮城県側は『官僚の作文』と言われないよう、プランを磨き上げるべきです。
漁協側は地元の大学などとも連携し、『先細り』ではない、発展性のあるビジネス・プランを作り上げればいいでしょう。
双方それを持ち寄り、互いに検証し、そして最後は協力して素晴らしいプランを実現するといい。
それこそが政治なのです。

これまでは利害が対立すると、より権力の大きい方、より声の大きい方が相手を押しのけるようにして決めてしまう。
日本人の多くにとってこのやり方が『政治』であり、徹底的に議論してプランを磨き上げる事はしませんでした。
作家の司馬遼太郎さんは欧米人にとっては当たり前の、この『政治手法』を日本人がしないのは、
「日本人は欧米人と比べ、体力が無いからだろうか?」
と嘆いておられました。
自分の側の利害を押し通す人間には『政治力がある』『頼りになる』ともみ手をしてすり寄り、政治に理想を実現しようとする人間は『素人』と言って軽視する。
その結果、「国民は一流だが、政治は三流」と言われる国を作ってしまったのでは無いでしょうか?

阪神大震災の後、神戸では『多国籍企業誘致プラン』なるものが独走し、このためもあって中小の工場や商店の多くが廃業に追い込まれてしまったそうです。

『遅れている』というレッテルを貼られがちな東北ですが、この際これまで日本人ができなかった
『徹底的に議論してプランを磨き上げる』作業を行い、若者もどんどん参加できる漁業を立ち上げていただきたいものです。
だって、東北の人々は器用ではないかもしれませんが、気概も、知恵も、体力もあるはずですから。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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