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アメリカ外交のウラワザめっけ – アメリカのニュース深読み〈1〉-

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所要時間 約 4分

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5月2日以降、7日になってもアメリカのニャース番組のトップは相変わらず『ウサマ・ビン・ラディン』殺害です。6日のニュースでは日本のニュースでは絶対やらない、SEALS(アメリカ海軍特殊部隊)がビン・ラディンの隠れ家( 英語で hideout - hide の意味は〈隠れる〉ですから解りますが、じゃなぜoutなのでしょう? 答えは out of the eyes of people、人々の目線の外、つまり〈人の目に触れない〉という意味の out なんですね。)に突入後、殺害するまでの一部始終をCGで再現したものを放送していました(NBC nightly news 11/5/5)。

アメリカ海軍 1945年発行

アメリカ海軍 1945年発行

この中でSEALSは建物の外と階段で、それぞれ男を計2人殺害するのですが、注目すべきは彼らをニュースでは何と呼んでいるか⁈
日本のニュースでは『身の回りの世話をする男性』となっている2人、アメリカのニュースではABCもNBCもCNNも、彼らを『Stranger』、つまり『身元のはっきりしないのヤツら』と言っているのです。
アルカイダの『テロリスト』とも言ってないし、『ボディガード』とも言わない訳です。
アメリカの各局が共通してそう言っているという事は、海軍の発表がそうであった、という事で、国務省(アメリカには外務省は無く、外交は国務省の管轄です)と打ち合わせた上での呼び方だと思います。
実はこれ、パキスタン政府への脅しだと思うのです。
今回、ビンラディン容疑者が殺害されたとされる場所は、首都イスラマバード北方のアボッダバード近郊。人口数十万人のこの都市は、植民地時代の大英帝国軍が大規模訓練基地を置き、独立後はパキスタン軍がそのまま受け継いだ「軍城下町」として知られていたそうです。
当然ながらパキスタン軍関係者が『ビン・ラディンをかくまっていた疑い』が浮上する訳です。
そして『Stranger』2人。
ビン・ラディンの直接の関係者が妻や子であれば、隠れ家の外に出て各種の連絡に任じたり、用事をするのは『身の回りの世話をする男性』の役目になるはず。しかし、アメリカ当局に身元が割れているようなアルカイダのテロリストが出たり入ったりすれば、それだけでアウトっ!
そこで考えられるのが、アルカイダとの関係が疑われているパキスタン軍特殊機関の人間になるわけです。
パキスタン軍特殊機関の人間なら「軍城下町」のどこをうろつこうが、目立つはずがありません。
アメリカはパキスタン政府に対し
「この男2人はパキスタン軍の関係者じゃないのか?! そうだろ、そうなんだろ?! .......今後の態度次第では......わかってるね?! 」
というメッセージを『Stranger』というたった一言に込めているのではないでしょうか?
そのたった一言を、ABCもNBCもCNNも一斉に発する。
すると、パキスタン政府は震え上る......「やばっ...」
こういうのは日本のニュースを聞いていたって、さっぱり解りません。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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