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【 ゲンパツに『社運を賭けた』東芝、その『大挫折』 】《前編》

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所要時間 約 9分

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東芝、原子力部門の事業拡大に失敗し数千億円の損失が確実になり、株価は27日、東京株式市場で12パーセント近く下落

新たな原子力発電所建設の予想を超えて膨れ上がる費用と工期の遅れが、東芝本体に致命的損失を突きつけた

 

ジョナサン・ソブル / ニューヨークタイムズ 2016年12月27日

 

東芝は原子力産業界における世界的トップ企業を目指し、10年の歳月と数千億円を投資してライバル企業の買収を行ってきました。
皮肉にもその結果東芝は財政的な泥沼に落ち込むことになり、尚一層深みをますことになりました。

東芝は12月27日、原子力設備建設を専門とするアメリカ企業を購入したことにより、「数千億円程度の」損失を計上することになる可能性があると警告しました。

 

公表された声明の中で東芝は、1年前に買収した米国企業のCB&Iストーン&ウェブスターの負債を整理する関係で、東芝本体が損失を計上する見込みとなり、現在その額を算定中であることを明らかにしました。

巨額の損失を計上することになった原因を作ったのは、アメリカ合衆国における東芝の原子力部門の子会社ウェスティングハウスが2億2,900万ドルでCB&Iストーン&ウェブスターを買収したことです。
東芝の株価は、12月27日火曜日に12パーセント下落しました。

 

CB&Iストーン&ウェブスターの元の親会社であるエンジニアリング・グループ、シカゴ・ブリッジ&アイアン・カンパニーと東芝は、買収手続きが完了してからもずっとCB&Iストーン&ウェブスターの本来の資産価値について協議を続けてきました。
巨額の損失を計上しなければならなくなった背景にあるのが、CB&Iストーン&ウェブスターが現在続けている原子力発電所建設のスケジュールの遅れと予想外に膨らんでいる費用です。
シカゴ・ブリッジ&アイアン・カンパニーとウェスティングハウスはこの問題によってCB&Iストーン&ウェブスターが最終的にどれほどの規模の財政的損失を計上しなければならなくなるか、その算定を巡り法的に争っています。

 

この買収は始めからギャンブルのようなものでした。
東芝の子会社であるウェスティングハウスは、当初この買収のためにさほどの資金を要しませんでした。
しかし当初の想定通りに物事が運ばなければ、最終的に必要になる費用は想定した金額の何倍もの高額なものになる危険性があります。

そして現在予想されるのは、悪い方の結果です。

 

東芝は12月27日の生命の中で、次のような趣旨の説明を行いました。
「ウェスティングハウス社がアメリカ国内で行っている事業を完了させるために必要な費用が、当初の見積もり金額を大幅に超過する可能性が明らかになりました。原因は買収した企業の資産価値が当初の見積もり金額を大幅に下回ることが確実になったためです。」

 

こうして東芝の原子力発電事業は最悪の展開を見せることになりました。

 

買収による原子力の事業規模の拡大により、東芝本体の業績が脅かされる事態に陥ることになりました。
そして買収によって発生した巨額の損失について、東芝単体では補填できない可能性も浮上してきました。

東芝がウェスティングハウスを買収したのは2006年、金額は当時のドルレートで約6,000億円という金額でしたが、この費用が不当に価格が高く、しかも悪いタイミングで行われたことがすぐに明らかになりました。

結局東芝は2015年、ウェスティングハウスに関わる資産について23億ドルの評価の減額を行いました。
しかもこの評価損は、東芝本体で原子力事業を含む幾つかの事業部門で利益を水増しして報告していた不正経理の発覚という、企業としての姿勢を問われなければならない不始末の直後に行われたのです。

 

http://www.nytimes.com/Toshiba Could Lose Billions From Troubled U.S. Nuclear Power Deal

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『果然』という言葉があります。

果たして然り。

平たく言えば『やっぱりそうなったか…』

『人も無げ』という言葉もあります。

人を人とも思わないさまのこと。

この記事を読んで最初に思いついた言葉でした。

 

福島第一原発の事故の後、事業に密接に関わった企業として被害者の救済に協力すべく誠意を尽くすというのならともかく、「日本がだめなら海外に出れば良い』とばかりに日本の原子力産業界が海外進出に力を入れ始めたさまを見て、国際的にも批判的な報道が行なわれてきました。

 

『襟を正す』

企業姿勢にも必要な事ではないでしょうか?

 

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【 2016年報道写真50選 】《7》

 

アメリカNBCニュース 2016年12月21日

 


2月11日のブラジルのレシフェ近郊にある自宅の外で、4歳になる小頭症の息子を抱き上げる26歳の母親ジャクリーン。(写真上)
それまでだれも名前すら知らなかったジカ・ウィルスの流行が、ブラジル国内で数千例の先天性の障害を持った子供たちの誕生につながりました。
蚊が媒介するウイルスは2、3ヵ月のうちにカリブ海諸国を席巻し、アメリカ合衆国にまで到達しました。
この間、小頭症という先天性の障害をもった子供たちが多数生まれることになり、先例のない影響の広がりに医学会もただ手をこまねくしかありませんでした。

10月9日のハイチのホークで、水飲み器でシャワーを浴びる青年。(写真下・以下同じ)
カテゴリー4に分類されるハリケーン・マシューが10月4日に最貧国の南西部にある半島部分に襲いかかりました。
最大で時速145mの暴風が吹き、少なくとも546人の死亡が確認されました。
農村地帯も大打撃を受け、収穫前の作物が台無しになり、家畜にも大きな被害が発生しました。
その影響は深刻で、2017年に食糧危機が発生することが懸念されています。

10月4日リビア沖約20キロの地中海の海上で救助に駆けつけたプロアクティヴァ・オープン・アームズの船に乗り移るため屍体をまたぐ難民の男性。
48時間のリミットを超えて約10,000人が救助されましたが、死んだと思われていた数十人も命を取り止めることになりました。

12月1日キューバのサンタクララ、フィデル・カストロ前大統領の遺体が首都ハバナからサンティアゴ・デ・キューバまで移送する葬列を見るためビルの屋上で待ち受ける人々。
1959年キューバ革命の英雄であり、リーダーであり続けたカストロは11月25日、90歳で亡くなりました。
何万人もの人々が葬列が通る通りに沿って並んでいましたが、葬列は1959年1月1日カストロとその軍隊がハバナに向かって勝利の行進をした道を逆の方向に進んでいきました。
沿道の人々は旗を振り「Long May Live(これからも長く人々の心に生き続けるだろう!)」と叫んでいました。

携帯電話で葬列の撮影をする人々もいましたが、2006年にフィデル・カストロが権力の座を弟のラウルに譲るまで、携帯電話は贅沢品としてキューバ国内では使用が禁止されていました。


ラウルの代になり、キューバではゆっくりと一連の改革がすすむことになりました。

7月27日フィラデルフィアで開催された2016年アメリカ民主党大会の第3夜、スピーチを終えたバラク・オバマ大統領を抱きしめるため舞台上に登壇した党公認大統領候補ヒラリー・クリントン。
クリントンは女性が1920年に投票権を得たそのほぼ1世紀後、史上初めて大政党初の女性党公認大統領候補になりました。

http://www.nbcnews.com/slideshow/year-pictures-2016-n697021

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