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柏崎刈羽原発の再稼動と福島の悪夢の再現

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柏崎刈羽原子力発電所が立地するのは、多額の費用を投じた安全対策を台無しにするほど危険な場所

福島の巨大事故への拡大防止に失敗、数十万人の被災者に対し不誠実さをあらわにし、事故処理に場当たり的な対応を繰り返し行い、世界中から批判を浴び怒りの矛先を向けられた東京電力

 

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2017年12月28日

(写真上 : 東京電力柏崎刈羽原発の中央制御室の実物大模型を使い、危機の点検訓練を行う職員)

 

もしたった一つの建造物をもって市町村の性格を定義するとすれば、新潟県柏崎町と隣の刈羽村に住む90,000人の住民にとってそれは40年以上にわたり沿岸の景観を支配してきた巨大な原子力発電所ということになるでしょう。
7基ある原子炉がすべて稼働すると、柏崎刈羽原子力発電所は、1,600万世帯に電力を供給するのに十分な8.2メガkWの電力を発電することが出来ます。

日本海沿岸の4.2平方キロメートルの土地を占める柏崎刈羽は世界最大の原子力発電所です。

 

しかし今日、柏崎刈羽の原子炉は停止しています。

首都東京の北西約225kmにある新潟県内のこの原子力発電所は、2011年3月福島第一原発で発生した3基の原子炉メルトダウンによって全国的に停止に追い込まれた原子力業界において最高規模の犠牲者です。
しかし柏崎刈羽原発の所有者こそ、巨大事故への拡大防止に失敗し、数十万人に上った事故被災者に対し不誠実さをあらわにし、さらには事故を収束させる際に繰り返し行った場当たり的な対応によって国内はおろか世界中から批判を浴び怒りの矛先を向けられた、福島第一原発の所有者である東京電力に他なりません。

 

現在、東京電力は所有する3箇所の原子力発電所のうちの1つである柏崎刈羽で2基の原子炉を再稼働させられるよう、福島の事故で出来上がった最悪の企業というイメージを払拭しようとしています。
東京電力は柏崎刈羽原子力発電所を再稼働できて初めて、福島第一原子力発電所の事故収束・廃炉作業を行うために必要な資金をつくり出し、崩壊後に失った信頼を取り戻すことができると語っています。
今週、日本の原子力規制当局は東京電力に対し、福島第一原子力発電所でメルトダウンした沸騰水型原子炉と同系機の柏崎刈羽原子力発電所6号機と7号機の再稼働を正式に承認しました。

1ヶ月間の公聴会の後、日本の原子力規制委員会は、東京電力が原子力発電所を稼働させる資格を満たしていると結論づけ、2011年に自らが引き起こした巨大事故の後に導入された、より厳しい安全基準を2つの原子炉がクリアしたと述べました。

 

この決定の直前、東京電力はガーディアンに対し、世界で最も安全な原子力発電所であると主張する柏崎刈羽原発の独占的な見学と取材を許可しました。

福島第一原発では3基の原子炉がメルトダウンし東北地方の太平洋岸を中心に広範囲な破壊をもたらしました。
その同じ日柏崎刈羽原発は稼働中でしたが、外観は当時と変わらず稼働中の原子力発電所のように見えます。
敷地内では1,000人を超える東京電力の職員と5,000~6,000人の契約労働者が、6,800億円の費用がかかると予測されている改良作業を黙々とこなしています。

 

東京電力によれば、彼らはすでに最大15メートルの津波に耐えることができる防波堤を建設しました。
メルトダウンが発生した場合には、特殊な通気孔からは放射性物質の99.9%を取り除いた上で大気中に排気が行われ、特殊なシールドによって溶融した核燃料が原子炉格納容器の外側に漏れ出すのが阻止されます。
福島第一原発の事故では4基の原子炉で水素爆発が初制しましたが、柏崎刈羽原子力発電所には自己触媒再結合装置が水素爆発の繰り返しを防ぐことになっています。

 

複雑な構造の施設が立ち並ぶ広大な敷地の他の部分には、緊急車両、ウォーター・カノン、緊急発電装置、メルトダウンの壊滅的事態に至った際に原子炉を冷却するために2万トンの水を汲み上げるため丘の上に貯水池が設備されています。
「福島第一原発事故の発生に責任を持つ者として、私たちは教訓を得て、私たちが犯した過ちを検証し、ここ柏崎刈羽で学んだことを実践するべく取り組んでいます。 」
柏崎刈羽原子力発電所所長の設楽親さんがこう語りました。
「我々は常に安全性を向上させる方法を検討を続けています。」
「福島での経験を経て、同じミスをに度と繰り返さないように安全な体制をさらに強化するよう尽力しています。私たちは広く社会にそのことを説明していかなければなりません。」

▽「ここは原子力発電所に全く適さない場所である」

 

しかし東京電力側のこうした説明に一般市民は確信を持てずにいます。
昨年新潟県民は、原子力発電の継続に反対する米山隆一氏を知事に選出し、東京電力の計画に反発している姿勢を表明しました。
選挙の際に行われた出口調査では、投票者の73%が柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に反対し、支持しているのはわずか27%にとどまりました。
米山隆一氏は、2019年春に柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が予定されていことについて、新たに形成された委員会が福島第一原発の事故の原因と結果に関する検証を終え - 少なくとも3年はかかる可能性のある作業 - 報告を完了させるまで、再稼働に道意するか否かの判断は行わないことを表明しました。

 

多くの住民にとって、柏崎刈羽原子力発電所の立地は多額の費用を投じた安全性の向上を台無しにするものです。
「地質学的に言えば、ここは原子力発電所に全く適さない場所なのです。」
生涯にわたり反原子力発電運動を続けてきた、元地方議員の竹本和之氏がこう語りました。
竹本氏は海底の石油・天然ガス鉱床の存在がもたらす地盤の脆弱性と、東京電力が防波堤を築いた場所の地盤が大地震の際には液状化しやすいという事実を指摘しました。

さらには地元には、柏崎刈羽原発が事故を起こした際、その30km圏内に住む42万人を避難させれば混乱が避けられない可能性があるという批判があります。
「基本的に福島第一原発の30km圏内よりも人口が多く、しかもここは豪雪地帯です。最悪の場合、誰ひとり避難させることができなくなる可能性があります。」
と竹本氏はこう付け加えました。
「そうなった場合の状況は、福島よりもはるかに悪いものになります。」

 

こうした懸念に加え、2007年のマグニチュード6.6の新潟県沖地震の際に発電所内で軽微な被害を受けたことにより、周辺の活断層の存在が明らかになりました。
原子力規制員会は活断層は2つあり、うち原子炉1号機の下を走るひとつは過去40万年の間に実際に地震を引き起こした可能性があることを指摘しました。

しかし東京電力にとって柏崎刈羽の2基の原子炉の再稼働は年間利益2,000億円に達する利益の確保につながる可能性があり、財務運営上必要不可欠の要件です。

 

日本政府が行った試算によれば、福島第一原発の事故収束・廃炉作業は、住む場所と財産を失った周辺住民への補償と周辺地区の除染費用を含めると、総額21.5兆円に達する可能性があります。
この金額は原子炉の停止によってできた空白を埋めるため、東京電力が高価な化石燃料を輸入することに費やしている金額を上まわるものです。

日本経済研究センターは今年の初め、福島第一原発のメルトダウンした3基の原子炉から取り出した放射性廃棄物の処分費用を含め、今後40年間の福島第一原発の事故収束・廃炉費用の総額が50〜70兆円に達する可能性があることを明らかにしました。
設楽氏は次のように語りました。
「東京電力の社長のステートメントと社としての事業計画が明らかにしたように、で原子炉を再稼働することは東京電力にとってきわめて重要なことなのです。」

 

柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に左右される問題はもっとあります。
安倍晋三首相はエネルギー政策の中心に原子力発電を据え、強引とも言える原子力発電所の再稼働政策を推進しています。
安倍政権は2030年までに、約20%の日本の電力を原子力発電によって賄うことを望んでいます。
そのためには約30基の原子炉の再稼働が必要です。

 

日本国内の稼働可能な原子炉のうち、現在動いている原子炉は4基だけです。
福島第一原発事故の後に導入された厳しい新しい安全基準をクリアした原子炉は複数ありますが、再稼働はそれぞれの場所で強力な反対に遭遇しました。

再稼働を進めるため手続きの一環として日本全国の人々は最近、柏崎刈羽原発の再稼働と東京電力の原子力事業者としての適性について意見を求められました。
柏崎刈羽原子力発電所の広報部門の石川氏は、東京電力は福島第一原発の事故から学ぶべきものを学んだと主張しています。
「3.11の発生以前の私たちは傲慢で安全性の向上を怠っていました。 あの巨大地震は私たちを目覚めさせました。私たちは安全性の向上を休みなく続けていかなければならないことを理解しています。」

こうした東京電力の見解を刈羽村住民の河合幸子さんは否定しました。
地元の人々が安心して暮らせるようになるなら、原子力発電所を永久に停止させることにより国から支給される補助金を失うことになっても、それは価値ある犠牲だと語りました。」
「2011年の福島第一原発の事故を引き起こした東京電力が、この場所で原子炉を再稼働させることを支持する理由はありません。」
「東京電力は福島第一の安全性は完全なものだと言っていました。しかし私たちは何が起きたかを、この目ではっきりと見ました。」

 

https://www.theguardian.com/world/2017/dec/28/fears-of-another-fukushima-as-tepco-plans-to-restart-worlds-biggest-nuclear-plant

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【危機の時代のジャーナリズム】第3回は次回掲載いたします。

 

 

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