星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » エッセイ » オリンピック・イベントの犠牲にされる人々(人々の命を脅かす原子力の嘘)《前編》

オリンピック・イベントの犠牲にされる人々(人々の命を脅かす原子力の嘘)《前編》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

広告
広告


日本政府はたった1種類の放射性物質の調査のみ優先して行い、避難民に帰還を強制している - プルトニウムは?ストロンチウムは?

被災地に散らばる放射性ダストには平均よりも最大10,000倍放射能の値が高いものが約5パーセント含まれている

アーニー・ガンダーセン / フェアウィンズ 2019年3月8日

フェアウィンズの記事『アトミック・バーム第1部』に賛辞をいただいた皆さんに感謝の意を表し、2020年のオリンピックがなぜ東京で開催されることになったのか、その本当の理由についての分析を読んで理解しようとされているフェアウィンズの友人たちに感謝の意を表します。

第2部を始めるにあたり、2012年に立ち戻りマルコ・カルトフェン博士と私が行った科学的研究についてまずお話します。

福島第一原発の原子炉のメルトダウンによって作り出された大災害は現在も進行していますが、この事故発生以前、商業用原子力原子炉から漏出する放射線に対し、一般市民の許容被曝線量は年間100ミリレム(1ミリシーベルト)でした。

          

原子力発電所作業員は放射線被曝リスクの高い環境での作業によって受ける身体的ダメージの増加について補償を受けていますが、彼らには年間最大5,000ミリレム(50ミリシーベルト、あるいは5レム - どの単位が適用されているかにより表現が異なりますが)の放射線被曝が許されていました。
法的な上限ですが、実際には原子力産業のほとんどの労働者が受ける被曝線量は年間およそ2,000ミリレムに止められています(20ミリシーベルトまたは2レム)。

福島第一原発の原子炉のメルトダウンの発生に対し、日本政府は放射線許容量を従来の20倍に増やすという規則変更を行いました。
これは原子力発電所作業員が1年間に被曝する上限の放射線量とほぼ同じ数値です。

2020年に開催予定の東京オリンピックで最も象徴的なのは、男子野球、女子ソフトボール、聖火リレー、そしてサッカートレーニング施設を、日本政府が「原子力非常事態」を宣言した地域の中に協議会場が設定されたことです。

          

競技選手と一般市民は、日本列島以外の場所にある運動施設で許されているより20倍も高い放射線レベルが設定されている場所に滞在することになるということを意味します。
米国科学アカデミーのしきい値なし直線(Linear No-threshold)放射線リスク・アセスメント(判断基準)によれば、アスリートの放射線関連疾患のリスクも今いる場所に留まっている場合よりも20倍高くなります。

          

福島第一原発事故の周辺および周辺地域に住む人々は、日本政府から、放射線量が20ミリシーベルトであれば、汚染された家や村に戻らなければならないと宣告されました。
日本国内のどの原子力発電所の近隣住民も経験したことがない、これまでの基準の20倍という多量の放射線被曝の危険にさらされる可能性があっても帰れと言われているのです。

日本政府はもっとも効果的な方法で除染を行ったから安全だと言っている訳ではなく、原子力災害被災者に対し、公的な補助金を受け続けたいと望むなら、除染が終わったとされるものの現実にはまだ放射能汚染が深刻な自宅に戻ることを強制しているのです。

一般市民が新しい基準をはるかに上回る放射線被曝の危険にさらされている点について、根本的問題が3つあります

           

第1の問題、それは日本政府の除染基準で、家の中とその周辺のみの作業によって除染が完了したとされている点です。
私は福島でまず高速道路の放射線量を計測した後、周囲にある森の中に50フィート(約15メートル)ほど入った場所でも計測を行いました。
その結果明らかになったのは、結局のところ森の中は依然深刻に汚染されたままだということでした。
つまり雨や雪が降ったり、あるいは風によって森の中の埃や花粉が飛ばされて来れば、そこに付着としている放射性物質が除染によって汚染が除去されたとされる場所に舞い戻ってくるということです。

           

私は南相馬市に行って、福島第一原発のメルトダウン事故後に完璧に除染されたとされる4か所の屋根に上りました。
これらの屋根は周囲の山や丘から風によって飛ばされてきた放射性物質によって再び汚染されてしまっていました。
これらの街並みは、周囲の山々から風によって運ばれてきた放射性物資を含む塵埃によって再び汚染されていました。
人々の家も、そのコミュニティもこうした形で日々再び汚染されてしまっていたのです。

            

放射線量を測定するボランティアは現状での住民の帰還に反対している。

第2の問題、それは日本政府がたった1種類の放射性物質の調査のみを全てに優先させ、避難民に対して帰還を強制している点です。
現在日本政府が公表している放射線量とは、携帯式のガイガーカウンターを使い、セシウムから直接放出されている放射線だけを測定した値なのです。
通常こうした測定方法が使われるのは、胸部X線検査のように人体を一定の形で通過する外部ガンマ線などです。

           

ホット・パーティクルまたは細かい放射性ダスト(またはナノ粒子)と呼ばれる放射性粒子は、人々の肺や消化器系に入り込み、その人間の内臓は何年もの間、大量の放射線を浴び続けることになります。
東京電力も日本政府も、このような微細な放射性ダストの存在を無視しています。

            

第3の問題、すなわち最後の問題は、こうしたホット・パーティクルの中に平均的なものと比較して異常に放射性が高いものがあることです。

             

カルトフェン博士と私が共同で執筆し、第三者の科学者による審査を論文において、私たちは300種類に及ぶ微細な放射性ダストについて調査研究を行った結果、平均よりも最大10,000倍放射能の値が高い放射性ダストが約5パーセント含まれていることを確認しました。
こうした高放射性ダストが存在する場所で暮らしている人々の内臓や体内組織は一般的な避難生活者と比べ、絶えず非常に高いレベルの放射線の照射にさらされていることを意味するのです。

            

《後編》に続く
https://www.fairewinds.org/demystify/atomic-balm-part-2-the-run-for-your-life-tokyo-olympics

  + - + - + - + - + - + - + 

            

もはや日本のメディアが2020年東京オリンピックについてはこぞって『楽しみ』と大政翼賛的報道にはしる中、ご紹介するレポートは非常に貴重なものになりました。

福島の原発難民の人々の本当の意味での救済については、オリンピック以上に国民全員の議論が必要なはずですが、日本全国各放送局から聞こえてくるのは、『オリンピックへの盛り上がり』云々という話ばかりです。

これも国策なのかと、つくづく『人間として』という思考が無視される時代になったなと厭世観にとらわれそうです。

       

そんな中でも福島の原発難民に対する安倍政権の扱いについては、顔が青ざめるほどの怒りを覚えます。

戦後日本の政治は国民の暮らしと安全を守ることを第一義とする方向に進んできたはずですが、それが安倍政権になって国家行事を人権に優先するという思想があらわになりました。

          

その国家行事も安倍政権の場合は最大公約数の国民のためではなく、自分たち政権の周囲に群がる人間たちの利権につながる建設業界や長年ナショナルスポーツに寄生してきた広告業界を潤すことの方が先なのではないか?という深刻な疑問があります。

広告
広告

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事に関連する記事一覧

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
広告
広告
カテゴリー
メタ情報