ついにリビアがカダフィ政権の圧政のもとから解放されました。人々の権利が回復され、秘密警察の目が光る生活から解放される事は、同じ人間として本当に喜ばしい事です。
しかし、一方で懸念もあります。
ビデオでも武器を持った国民協議会の兵士が多数映っていますが、内戦の終了後はこれらの武器が回収され正規軍だけが武器を持つ、という治安が回復するのでしょうか?
有名な話なのでみなさんもご存知とは思いますが、アフガニスタンのゲリラ、タリバンに始めに武器を与え、訓練をしたのはアメリカでした。
1978年のソ連のアフガン侵攻に対し、アメリカが抵抗勢力であるムジャヒディーンに武器供与などを行ったのです。
さらには1988年のソ連軍撤退の際、大量の武器がアフガニスタン領内に遺棄され、これが現在まで続く泥沼の内戦で使われることになってしまいました。
はかない願いですが、一般の人々が武器に怯えないですむ『新リビア』の誕生を願ってやみません。
なお、事態が流動的なため、この原稿がアップされる時点でニュース・動画ともに現実とくい違ったりするかもしれません。
その節は平にご容赦を......
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【 リビア市民首都の大半を制圧、カダフィ大佐は行方不明 】
アメリカABC放送ワールド・ニュース 8月21日
反乱軍は8月21日夜になってトリポリ市内のほとんどの地域を制圧し、数千人の人々が首都トリポリを始め国中の都市の道路に溢れ出し、モマール・カダフィの42年に渡る支配が終わる事を喜びあいました。
「私たちはこの日の来る事を待ち望み、そしてそれが現実になったのです。」50歳のエンジニア、ヌール・エディン・シャトウニは強権体制の支配が終わった事を祝福し、AP通信に語りました。
「すべてのモスクで神に対する感謝の祈りが一斉に捧げられました。とても良い香りがしました。それは勝利の香りです。来るべきときが来たのです。」
反乱軍が設定した暫定国民協議会(NTC)政権は、カダフィの3人の息子たちが拘束された、または降伏したと語りました。ムハンマド・カダフィ、リビアの最高指導者の息子は、涙ぐみながら反対勢力に降伏したことを電話でアルジャジーラに語りました。 彼は電話口で泣きながら、彼の家が武器をもって包囲され、自宅軟禁下にあることを語りました。
暫定国民協議会によると、この電話の直前、セイーフとサーディの二人の息子がにトリポリの反乱軍によって拘束されました。
セイーフ・アル・イスラムは、父親同様、人道に対する罪の容疑で国際刑事裁判所に起訴されています。
月曜日、国際刑事裁判所の代表者が国民協議会と会談し、セイフ・アル・イスラムをハーグに移送する方法を協議する予定である。」と国際刑事裁判所主任検察官ルイス・モレノ・オカンポは、AP通信に語りました。
反乱軍はカダフィのバブ・アル・アジジヤの邸宅を包囲していると、反乱軍の代表は周辺で銃声が続く間、AP通信に語りました。
モハマド・アル・アカリ国民協議会顧問は、モアマル・カダフィはトリポリに残っている、バブ・アル・アジジヤのどこかに潜んでいると信じる、と語りました。
「今夜すべては終わった。」とアカリは語りました。
国民協議会はまた、カダフィ大統領護衛隊のメンバーが反乱軍に降伏したと主張しています。
リビアの反乱軍はトリポリの中心部にある緑の広場に集まりましたが、複数の報道によると、政府軍および狙撃兵との衝突が、市内全域で繰り広げられました。
リビア東部のベンガジでは、群衆が旗を振ってカダフィの退陣を喜びあい、花火を打ち上げました。
アメリカのオバマ大統領は「今日の出来事はカダフィに対したったひとつの選択を求めています - 強権を放棄し、リビアの人々自身に将来のことを決めさせる事です。」と語っています。
「流血の事態を終わらせる最も確実な方法、それは簡単な事です。モアマル・カダフィと彼の政権は、彼らの支配が最後に迎えていることを認識すればいいのです。」オバマ大統領は語りました。
「カダフィは、彼がもはやリビアをコントロールしていないという現実を認識する必要があります。今や、彼はすべての権力を放棄しなければなりません。」
北大西洋条約機構(NATO)の現地司令官は、NATO軍の空爆が反乱軍の成功を後押ししたと述べ、カダフィ政権は「明らかに崩壊した」と述べました。
NATO現地司令官アンダースン・フォー・ラスムッセンは、政府側の「市民を脅かすどのような攻撃」に対しても、空爆を行う、と語りました。
カダフィの所在は不明ですが、彼の生命がこの夜国営テレビで放映され、彼の軍は決して降伏しない、「最後の血の一滴になるまで戦う。」と演説しました。
「何のためにお前たちはここに来るのだ?再び占領するためか?」とカダフィ大佐自身は映っていない放送で述べました。
「裏切り者が、トリポリに展開する占領軍の道案内をしているのだ。」
「彼らが福島第一原発の事故から学んだものなど、基本的にはゼロ」
ついに日本国政府が福島県大熊町や楢葉町の汚染がひどい地域を、「買い上げる」事を表明し、福島第一原発事故による汚染が容易ではない事を間接的に認めることになりました。
しかしそれでも「彼らは反省などしていない」という記事がドイツから発信されました。
題材は8月9日の長崎原爆追悼式典ですが、注目すべき部分は記事の後半、日本の「原子力村(ムラ)」について述べている部分です。
世論調査では今や日本人の6割以上が『脱原発』を望むようになっているのに、『民意を代弁すべき』政治家たちは、あえて発言しようとはしません。
どころか、「原発が無くなれば日本は電力不足に陥り、産業界が打撃を受ける」と国会で堂々と『演説』した議員もいます。
そんな事がまやかしである事は、ヨーロッパが大々的に風力発電事業を展開・成功している事をご紹介した複数の記事が証明しています(http://kobajun.biz/?p=817、http://kobajun.biz/?p=823)。
しかし、伝えるべき情報をきちんと伝えずに、その『強大な政治力』を駆使して国や国民をコントロールしようとする日本の「原子力村(ムラ)」。
事故直後から世界各国が指摘した、日本の「隠蔽」「過小報告」「発表を遅らせる」などの操作は、「パニックを引き起こさないようにするため」という言い訳の下、実は福島第一原発の事故をきっかけに、自分たちの利権が「侵されないように」するためでもありました。
卑怯と言えば、これほどの卑怯は無いと思います。
戦場での卑怯は味方を危機に陥れ(おとしいれ)ますが、「原子力村(ムラ)」の卑怯は広範囲にわたる地域で、日本の子供たちを危険な状況に陥れました。
私はこれまでたくさんの歴史書を読んできたつもりですが、自分たちの『権益を守るため』自国のたくさんの子供たちを危険にさらした、などという話は見た事も聴いた事もありません。
泥沼の内戦を行っているアフリカならいざしらず、現在『先進国』と言われている国で、こんなことが起きた国が他にあるでしょうか?!
しかし、彼らの『強大な政治力』は多くの国会議員を動かし、多くの議員が国民ではなく『力の強い者』の方を向いています。
私たちがこれからしなければならない事のひとつ、それは面倒でも億劫でも選挙の投票に行き、明らかに「原子力村(ムラ)」とは関係のない候補者に投票する事ではないでしょうか?
でないと、「原子力村(ムラ)の強大な政治力」によって、この国はどんどん私たちの望まない方向に行ってしまいます。
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【原子力発電からの転換を求める長崎】
ドイチェ・ベレ(ドイツ国際放送) 2011年8月9日
日本は1945年8月9日の長崎に原爆攻撃の追悼式典を開催し、福島県の原子力発電所事故を受け、核エネルギーに関する議論が盛り上がっています。
長崎市長は日本は安全なエネルギーを開発しなければならない、と述べました。
日本は1945年8月に広島と長崎の原爆投下の犠牲者を追悼すると同時に、この年の始めに国を襲った核災害に対処するのに苦労しているのを受け、多くの関係者は原子力発電への依存を軽減し、代替エネルギーや再生可能エネルギー源に頼る時期が来た、と強調しています。
田上長崎市長は、日本が国を変革するような太陽、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギー源の開発を促進し、『より安全なエネルギーに依存する社会』に変革する必要があること述べました。
福島県の災害は、多くの日本人の原子力エネルギーに対する見方を変えました。今や日本人の多くが原子力産業を完全に廃棄するか、少なくとも大幅に減少させる事を望んでいます。
これは精神の著しい変化を表している、とボン大学のラインハルト・ツェルナーは語りました。
◇ 今年は違う精神で開催された記念式典
今年初めて、「広島、長崎の式典は、原子爆弾と原子力エネルギーの、両方に対する抗議の精神で行わたのです。」ツェルナー教授はドイチェ・ベレに語りました。
戦後間もなく、日本は決して核兵器は作らないし使わないと誓いましたが、一方では輸入資源に全面的に依存する事への懸念から、発電手段として原子力を採用しました。
「米国のアイゼンハワー大統領が1953年のスピーチ『原子力の平和利用』で宣言したように、原子力エネルギーと核兵器とは待全く違うものだと、『日本では』考えられてきました。」とツェルナー教授は語ります。
菅首相は、原子力エネルギーの『安全神話』について見直したいと語っています。
2011年の3月まで、日本はエネルギー需要の約30%を原子力に頼って来ました。
2030年には50%にする計画を推進して来ましたが、3月以降政府は計画を見直す事を発表しました。
現在日本では54基ある原子炉のうち、16基だけが稼働中で、残りのほとんどは定期検査のため稼働していません。
◇ 原子力安全のための新しい監視機関
日本政府はまた、環境省内に原子力の安全のための、新しい監視機関を設置する方針を固めました。
ツェルナー教授は、その背景に、監視機関は「より多くの独立性と信頼性があるべき」、という「強い動機」があったと説明しています。
教授は「それは日本の原子力保安院などが、原子力産業に有利に世論を操作しようとした事が判明した後、既存の省庁から数人の高官らが更迭された。」とつけ加えました。
しかし、東京の立教大学・政治学のアンドリュー・デウィットはドイチェ・ベレに以下のように語りました。
「日本の原子力ムラは、まだ強大な政治力を持っています。」
「日本の原子力ムラの政治力が強大なため、日本には再生可能エネルギー資源が豊富にあるにもかかわらず、利用されてはいません。
日本の電力業界は福島第一原発の事故について、それをさほど大きな失敗としては認めていません。そのために、彼らが福島第一原発の事故から学んだものなど、基本的にはゼロなのです。」
「彼らは唯一の現実的な代替エネルギーとして、原子力事業を前進させたいのです。彼らは敗北を受け入れてなどいません。」と、彼は語りました。
デウィットはさらに、菅首相の『日本は原子力エネルギーに対する依存を、低減する必要がある』とした勧告に対する強い反感が、与党内にある、と説明しました。
「菅首相自身の政党の大部分と原子力村とは、彼を取り除いてしまいたいのです。」と彼は指摘しています。
現在、再生可能エネルギーは、日本のエネルギー使用量のわずか10%を占めるに留まっています。
世論の支持を得たい菅首相は、彼は主に風力、太陽光、地熱エネルギーに集中し、2020年までに再生可能エネルギーの占有率を20%まで高めたいと述べています。
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動画[凶暴なサメ・プレデター]
さて今日の動画は、ドイチェ・ベレの記事には動画がありませんので、代わりにいかにも凶暴なサメを登場させましょう。
番組ではPredatorと呼んでいます。
場所は南アフリカ、どうやら大型サメが集まる場所のようです。
最後の方、キャスターがゲージから見ていたサメは14フィートと言いますから、4メートル強。
それでも、冒頭に出てくる強大なサメに比べるとずいぶん小ぶりに感じます。
なぜ、今日の原稿に凶暴なサメが出てくるのか?ですか?
ご想像にお任せします。
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今日はニュースではなく、アメリカのAOLエナジーが企業のプロモーション・ビデオを取り上げました。
ドイツのシーメンスは日本の三菱重工や日立に相当する企業です。
その企業が、「わたしたちの暮らしの転換」を提案しています。
ドイツと同時レベルのはずの「技術立国」日本で暮らす私たち。
シーメンスが描いてみせる未来の姿を見て「そうなって当然」、と思えます。
ところが日本だけはそうでもないのが、この国の複雑なところです。
最大多数のための幸福を追求するのではなく、まず金を持っている人間と権力を持っている人間の利権の拡大が図られる。
一般に暮らす人々は、その余得の分、恩恵に預かる、というやり方です。
一般企業の活動においてはそれは仕方の無い事かもしれませんが、国の政策にそれがついて回るとなると問題です。
いつの間にか私たち日本人は、権力が『主』で国民は『従』という意識を、教育の場で、社会の場で『刷り込まれて』来たように思います。
「仕方が無い.....」
それでは何も変わらないと思います。
東日本大震災、地震や津波は仕方がありませんでした。地球的規模の災害でしたから。
しかし、原発事故や被災地の復興の遅れは「仕方が無い.....」とあきらめてはいけない。
決してあきらめてはいけない、そう思うのです。
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【未来を見すえるシーメンスの目】
〈未来の暮らしはどうなる? 〉
アメリカAOLエナジー 8月15日
このシーメンスのアンドロイド・ロボットがナレーションをしているようなビデオでは、未来の生活のひとつの形を示しています - スマート・グリッドにより電気自動車が充電され、再生可能エネルギー電力の蓄電が実現されるというものです。
ビデオでは、特に電気自動車が、現在抱えている様々な制約から解放されるだろうこと、そしてスマート・グリッドによる肯定的な側面に焦点を当てています。
一部の人々は、スマート・グリッドでは電気自動車が必要とする電力を賄えない、と主張しています。
しかし、シュナイダーエレクトリックの新たな渉外担当上級副社長であり、政府ともつながりのあるジム・ポーリーがAOLエネルギーに語ったように、このビデオは、スマート・グリッドが、より新しく、よりクリーンで、より効率的な未来に向け徐々に進化することを、電気自動車が助けることができると訴えているのです。
考えられる未来のひとつの例として、このシーメンスのビデオをご覧ください。
【スマート・グリッドはどのように電気自動車に電気を供給するか : eモビリティ】
(シーメンス企業ビデオ)
「私たちが世界のエネルギー供給網の中で、積極的な役割を果たそうとしている、という考えを私たちは信じています。
スマートな選択、スマート・ビルディング、そして電気エネルギーの活用は、社会の総合的な最大限の効率達成に貢献するでしょう。
私たちのeモビリティのビジョンをご覧ください。」
〈ナレーション大意〉
「技術の進歩が、私たちの生活を変えようとしています。
ある分野の進歩はきわめて早く、もはや想像の世界にとどまるものではなくなっています。
化石燃料の枯渇、そしてCO2削減問題は、逆にチャンスへと変わり得ます。
そのひとつが自動車です。
ハイブリッド技術はすでに実用化されていますが、その先の技術もきわめて速いスピードで進化しています。
特に燃料価格の高騰は、自給自足エネルギー自動車への挑戦のための条件へとつながっています。
地球的なエネルギー政策の転換の理由はそして経済市場の大勢は新しいコンセプトを求められています。
ひとつだけ確かな事は、世の中の流れがエコ・エネルギーを活用した総合的な電力政策に向かっているということです。
この事に疑いはありません。
これからは必要な電力を自分で賄うスマート・ビルディングとスマート・ハウスが、世界の電力市場を変えて行くでしょう。
世界は変わろうとしています。」
アメリカNBC放送ナイトリー・ニュース 8月17日
さて次は「making a difference」レポートです。
みなさんは、アフリカの子供たちの清潔な飲み水を提供するための寄付を呼びかけた、シアトル郊外の女の子の事を覚えていらっしゃると思います。
痛ましい事に、彼女は目的を達成する前に交通事故でこの世を去ってしまいました。
しかし、彼女のともだちや家族によって、その夢は生き続けています。
今日彼女の母親は、このような素晴らしい結果につながったのかを話してくれました。
レポーター:レイチェル・ベックウィズの生命維持装置が外され、医師が手の施しようが無かった事を告げたとき、レイチェルの兄は彼女が天使になるべきたくさんの資格を持って、天に昇って行った事に気がつきました。
レイチェルがした事は世界中を感動させ、そして動かし、多くの子供たちを救うことになりました。
記者:彼女の9歳の誕生日、レイチェルはプレゼントをねだる代わりに、遥か遠い土地の子供たちが安全で清潔な水を飲む事ができるよう、寄付を募る事を決心しました。
レイチェルはごく自然に分かち合う事ができる、それだけの愛情と思いやりにあふれた環境の中にいたのです。
彼女の死から数日間、そして数週間、彼女の死とともに彼女の夢までが消えてしまう事を、人々ははっきりと拒みました。
彼女の話はどんどん広がりました、ラジオ番組で、FacebookやTwitterで、そしてたちまちにレイチェルの寄付金口座の金額が増え続けたのです。
そうした寄付はレイチェルの家族の心を慰めただけではなく、レイチェルの行動に心から共感するものでした。
「それは本当に私たちの心を癒してくれました。私たちは寄付に添えられたメッセージを、ひとつひとつ読むようにしました。
そこに込められたメッセージの素晴らしさに、私たちはたびたび時の過ぎるのを忘れる思いをしました。」
>>これまでのところ、約30,000人がメッセージを寄せ、寄付を行いました。
レイチェルの口座への寄付は100万ドルを超え、現在も増え続けています。
「ただただ驚くばかりです。人々の積極的に寄付をしてくれる物惜しみの無い態度には、どう感謝して良いかわからない程です。」
少女の死はあまりにも痛ましい出来事でしたが、人々の善意がそれを心温まる物語に昇華してくれたのです。
あなたが何歳であろうと、そしてわずかな貢献しかできないとしても、それはほんの少しの違いでしかなく、やがて大きな成果を生み出すことになるのです。
誕生日の願いはかないそうも無いとお考えのあなたにも、レイチェルの例がある、と申し上げましょう、願いはかなうのです。
リー・コーワン、NBCニュース、ロサンゼルス。
今、あなたが想像している通り視聴者の多くが、レイチェルのチャリティーにすすんで寄付をしています。もしあなたも興味をお持ちら、弊社のウェブサイトnightly.msnbc.comを経由して、レイチェルのチャリティーにリンクすることができます。
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ここでレイチェルを取り上げるのは3度目ですが、彼女程の「奉仕の精神」を持つ人間 - しかも9歳の少女 - が、そうそう世の中にはいないから、アメリカでもこれだけの反響があったのでしょう。
それはわかっているのですが、天に昇ったレイチェルが彼女の心のかけらを、この日本の上にふりそそいでくれたらなぁ、なんて、今度の誕生日、お願いしてみましょうか?
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- アメリカ『格差社会』が生み続ける闇 -
アメリカABC放送ワールド・ニュース 8月17日
わずか2歳の男の子が空腹のため病院にやってきました。
夕食をとりにきた訳ではありませんが、しかしこの幼い子にとっては毎日の事なのです。
この子の体は年齢よりもずっと小さく、脳を含む臓器の発達が遅れています。
そして、この子はアメリカで最も裕福な都市の一つ、ボストンに住んでいます。
ボストン医療センターの成長診療科の医師たちは、『成長障害』と診断された子供たちに援助を提供しています。
彼らは危険な程にやせこけた子供たちの数が、劇的に増加しているのを目の当たりにして来ました。
「非常に困難なのは、ほとんどの家族が懸命に働いているのに厳しい状況に置かれている事なのです。」と同医療センターの小児科・公衆衛生の助教授であるミーガン・サンデル博士は語ります。
「彼らはきちんと働いています。しかし、暮らして行くために必要な金額から、ほど遠い収入しか得られないのです。」
国立小児貧困問題センターによると、これが米国における貧困水準以下の生活を送っている、約15万人の子どもたちの実態です。
(写真)ノース・キャロライナ州エリザベス市ミドルスクールで常時行われている、メソジスト教会のボランティアによる『炊き出し』
その子供たちの様子は、フィラデルフィアの40人の女性が『飢餓の証言』と題して、その生活実態を写真で公開する取り組みにより明らかとなっています。
そこでは狭苦しいベッドルームでの生活、ほとんど何も入っていない冷蔵庫や食品貯蔵庫などの様子を、目で見る事ができます。
ポーリンは食品貯蔵庫には今夜、すこしばかりのマカロニ、スパゲッティ、麺類、ピーナッツバターとゼリーがあるものの、来週までは保ちそうにない、とABCニュースに語りました。
「こんな状態である事、そして子供たちの胸の内を考えると、母親として本当につらいんです。」と彼女は言います。
「私は子供たちが欲しがっているものを何も与えてやれない、他の子供たちが持っている物も私の子供たちは手にする事ができない、そう考えると本当につらくなります。」
米国の貧困状態で暮らしている子どもの数は2000年以降、全体の2割近くになっています。
国立小児貧困問題センターによればその原因は高い失業率と家屋の差し押さえです。
それは全国的な問題ですが、特にアラバマ州、ルイジアナ州とミシシッピ州の子供たちが、最悪の状況に置かれています。
一方、ニューハンプシャー州、ミネソタ州とマサチューセッツ州では多少はましな状態です。
アメリカ食糧銀行は、突発的なアフリカの飢饉に比べ、アメリカの貧困層の子供たちは、ゆっくりと、しかし確実に訪れる飢餓に直面している、と言います。
「世界中に飢餓の問題があり、世界中に飢餓のためお腹が膨れてしまった子供たち、悲しい目をした子供たちがいます。」マリー・スキャネル、ニュージャージー州サマセット郡のフードバンクの理事は語ります。
「これは可能性の問題ではありません。実際、ニュージャージー州のサマービルに行けば、子供たちの目の中に悲しみを見ることができます。これは私たちにとって、本当に最悪の部分なのです。」
アニーE.ケーシー財団によると、全国で550万人近い子どもたちが差し押さえによって、家を失ってしまった家族とともにいます。
そして800万人の子どもたちは、少なくとも父親か母親のどちらかが、失業してしまっているのです。
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実は今日ご紹介したのは、昨日ご紹介したNBC放送ナイトリー・ニュースと同じテーマについて、同じ日にABC放送ワールド・ニュースが伝えた物です。
みなさんは数年前にEUが「アメリカ的功利主義 - 競争社会との決別」宣言をしたのをご記憶でしょうか?
私はこの宣言を「とにかく人に先んじて、金と名誉を手に入れることこそ人生の目標。そんな生き方はやめて、互いに支えあいながら穏やかに暮らしませんか。」という意味に取ったのですが、いかがでしょうか?
ここでも一度ご紹介しました(http://kobajun.biz/?p=697)が、アメリカではマスメディアの最高経営責任者報酬の平均額が1,080万ドル(8億6,400万円)であるのに対し、昨日ご紹介したアメリカNBC放送ナイトリー・ニュースでは、『アメリカ国内の実に4世帯に1世帯は、貧困とされる水準年収22,350ドル(約175万円)以下の生活を送っている』事が報じられていました。
これほどの格差、どんな必然性があって生じているのか、本当に考え込まされてしまいます。
『自立』が正義なのか、『支えあう事』が正しいのか、答えの出るはずの無い問題かも知れません。
ただ、いずれにしても、子供たちを守れない社会、不幸な子供たちが次々と生まれる社会、そんな社会はロクでもない社会だ、という考えだけは変わりません。
私たちの国がそんな国にならないよう、大変ですが目配りをしっかりして行きましょう。