[11月30日の東電の発表、米国メディアはどう伝えたか?]
アメリカCBSニュース 11月30日
この春発生した日本の福島第一原発の事故は、当初伝えられた『一部のメルトダウン』などではなく、ほとんど完全なメルトダウンであることが明らかになりました。
東京電力は11月30日水曜日、原子炉一号機の核燃料は原子炉の底を突き破り、コンクリートの土台を破壊し、地面近くまで達していると発表しました。
3月、福島第一原発は大地震と津波により深刻な損傷を受けましたが、CBSの特派員ルーシー・クラフトは、これらすべてのことが日本の食品に今後どれだけの影響を与えるのか、日本は懸念を深めている、と伝えます。
原発から170マイル(270キロ)の場所で暮らす専業主婦の安田としこさんは、原発事故の影響を心配し、近頃は食料品店での買い物をすることが少なくなりました。
「汚染された牛肉がスーパーマーケットで売られたことがありました。ブロッコリーも、ホウレンソウも、シイタケにも似たようなことがありました。汚染の事実が明らかになった時点で、これらはみんなすでに販売されていたのです。もうこれ以上、政府の言うことは信じられません。」
安田さんはさらに、放射線そのものが微量ではあっても、8歳になる娘のあいみさんを傷つけかもしれないと心配しています。
食事の準備をしていてもこの心配が頭を離れることは無く、彼女はほとんどの食材をインターネットで購入するようになりました。
彼女ははるか遠くの南日本の販売業者から卵やその他の生鮮食品を購入し、遠く米国から購入することすらある、 とCBSの特派員に話しました。
東日本全域の漁師や農民にとっては、放射性物質による汚染そのものより、人々の放射能汚染への恐怖がもたらす彼らの生計手段に対する影響の方が大きい、と語ります。
常陸那珂港は、制御不能に陥っている福島第一原発の南約100マイル(160キロ)の場所にあります。
ほぼ週に一度程度、水揚げされた魚について放射線量の測定を行っています。
これまでのところ、基準以上に汚染されている魚は皆無でした。
ここの漁師たちは、彼らが獲ったヒラメ、タコ、エビは食べても安全であると主張します。
しかしながら、近くの直売所の客足は原発事故以降、それまでの半分にとどまっています。
「これ以上消費者が風評被害に惑わされることが続けば、ここにいるみんなが食べてはいけなくなってしましま す。」
政府は人々の食品に対する不安は、過剰反応だと主張します。
毎日何百品目もの食品について放射線検査を行い、このうち放射性セシウムが基準値を超えて検出されているのは数点にとどまる、と発表しています。
しかし、放射線検査機器の数が不足しており、すべての漁船のすべての水揚げについて検査するのは不可能です。
リスクは大きくないかもしれないが、安田さんは放射線で汚染された食べ物が決して娘の口に入らないようにしている、と話します。
「低い線量の放射線被ばくで娘がガンになることは、多分無いでしょう。でももし5年後、娘がガンを発症してしまったら、私は後悔に苛まれることになります。なぜもっと、細心の注意を払わなかったのか、と。」
低いレベルではあっても非常に広い範囲に広がっている土壌と水資源に対する放射能汚染、日本はこれから数年の長きに渡り、食卓に載せても安全な食品とは何か、悩み続けなければなりません。
http://www.cbsnews.com/8301-18563_162-57334218/japan-faces-years-of-food-contamination-fears/?tag=cbsContent;cbsCarousel
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – +
私自身、暮らしているのが福島第一原発の北約95kmの仙台市なので、こういうニュースを見ると心穏やかではありません。
『いったい何であれば食べても安全なのか』、私たちにとって毎日の懸念になってしまいました。
11月8日、9日の2日間ご紹介したアメリカ・ニューヨークタイムズの海洋汚染の実態についての記事 ( http://kobajun.biz/?p=1268 )、そして16日にご紹介したイギリスBBC放送の汚染マップ( http://kobajun.biz/?p=1314 )、さらにはドイツ国際放送による放射性物質以外の汚染物質の存在( http://kobajun.biz/?p=1388 )と、福島第一原発の事故による日本の国土の汚染が容易ならざる状況に陥っていることが、 震災後8か月が経ったこの11月になって次々に世界各国のメディアに取り上げられています。
さすがに国内のニュースでも、福島県北部の深刻な汚染状況が取り上げられるようになり、ひところ問題になった「20ミリシーベルトなんて大丈夫なんです!」などという発言を繰り返していた『学者』も、姿を見せなくなりました。
しかし、深刻な危険と向き合う生活を強いられるのはこれからです。
今回のニュースでも、『数年にわたり』と表現されています。
これらの問題が『完全に』解決されない限り、原発の再稼働など『あり得ない』話だと、私は考えます。
〈 背景にあるキビシい経済状況に、笑うよりため息?! 〉
アメリカNBCニュース 11月29日
今日は一コマ漫画のご紹介です。
アメリカの一コマ漫画は社会風刺が多いので、その背景がわからないとなかなか笑えません。
主にブラック・フライデーからクリスマスにかけての、年末商戦がテーマになっています。
ブラック・フライデーは「暗黒の金曜日」という意味ではなく、11月23日の感謝祭がアメリカでは年末クリスマス商戦の初日にあたり、派手なディスカウントなどを目玉に、大勢の買い物客が店に殺到することから、売り上げが上がるため決算も『黒字になる』という意味です。
つまりは『黒字の金曜日』という意味なのですが、今年のブラック・フライデーの一日の売り上げは昨年を2割以上、上回ったようです。
翌日には平均株価も200ドル以上値上がりし、ABCニュースのキャスターが「景気回復の前兆なのか?」と経済担当の特派員に尋ねたところ
「そんなことがわかるのなら、こっちが教えてほしいよ!」と切り返されていました。
いずれにせよ、アメリカNBCニュース・サイトで紹介された一コマ漫画の数々、いくつかご紹介します。
こびと「シーズンを先取りしすぎだって、また抗議が来てるんですが?」
サンタクロース「シーズン先取りは私たちだけじゃ無いだろう?」
(窓の外には「2012年の投票の際はよろしく!」という意味の大統領候補の名前の立て看板が、所狭しと立っている)
サンタクロースが持っているメッセージボード「クリスマスまであと28日しかありませんよ。」
この家の主人「夕食が終わるまで、待てないのか?!」
『職をくれ!』の紙を握った家族を指さして
「(偶然この場所で座り込んでていて)この買い物客は幸運だよ。」
「どうしてサンタに僕の欲しい物をいちいち言わなくちゃないの?サンタのサイバー・マーケッティング担当のトナカイが、僕のオンライン・ ショッピング記録を調べてみればいいじゃない?」
『一週8日間営業!』『徹底値引き』『200%割引!』『一日25時間営業!』
「なんだか、(お金だけじゃなく)仕事までとられてしまいそうだよ。」
インターネットのいいところ
「すばらしい!車のカギを閉じこんだり、太ったやつに足を踏まれたりする事無く、クリスマスの買い物が終わってしまった。」
このブリザードがおさまるまで、クリスマスの買い物は先に延ばした方がよさそうだ。」
(窓の外には『失業』『抵当流れ増加』『不動産価格下落』『解雇通告』などの文字が躍る新聞の嵐が)
http://www.msnbc.msn.com/id/45420649/ns/today-today/displaymode/1247/?beginSlide=1#.TtWQrlZZ6W8
上記のNBCのサイトにアクセスしていただくと、もっとたくさんの一コマ漫画をご覧いただくことができます。
でも、このサイトをご覧いただくと、私が訳すのが面倒な漫画や解釈するのが難しい漫画の掲載を、パスしているのがわかられちゃうかもしれませんね。
勘弁してください、風邪をひいてしまってここ二、三日頭がまわらないんです、実は.......
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – +
【 着ぐるみ姿でパンダの調査研究 】
アメリカABC放送 11月28日
着ぐるみを着た研究者が、パンダの子どもたちの調査を行っています。
数年前にABCニュースのスタッフが初めて臥龍パンダ研究センターを訪問したとき、その場所は最もにぎわう観光スポットであると同時に、中国でパンダの飼育に最も成功した施設でもありました。
60頭もの愛らしいパンダの子どもたちがいたのです。
しかし今では『ジュラシック・パーク : 失われた世界』の観があります。観光用の看板、観光施設などはまだその場所にありますが、2008年に四川省を襲った大地震から未だ回復せず、観光客の姿はほとんどありません。
この場所は今は伸び放題の竹やぶになっています。
ダグ・チョウ博士はこの場所に残り、パンダの母親と子どもたちの世話を続ける一握りの研究者の中の一人です。
「私の仕事は、パンダの世話係兼ベビーシッターと云ったところです。」
チョウ博士は通訳を通しこう語りました。
しかしベビーシッターと云えど、真剣に取り組まなければなりません。彼は着ぐるみを着てパンダたちの世話をするのも、大切な仕事の一部なのです。
チョウ博士は同僚とともに、パンダの子どもたちの調査を行う時は、ジャイアント・パンダの着ぐるみを着て行きます。
おかしな格好で真剣な調査を行う訳は、パンダの子どもたちを人間に過剰に慣れさせないためなのです。
彼らが成長して自然界に帰る際、障害になる可能性があります。
このフワフワした白と黒の衣装は、とてもおかしく見える医師の往診を実現させるためのものです。
中国においてはことパンダの問題に関しては、議論が極端になりがちです。
例えば、2008年の地震以降の飼育方法を再設定する際、成都の近くではパンダが後尾をする気になり、それが成功するように「パンダ版ボルノビデオ」を見せることまで試みました。
さらには、パンダを間近で観察するために、パンダの着ぐるみをきる方法を思いついたのです。
この着ぐるみはパンダ飼育センターのオリジナルです。
ABC放送の『ザ・ナイトライン』チームは、研究者と一緒に着ぐるみを着込んでパンダの棲息エリアに同行しました。
そして偽パンダたちは、そっと生後4ヵ月のパンダの赤ちゃんの体重を量り、生育状況と健康状態について記録を行ったのです。
〈 仙台市からレポート 〉
アメリカCBSニュース 2011年11月18日
(写真1)宮城県南三陸町の空撮風景
津波でぼろぼろにされた日本の東北地方の沿岸部の上空1,000フィート(300メートル)からの眺めは、事態の著しい前進を感じさせます。
ほとんどの瓦礫、めちゃくちゃになった車、散乱していた破片などはきれいに片づけられました。
しかしながら11月18日、AP通信の記者を乗せたヘリコプターからの眺めは、3月11日に津波が多発する地域で発生したマグニチュード9.0の地震が引き起こした大災害から8カ月が経っても、復興の兆しをほとんど感じさせません。
かつてはにぎわっていた町の後に残されている灰色の荒涼とした空間は、これから先復興を成し遂げるためには、 どれほどの仕事をこなさなければならないかを思い起こさせます。
地上では、一向に実現しない行政の復興プランに対し、被災地を取り囲むようにずらっと並んだ仮設住宅の中で、 人々がいらだちを募らせています。
人々は生活を建て直すことを切望していますが、それをどうやって実現したら良いのか、いまだにわかりません。
「私はできるだけ早くここを引き払って、私たち自身の家に引っ越したいのです。でも行政も金融機関も、そう簡単に手を貸してくれそうにはありません。」
仙台市に隣接する名取市の住人で、現在は彼女の母、兄弟、祖母とお気に入りの犬セブンと、仮設住宅で一つ屋根の下に暮らす沼倉ユキさん36歳はこう語りました。
「本当にお先真っ暗です。」
日本の野田政権は、復興のため今後5年間で少なくとも18兆円の予算をつぎ込む予定ですが、このうち6兆円について議会の承認を得ました。
そしてこれまで震災で被害を受けた7つの県で、約52,500戸の需要に対し51,886戸の仮設住宅を建設しました。
結局、復興のためのプラン作りは各地方の首長任せとなりました。しかし、日本政府からの援助の範囲と時期に関するあいまいさが、各自治体の対応をして慎重にさせています。
各市町村はより長期的な復興計画を打ち出すようになりました。これらは住民の声を取り入れ、将来再び起きる津波の襲来に対し、より効果的に市町村を守るプランを含んでいます。
これらの市町村ではこの120年間に4回の津波の襲来があり、いずれ再び津波が襲うことへの恐れから、多くの人が低い土地に町を再建することを嫌っています。
今回の災害で町の建物の7割を失った漁業の町、南三陸町は町を取り囲む山地を削ってでも、より高い場所に住む場所を建設しようとしています。
そして可能であれば港に隣接する商業地区 - 町の産業の中心部の地盤のかさ上げ工事を実施したいと考えています。
さらに、将来津波が襲っても住民が安全に避難できるよう、避難路の拡幅工事と高所避難所の建設を予定しています。
(写真2)宮城県南三陸町の骨組みだけになった旧災害対策センターの前で、犠牲になった人々の冥福を祈る訪問者たち
こうした南三陸町の復興計画は10年を要することになります。
人口の減少と高齢化に直面し、町は観光誘致と新たなビジネスを立ち上げることで、経済を復活させようとしてい ます。
町が直面する現時点での最大の課題は、長い期間を必要とする復興計画と、壊れた家の修復をしたい、早く職に戻りたいという住民の要求との、両者のバランスを取ることである、と社会基盤学専攻の福井恒明東京大学教授が語ります。教授はさらに多くの臨海地区を抱える気仙沼市の、復興計画策定に協力しています。
「今回の災害規模は沿岸部全域に及んでおり、とてつもない規模であることは確かです。私たち専門家ですら、これまで直面させられたことが無い程のものです。」
公式の発表によれば、今回の災害で15,839名が死亡、3,647名が行方不明となっています。
行方不明者がこれほど多いのは、遺体が確認された場合のみ死亡と認定されるからです。
さらに南では、津波が福島第一原子力発電所を襲い、核危機が引き起こされました。その結果約100,000の人々が自宅から避難を余儀なくされました。
彼らは、いつ自宅に戻ることができるのか、全くわからない状況です。
約2,300万トンに上るすべたてのがれきの処分が、もう一つの大きな頭痛のたねです。大部分が街の中からは取り除かれましたが、がれきの完全な処分にはさらに2年6カ月の月日が必要になると、行政側は見積もっています。
膨大な量の瓦礫が木材、金属、有害廃棄物、その他に細かく選別され、仙台空港近くの名取市内の平らな場所に積み上げられています。
金曜日、何十台ものクレーンやバックホウが動き回り、待機しているダンプカーにそれらを積み込みました。
一部のものはリサイクルされます。たとえばコンクリートは細かく砕かれ道路舗装の敷石として利用されることになる、と環境省の担当者は語ります。
残りは埋め立てられたり、焼却処分されますが、県の焼却処分場の処理能力をはるかに上回る量であり、県は他の自治体に救援を求めています。
重機が忙しく動き回る場所からいくらも離れていない場所で、津波で名取市内の家を失ってしまった75歳の斎やえこさんは、仮設住宅が作る日陰で将来のことを心配しています。
「知り合いはみんな散り散りになってしまいました。もしこの場所からも出て行かなければならなくなってしまったら、もうどうしていいかわかりません。」
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – +
【 アルプス上空に舞い上がる 】
アメリカABCニュース 11月25日
イヴ・ロッシー、別名『ジェットマン』は、2機のアルバトロスL-39Cとともに曲技飛行を行うため、スイス・アルプス上空へ舞い上がりました。
ロッシーは2006年11月に飛行家として世界で初めて、ジェット推進機による飛行を成し遂げました。ジェット推進機で飛行した人間は、今のところ彼だけです。
開発に着手して10年、ロッシーは15の試作機を制作した後、4種類のエンジンを組み合わせた飛行翼を作成、これを使って5分40秒の飛行に成功しました。
2008年5月、52歳になった彼は初めてメディアを前に、スイス・アルプスの公式フライトを成功させました。
さらに2008年9月には、彼の英仏海峡飛行の様子が世界165カ国に中継されました。この時の飛行時間は13分でした。
それ以来、ロッシーは2機のボーイング・ステアマン複葉機とともにブライトリング・エアウォーカー(飛行機の曲乗りチーム)と空中パフォーマンスを行ったり、熱気球の周りを回ったり、グランドキャニオンの上を突っ走ったりしているのです。
〈 放射性物質だけが汚染物質では無い 〉
ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 11月15日
福島第一原子力発電所の事故における一連の爆発と火事は、大量の放射性物質を大気中、海中に放出しました。
国際原子力機関(IAEA)が事故後の日本の汚染対策を高く評価する一方で、研究者たちは日本側が考えるよりも広範なエリアが汚染されている可能性について警告し、広範な土壌検査を実施するよう求めています。
IAEAは福島第一原発の事故後の日本の汚染対策を高く評価してきましたが、さらなる対応を行うべき余地についてこう言及しています。
「すべての立場で、多くの評価すべき取り組みが行われ、汚染された地域の環境修復が日本では進行中です。」
「しかしながら、まさにこの瞬間に、我々はよりバランスのよい取り組みをするべき余地があると考えます。緊急 に対応をとるべきエリアに焦点を合わせ、残留物質の分析を行い、安全基準の結果に基づいた適切な環境回復のための対策をとる必要がありま す。 」
スペイン政府の原子力担当機関からIAEAに 参加しているファン・カルロス・レンティホはこう語りました。
▽ 農地に高濃度の放射性物質の可能性
同じ日、事故を調査する国際研究チームが、事故を起こした福島第一原発はこれまで日本が考えてきた以上に広いエリアを汚染している可能性がある、と発表しました。
調査結果は米国科学アカデミー(PNAS) ジャーナルの会報に掲載されましたが、福島第一原発周辺地域の農地は、法で規定された以上に汚染されている可能性があります。
コンピュータが当時の気象条件を基にシュミレートした、放射性物質の拡散モデルを用いた結果、研究者たちはセシウム、テルリウム(テルル : 毒性がある)、ヨウ素を含む放射性同位元素が、北海道を含む福島第一原発から半径500キロメートルの範囲まで運ばれたことを突き止めました。
名古屋大学から参加している安成てつこ氏は国内全体の土壌調査を要求し、放射線濃度の高いホットスポットの存在について警告しました。
Author: Anne Thomas (AFP, dpa)
http://www.dw-world.de/dw/article/0,,6660037,00.html
+ - + - + - + - + - + - + - + - + - +
この記事はすでにご紹介した11月16日掲載の英国BBC放送の記事、【日本全域の放射能汚染マップ】初めて明らかに〈米国研究機関が発表〉[東日本の食料生産が「深刻な打撃を受ける」可能性](http://kobajun.biz/?p=1314 )と同じ研究結果に関する記事です。
あえて取り上げたのは記事中に見慣れない、『テルリウム(テルル : 毒性がある)』という汚染物質の名前があったからでした。
専門的には『第16族元素』というものに含まれ、放射性物質ではありませんが、『毒性がある』とされています。
[テルルによる汚染マップ]
出典 : Assessment of individual radionuclide distributions from the Fukushima nuclear accident covering central-east Japan
http://www.pnas.org/content/early/2011/11/09/1111724108
〈 論文の全文を見るためには、このページの真ん中の列 This Article → Abstract → full Text(PDF)をクリックし、PDFファイルをダウンロードしてください 〉
つまり、福島第一原発からは放射性物質以外の毒物 - 汚染物質が放出されていた、ということになるのではないでしょうか?
日本の公害病の『イタイイタイ病』の原因物質はカドミウム、『水俣病』の原因物質が有機水銀であったことが思い起こされます。
日本の『公式の』放射性物質の調査はセシウム134、 同137、放射性ヨウ素に留まっていますが、ここでご紹介した海外の記事だけでも、トリチウム、ストロンチウムといった放射性物質による汚染の可能性が指摘されています。
加えて今度は、放射性物質『以外の』汚染の可能性が指摘されたことになります。
福島第一原子力発電所の汚染は、いったいどれ程までなのでしょうか?
国は福島第一原子力発電所から漏れ出した恐れのある、放射性物質・毒物のリストを早急に公表すべきだと思います。
その上で、記事中にあるように、対象を放射性物質に限定しない、日本全土の一刻も早い土壌調査が必要なのではないでしょうか?
そしてついに、[メイキング・ア・ディフエレンス]のタイトルの訳ができました。
「この世界を変えていく!」
那覇市にお住いの、ツイッターネーム『依田徹(よだとおる)脱原発、反TPP』 さんからのご提案です。
素晴らしいと思いました。
2人のレイチェルをはじめ、[メイキング・ア・ディフエレンス]に、これまで 登場したような人々が、私たちが生きている今の世界が壊れないように取り組んでくれている、そうした思いがずっとあったのですが、この題の訳は、まさにその思いにぴったりです。
ありがとうございました、これからアメリカNBCニュースのMaking a Differenceは
[この世界を変えていく!(メイキング・ア・ディフエレンス)]として、ご紹介をさせていただきます。
+ - + - + - + - + - + - + - + - + - +
【 青年が最難関の縦走に挑んだ理由 】
アメリカNBC[この世界を変えていく!(メイキング・ア・ディフエレンス)] 10月26日
ブライアン・ウィリアムズ :
さて一日に42マイル(107km)を走るご自分を想像してみてください。
それこそ一人の男性が彼自身の母親への愛を表現するために、実際に行っていることなのです。
そして道々他の人々にとっても、これまでとは異なる素晴らしい変化が起きることとなりました。
今夜はNBCの エイミー・ロバックがお伝えします。
エイミー・ロバック(レポーター): 23歳のサム・フォックスは人生をかけて走り続けることで、彼の世界を信じられないほど大きなスケールに広げています。
サム・フォックス「母のためにやっていることなんです。母の名誉のために、母が私にしてくれたすべてのことに感謝するために。」
レポーター : ま さに地球を舞台に繰り広げられた息子の愛の表現は、多くの人が挑戦して不可能だった、アメリカ西海岸の尾根伝いにカナダからメキシコまでの2,650マイルの太平洋岸山岳長距離コースの走破を成功させました。
この挑戦で彼はパーキンソン病の研究基金に、150,000ドルの寄付を集めることができました。パーキンソン病こそ、彼の母親のルーシーが今苦しんでいる病なのです。
ルーシー「ほとんどの人にはそれは、段階的に訪れることだと思っていました。自分もそうだと思っていました。でも、違って…..ある朝目が覚めると、自分が何もできない人間になっていた、そんなこと信じられますか?」
レポーター : 息 子が厳しい大自然の中を走り続けている間、ルーシーは彼が走破しなければならない道程が、まだまだ長いことを気遣います。
ルーシー「息子が苦しんでいる姿なんか見たくありません。彼ならきっとやり遂げると思います、でも辛そうにしている姿は見たくないんです。」
レポーター : サムには常に限界に挑戦したい、という意欲があります。この太平洋岸山岳長距離コースの走破を成功させた人は、エベレストの登頂を果たした 人数よりも少ないのです。
彼の走破の過程は、『ただひたすらに走り続ける』というドキュメンタリー番組として採録されました。
サム・フォックス「このコースは暑い上に乾燥しています。足も傷ついてしまいました。体が時々、もう限界だ、と音を上げます。次の到達点までは、まさに何とかたどりつく、という感じなんです。当初の予定より55時間オーバーしていますが、そんなことは数多くある問題の中では些細な部類に入ります。それでもだいぶ遅れてしまいました。」
レポーター : ルーシーは10年前にパーキンソン病と診断されましたが、彼女はかつて母親として子供たちの冒険心を育むため、知らない土地への旅行へ頻繁に連れて行きました。彼女なりの目的があってのことでした。
ルーシー「私の母親としての役割は、子供たちの中に旺盛な独立心を育てることだったのです。
自立した心とその他の要素が組み合わされて、尊敬される人間に成長することができる、私はそう考えています。」
レポーター : 共に支え合いながら、母と息子は長い道のりの挑戦を成功させました。
サム「母は衰弱が進行していく病に侵されていますが、日常生活の中で小さな挑戦を毎日欠かさず続けることによって、私を励まし続けています。」
レポーター : 挑戦の成功の香りはことのほか甘いものだったようです。
エイミー・ロバック NBCニュース
http://www.msnbc.msn.com/id/3032619/ns/nightly_news/#45054376
Visit msnbc.com for breaking news, world news, and news about the economy
「専門家が懸念する、多重債務者への『外注』原子炉点検」
Cordula Meyer / デア・シュピーゲル(ドイツ)2011年9月21日
▽ 1日100ユーロ(11,000円) をかせぐために
渡辺博之さんはJ - ビレッジの皆々に位置するいわき市の市議会議員です。
過去2年間、彼は東京電力がどこから作業員を連れてくるのか、突き止めようとしてきました。
「そのやり方には危険がつきまとっています。日本最大の企業がこうしたやり方をしていることは、まさに驚くべきことです。」
事実、東京電力は何年にもわたり、誰にもわからない方法を用いて福島第一原発の作業員をかき集めてきました。
2008年、日本原子力産業フォーラムの北村敏弘氏は、日本の電力会社を批判しました。
「日本の電力会社は原子力発電所の点検作業を、外注作業として多重債務者にやらせている。」
原子力発電所の専門家たちの懸念の主なものは、こうした作業員が正規の技術者に比べ、原子炉には通暁していない、そのために生じる危険にありました。
渡辺さんによると、東京電力はこれらの労働者に一日1,000ユーロ(11,000円) の支払いをしますが、未熟な作業員の中には一日100ユーロ(1,100円)しか受け取れない作業員もいます。
「そうした人々は年を取っているか、生活困窮者のどちらかです。いずれも正規雇用ではなく、限られた就職機会しかありません。」
彼らの中には書面での正式な契約すら結んでいない者もいる、と渡辺さんは言います。
「彼らが被ばく限度量に達すると、仕事を失い、人材派遣会社が代わりの要員を送り込むだけのことなのです。」
渡辺さんは作業員が正当な支払いを受けられるようにしたい、と思っています。特に一番末端の作業員こそ、労働組合を持つべきだと彼は語りま す。
「もし問題が起きても、誰に相談することもできない。」
いわき湯本にある幡豆レストランで7人の同僚と一緒に夕食をとりながら、一人の若い作業員が話してくれました。
彼らは食事をしながらビールを飲み、ひっきりなしに煙草を吸っています。
男たちは誰も福島第一原発のことを話したがりませんが、好きであろうとなかろうと、彼らはその仕事をこなさなければなりません。
彼らは家族についても会話し、そして放射線がもたらす恐怖についても、語り合います。
▽ 『誰かが、しなければならない』
隣の部屋では24歳になるユタカが、靴下やTシャツを洗濯機に放り込んでいます。
彼はカラーをコーディネイトして格子柄のズボンとポロシャツを着ています。
毎晩彼はペンションの中の自分の部屋で、現在の放射線被ばく量を測定しています。
「正直なことを言えば、妻は私の被ばくについてすごく心配しています。」
しかし彼は今、辞めるつもりはありません。
「誰かはこの仕事をやらなければなりません。」
彼は原発内で休憩室を管理しています。
彼の妻は避難以来、彼とは遠く離れて暮らしています。
「私たち夫婦が元の家に帰れるかどうか、それはわかりません。」
たくさんの原発作業員の存在が、いわき湯本の街の根本的に変えてしまいました。
避 難区域の南端にあるこの小さな町は温泉が出ることで知られ、たくさんの観光客が訪れていました。
しかしもう観光客の姿は無く、住民たちも避難していきました。
代わりにこの有名な温泉街は、原発作業員であふれかえっています。
今では1,000から2,000人程の作業員がここで暮らしている、ととあるホテルのオーナーが話しました。
その作業員の多くが、近くJ-ビレッジのグランド内に設置されたトレーラーハウスに移り住む予定です。
いわき湯本に住む一人の作業員は、立ち入り禁止区域内の今は打ち捨てられてしまった町、富岡町からやって来ました。
彼はマールボロ・メンソールのたばこを吸い、両腕両脚に入れ墨をしています。
日中、彼は原子炉4号機の前で、汚染除去システムに使う塩ビ管を組み立てています。
彼にとって一番つらいことは、毎日の職場への移動だと言います。
バスはかつての彼の家の前を、往復2度通過します。そしてかつて彼が遊んだパチンコ店の前も。
「何もかも、空っぽになってしまったのを見ていると、悲しくなるよ。」
彼は故郷の街の通いなれたパチンコ店で遊ぶ日が、再びめぐってくることを待ち望んでいる、そう語りました。
〈完〉
http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,786650,00.html
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
【 火星に生命体?! 今度こそ明らかに 】
アメリカNBCニュース 11月26日
NASAの人々は、それを火星探査モンスター・トラックと呼んでいます。
そして今夜、世界最大の地球外探査衛星は、赤い惑星 - 火星に向かっています。
NASAにとって今回の新たなミッションは、生命の起源を探るという大きな目標と大きな危険性が隣り合わせになっています。
NBCのトム・コステロがお伝えします。
「3、2、1…」
リポーター:ケネディ宇宙センターから、サターン5型ロケットが打ち上げられました。NASAが火星に対し、もっとも先進的かつ野心的なミッションを開始したのです。
赤い惑星 - 火星までは1億5,400万マイル(約4億km)の距離があり、到達まで8ヵ月以上を要します。
来年8月、超音速パラシュートが徐々に速度を遅くしながら、科学探査装置を火星表面に降下させます。
この作業には高い危険が伴います。
火星の地表60フィート(18メートル)上空から、スカイクレーンが火星探査車両をゆっくりと注意深く地表に降ろします。
着地した探査車両は、他から操作されること無く、生命の痕跡、そしてできれば現存する生命体を求めて調査を開始することになります。
宇宙生物学者バメラ・コンラッド
「火星について、すべての謎が解明されることになるでしょうか?絶対にそうなりますよ!解明されるべき目標ははっきりしています。今回は手がかりが得られるだけには留まらないでしょう!」
リポーター: 注目は火星の太陽光の下でも長距離走破が可能な、高さ6フィート以上の6輪の探査車両『キュリオシティ』です。
火星の岩と土サンプルを分析して、その結果を地球に報告します。
火星のクレーターが散在するエリアで、NASAは着陸地点について慎重に選定を行いましたが、高地クレーターの中、ひときわ高くそびえる山にその場所を決定しました。
科学者たちはこの場所で、火星の歴史を明らかにする堆積層を発見できると信じています。
また、湖と川の存在に関する事実も明らかにします。
リポーター: この科学者は、火星にはかつて非常に温暖な環境があったことを明らかにする証拠について言及します。
コロラド大学惑星生物科学ライアン教授「おそらく今回、そのことが明らかになるでしょう。」
リポーター: その可能性は大きな命題を提供することにもなります。
NASAは長い間、火星を汚染しないよう地球上のどのような細菌であっても、火星に持ち込まないようにしてきました。
これまで高解像度カメラが火星の地表の下に、氷の層が存在することを明らかにしています。
火星には生命体が存在するのか、あるいは過去に生命が存在したのか、今回の『キュリオシティ』の調査で決まることになるでしょう。
Visit msnbc.com for breaking news, world news, and news about the economy