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もうあり得ない!東京2021オリンピックの『経済効果』

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東京オリンピックを中止して開催費用を全額新型コロナ対策に回せば、多くの国民や産業を救うことができる
今日この状況において、オリンピックを『景気回復策』として機能させることは不可能
オリンピックの経済効果、それは各地方で得られるはずの観光収入がただ単に会場周辺に集まるだけ

                  

                     

スティーブン・ウェイド/ AP通信 2020年4月18日

                     

写真 : 2020年4月16日(木)国際オリンピック委員会メンバーのジョン・コーツ氏との電話会議に出席する東京2020大会組織委員会の森喜朗委員長(左)とCEOの武藤敏郎氏。
IOCは延期により必要になる追加費用の総額が数十億ドルに上ると予想されることから、いくつかの追加協議などを割愛する方針を表明しました。

                    

来年に延期された東京オリンピックの計画を監督する立場にあるIOCのジョン・コーツ氏は、延期が決まった東京オリンピックには日本経済の「キックスタート」に貢献する可能性があると主張しています。
日本は多くの国々と同様、新型コロナウイルスの感染爆発によってあらゆる分野で国民が苦境にあえいでおり、東京オリンピックが2021年7月23日に開幕するまでに深刻な不況に陥る可能性が出てきました。

                   

「東京2021の開催は景気刺激策として非常に前向きに捉えられるべき機会です。」
コーツ氏は16日に開かれた東京組織委員会との電話会議でこう発言しました。
「東京2021の開催は経済を再始動させるために役立ちます。大会開催は観光産業を再生させる可能性があります。」

                  

コーツ氏はさらに日本の安倍晋三首相を「非常に賢い人間」だと称賛しました。
安倍首相自身も来年の東京2021の開催が経済刺激策として有効だと考えています。

                        

               

しかしAP通信が取材したエコノミストと長年オリンピックり検証を進めてきた研究者は、5兆ドル規模の日本経済に対し17日間しかない開催期間を考えると、観光産業への貢献もいかなる経済効果も無視できる程度のものでしかないと語りました。

                      

以前に開催されたオリンピックの中には物価の高騰と混雑が、観光客を惹きつけるというよりもむしろ落胆させてきました。
「コーツ氏の予測は『恵まれた環境の下で』オリンピックを開催する場合に限っての経済的影響に関するこれまでの調査結果しか見ていません。そして現在の世界的危機は「『恵まれた環境』だと考えることなどできません。」
トロント大学のヘレン・レンズキー名誉教授はAP通信あてにメールでこう語りました。

                  

レンズキー名誉教授は最新の「オリンピック:クリティカル・アプローチ」を始め、オリンピックに関する8冊の著作を発表してきました。
レンズキー名誉教授は2021年のオリンピック開催を中止し資金を拠出するする必要がなくなれば、日本はもっと内容のある国内政策を実施できるようになるはずだとも語っています。
「後に歴史になるであろうこの瞬間、「非常に賢い人間」なら自分の国がオリンピックを主催するために追加の支出をしなければならない立場にはないことを望むでしょう。」
レンズキー名誉教授がこうつけ加えました。

                   

日本はオリンピックを組織するために1兆3,500億円を支出したと公式に報告していますが、昨年12月に実施された会計監査院の報告書は実際に支出されたのがその2倍であると指摘しました。
6,000億円を除き残りすべては日本の納税者が支払ったお金です。

             

                  

IOCと日本の当局は1年間の遅延によって生じる追加費用は不明だと言っていますが、2,100億円から6,300億円と推定されています。
延期に必要な費用のほぼすべては、東京が開催権を獲得した2013年に調印された合意の下で日本が負担しなければなりません。

                

コーツ氏は延期によってIOCが追加負担しなければならない金額について「数億ドル」になることを認めました。
この資金は困窮している国際競技連盟や各国のオリンピック委員会に寄付されますが、日本には寄付されません。

                  

東京組織委員会の武藤敏郎委員長は追加コストを「巨額」と表現し、コーツ氏は「かなりの悪影響が及ぶことになる」ことを認めました。

                   

ホーリークロス大学のスポーツエコノミストであるビクター・マセソンはAP通信の取材に対し、 Eメールの中でこう述べています。
「観光客の急増によりオリンピックの延期費用が1年で回収することが可能だと期待しているとしたら、非常に失望する可能性が高い。」

                    

                 

マセソンと同僚のロバート・バウマンは、2016年のリオデジャネイロオリンピックに対する外国人観光客の影響を計算しました。
計算してみると国内の別の観光地で使われるはずだったお金がリオデジャネイロ周辺に集中し、単に地方での観光収入が減少しただけの結果に終わっていました。
試算した結果、リオ周辺では60,000人の外国人観光客の増加が確認され、一人当たり5,000ドル、合計3億ドルの影響がありました。。
リオはオリンピックを開催するために約130億ドル(1兆4,000億円)を費やしましたが実際には200億ドルを要したという指摘もあります。

                  

マセソンとレイクフォレスト大学のロバート・バーデは、2016年に「金鉱を求めて : オリンピックの経済効果(Going for Gold:The Economics of the Olympics)」という研究を公表しました。
彼らは短期及び長期の観光、スポーツ、その他のインフラ、雇用、貿易、およびオリンピック開催によって得られるとされる無形の「気分が良くなる要因」の影響に注目しました。

                

彼らはこう結論づけています。
「ほとんどの場合、開催都市はオリンピックによって損失を被ることになります。 経済的利益が得られるのは非常に特殊で滅多にない状況の下でのみに限られます。」

                   

               

木曜日にIOCと日本の主催者は支出を抑えるため、可能な限り余分なものを取り去ることで合意しました。
2020年開催のためにセッティングが行われた43か所のオリンピックおよびパラリンピック会場が次年度もすべて利用できるのかどうか、そしてそのためにどれだけの追加費用が必要になるのかを明らかにしようとしています。

                        

「現在日本側は延期の影響がどこまで及ぶか、費用面を含めその評価をおこなっています。」
コーツ氏がこう語りました。
「それらの費用はすぐに初盛するわけではありません。追加のコストがいつ発生し、いつ精算できるかについて私は結論を出すことはできませんでした。」

                

https://apnews.com/504b55f70cccd17a3ebbc47725acd9ed

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オリンピックというものをこれ程いかがわしいものに感じるようになったのは、安倍政権と東京2020の関わりが原因であることは間違いありません。

年齢的なものがあるのかもしれませんが、オリンピックに興味があったのはジョン・ウィリアムズやボブ・ジェームスなどの音楽がふんだんに提供されたロスアンジェルス・オリンピックまでで、それ以降はたまたま家族がテレビをつけている時になんとなく見てしまう、という感じになりました。

                

そして今回、安倍政権がいかなる自制をすることもなく東京2020を最大限政治利用している有様を見て、本当に「もうたくさんだ」という気持ちになりました。

4年に1度の晴れ舞台の為に切磋琢磨してきたアスリートの皆さんは気の毒だと思いますが、世界は今やそれどころではありません。

今日食べるものも明日食べるものもないという、今この瞬間に困窮している人々を救うことを最優先すべきです。

                 

アスリートが最近よく口にするようになった言葉、「素晴らしい結果を出して人々を勇気づけたい!」

本当に困窮してしまっている人々に対して、それはもう無理です。

今すぐにでも中止を決断すべきです。

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