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安倍首相の緊急事態宣言

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強まる首都圏での感染爆発への懸念

初動段階の安倍首相の消極的態度は、事態を重く受け止めていた専門家などから批判を受けていた

                  

               

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2020年4月6日

                  

日本の安倍首相は首都東京や他の主要都市での新型コロナウイルス感染者の急増を食い止めるため、早ければ4月7日にも早く東京と他の6つの都府県で緊急事態を宣言する態勢を準備しています。

                  

この措置は約1か月間継続される見込みであり、地方自治体が食料の購入調達、医療機関での受診、仕事上必要な外出、日課としての運動をする以外は、自宅にとどまるよう人々に要請するができます。

                   

安倍首相は6日月曜日の夜に記者団に対し、次のように語りました。
「政府諮問委員会の意見を聞いた後、早ければ明日にでも緊急事態を宣言したい」
「特に東京や大阪などの大都市圏で新しい感染事例が急速に増加しています。」
「医療機関が危機的な状況にあることに鑑み、私は日本政府が緊急事態を宣言するため準備を進めるべきだという意見を聞いています。」

                  

               

安倍首相は今回の危機について、初動段階ではより厳しい対策を実施することに消極的な態度をとり、日本医師会や先週になって感染者が急増した東京都の小池百合子知事から批判を受けていました。

                    

世界各国で都市の封鎖という事態を引き起こした新型コロナウイルスCovid-19による感染者と死亡者の多発を、日本は回避してきましたが、首都東京で特に若者の間での感染者数が増加し、警戒を強めなければならない状況になってきました。

                     

NHKの報道によると東京では5日日曜日に148件の新しい感染例を記録し、翌日の月曜日にはさらに83件の感染が確認され、これまでの合計が1,000件を超えたと報道しています。
週末に確認された感染例の大部分は50歳未満の人々であり、その多くは20代と30代の人々でした。

                    

NHKによると日本では3,500人以上がウイルス検査で陽性と診断され、これまで85人が死亡しました。
米国、中国、ヨーロッパの一部に比べるとその数値はまだ低いと言えますが、感染者の急増により日本国内の病院には支えきれないほどの負担がかかる可能性があると当局は懸念しています。

                 

                   

緊急事態宣言により、日本の47都道府県の知事は人々に対し自宅にとどまり、企業には業務の停止を呼びかけることができますが、他の国で実施されているような封鎖を課とたり、要請を無視する住民に罰金を科す法的権限はありません。

                 

安倍首相は3月末、国会で「フランスのようにロックダウンを実施できるかと質問されれば、答えはノーだ。」と語っていました。

                  

新型コロナウイルス対策についてまとめた文書によれば、世界経済が第二次世界大戦以来となる「最大の危機」に直面させられていることに対応するため、「前例のない規模の」刺激策を発表すると予想されています。

                   

まだ詳細な内容が決まっていない108兆円のパッケージは、2009年の金融危機の際の日本の対応よりもはるかに大きな規模になります。

                 

小池東京都知事は、感染経路が特定できないケースが多数あることに加え都内の病院への圧力の高まりに懸念を表明し、1,400万人の都民を保護するため「ソフト」ロックダウンの実施を支持すると表明しました。

              

             

先月可決された法改正により、新型コロナウイルスの感染が公衆衛生に「重大な危険」をもたらし、現在不況の瀬戸際にある世界第3位の規模を持つ経済に深刻な被害を与える脅威があると判断された場合、安倍首相は緊急事態を宣言することが可能になりました。

                    

関係当局の担当者は、人々が自宅に留まり、外出するときには他人との間に一定の距離を保つようにする行動規範が生まれてくることを願っています。
企業が協力を拒否した場合には、社名が公表され社会的批判の的になる事態に直面することになります。

                 

さらに各自治体の首長は一時的な医療施設として使用するために所有者の同意なく施設などを 借り上げられるようになり、学校や劇場、コンサート会場、スタジアムなどの他の集会場所の閉鎖を命じることができるようになります。
現在国内のほとんどの学校は安倍首相の要請により、1か月以上休校している。

                  

安倍首相の緊急事態宣言は当初、大阪と他の5つの都府県と併せ首都圏(人口3,600万人以上)を主なターゲットとする予定です。

                

               

国内報道によれば、宣言が行われれば病院はより症状の重い患者の治療に集中するため、症状の軽い患者を特別に指定されたホテルに移送することができるようになります。

                  

新型コロナウイルスに対する対応については、今年夏に東京で開催されることになっていたオリンピックの延期が避けられないことが明らかになった後、安倍首相と担当する当局がやっと真剣な取り組みを始めたと非難されています。

                     

学校や他の多くの公共施設閉鎖されてから約1カ月が経ちましたが、一部の企業は従業員の在宅ワークを許可していますが、バーやレストランでの会合などは行わないようにとの呼びかけに対する人々の反応は鈍いものでした。

                    

小池都知事は娯楽施設が集中する地区で感染クラスターが発生した証拠に言及し、2週間の間自宅にとどまり、4月12日まで混雑した場所を避けることを住民に強く求めてきました。

                     

小池都知事の呼びかけに対しては4月に入ってやっといくつかのレストランチェーンやショップ、都内の至る所にあるパチンコ店やカラオケ店が対応することを表明し、休業を決めました。
鉄道や地下鉄の運営会社も乗客数の劇的な減少を報告しています。

                    

https://www.theguardian.com/world/2020/apr/06/japan-poised-to-declare-state-of-emergency-over-coronavirus

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すでに旧聞に属する記事になってしまいましたが、直前の状況を確認していただく意味で掲載しました。

現在、緊急事態宣言の意味について詳しく解説しているニューヨークタイムズの7日付の記事を翻訳中です。

アベノマスクに怒りが爆発 – ウイルスには効果がない?! 「布マスク2枚で家族の命を守れ」

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医療体制崩壊の危機が迫る中での安倍政権の『国民救済策』アベノマスク
1億2,700万人を超える日本では30,000件を超えるウイルス検査しか行っていない

                

                  

城塚絵美子、小倉純子 / 米国CNN 2020年4月3日

                  

日本の安倍晋三首相は、国内で悪化が続く進型コロナウイルスの感染拡大、それに伴い医療不足に対する懸念が高まる中、日本政府としての対策として世帯ごとに再利用可能な布製フェイスマスク2枚を配布すると発表、多くの国民の反発に直面しています。

                 

当初日本では新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかっているように見えましたが、国内の感染者数はここ数週間で急増しました。
ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、4月1日水曜日の時点で日本全国で2,300件を超える発症が確認されており、57人が死亡しています。

                       

この急増にを受け東京や他の主要都市では新たに多数の制限措置が採られ、フェイスマスクを含む感染予防用品への需要が激増しています。
安倍首相は1日、感染拡大が危機的になっている地域への布製マスクの提供は「急増する需要への対応に役立つ」と語りました。

                  

しかし世帯ごとにマスク2枚を提供するという安倍首相の提案は、その日のうちににオンライン上で大量の怒りとあざけりを呼びこみ、ハッシュタグ「♯アベノマスク」と「♯マスク2枚」に関する書き込みがツイッターで大量発信されることになりました。

                   

                

4月末までマスクを配布する予定が立たないということもあり、多くの人々がこんな対策は馬鹿げており、ウイルスの感染拡大を抑えるきっかけを作るにはほとんど効果がないと感じています。
他の人は「アベノマスクのポリシー」について、有名なサザエさんの漫画のと家族が4人で1枚ずつのつのマスクを共有している姿を風刺的に描き、多くの人々がシェアすることになりました。

              

安倍首相は1日緊急事態を宣言するよう要請されたのに対し、そのような対応を行わなければならない程事態は切迫していないと返答したことも国民の怒りを買いました。

                 

緊急事態の宣言により、都道府県知事は一般市民に対し外出をしないように要請する際より強いメッセージを送ることができますが、法的拘束力はありません。
先週、東京の小池百合子知事は約1,350万人の都民に可能な限り在宅勤務を行い、バー、レストラン、集会については4月12日まで営業しないよう要請しました。
さらに東京都は公立の学校をはじめ、動物園、美術館などの公共施設について、5月6日までの閉鎖を決めています。

                  

4月30日東京で1日の数としては最高の78件の新しい感染を確認した後、小池知事は安倍首相に緊急事態宣言を行うよう求めました。

             

                

▽ 爆発的感染拡大

                

安倍首相は日本政府としてコロナウイルス感染が急増している地域で、優先的にマスクを約5,000万世帯に配布すると述べました。
配布は4月後半に開始され、住民登録手続きをしている世帯は郵送によってマスクを受け取ります。

                

これこそが日本政府が展開する幅広いコロナウイルス対策経済政策のひとつです。
この1週間、日本は感染の爆発的な急増を回避するための取り組みを続けてきました。

                 

現時点での感染確認者の数は約2,300件ですが、1億2,700万人を超える日本では30,000件を超えるウイルス検査しか行っていません。
これに対して人口が5,100万の近隣の韓国では、実施されたウイルス検査の件数は394,000テストを超えています。

                 

一見しただけでは感染率が低いと思われれるために、多くの専門家が恐れるように人々は誤った安心感を抱く傾向にあり、公共の場に出かける人の数も多く、その一部はマスクを着用せず、伝統的な春の楽しみである花見に出かける人もいます。

                

                     

4月1日水曜日、医療専門家が新型コロナウイルス感染が拡大を続けた場合、日本の医療制度はその負担に耐えられなくなると警告しました。
日本政府によると、これまでのところ感染症の爆発的な増加は見られていないものの、東京、愛知、神奈川、大阪、兵庫の病院や診療所が限界近い対応を強いられる状況が激化しており、「抜本的な対策を急ぐ必要」があります。

                  

経済的影響も懸念材料です。
3月末政権与党は、オリンピックの延期と新型コロナウイルスのパンデミックによって打撃を受けた日本経済の救済策として、60兆円の経済対策予算を確保することを約束しました。

               

▽ マスク不足とDIYマスク

                 

日本国民を救済するための対策として布製のマスクを配布するという安倍首相の提案に日本国民は怒りを募らせていますが、適切なウイルス防護用品の不足が広範囲に及ぶ中、即席のマスクや防護用品の使用を検討しているのは日本だけではありません。

                 

新型コロナウイルスのパンデミックの発生以来、マスクの使用がアジア各国で広まり、マスクの着用がウイルスの蔓延を防ぐのに一定の効果を発揮するということが広く確認されていますが、それとは矛盾するアドバイスが行われ、しかもマスクが不足する多くの西欧諸国では多くの人々がマスクを使用せずに日常生活を送っています。

                      

                

布製マスクはサージカルマスクや人工呼吸器の代わりにはなりませんが、用途を限定して使うつもりなら製造は簡単です。
アメリカ国内では全域で、病院関係者や業務上感染する危険がある人々がマスク不足のため必要なだけ手に入れることができないと不満を募らせており、自家製のマスクを作る動きが強まっています。

                          

3月には米国の小売業者であるジョアン・ファブリックおよびクラフト・ストアが、フェイスマスクの作成方法に関するチュートリアル・ビデオを公開しました。
これらの小売業者はマスクを製作したらそれを地元の店舗に持ち込んでくれれば、近くの病院に寄付されることになると呼びかけています。

                 

しかし新型コロナウイルスの感染者が急増する最中にN95型人工呼吸器の供給が減少し、医療施設は最悪の事態に追い込まれています。
自国民に布マスクを配布する程度のことしかできなくなる、それが日本だけではなくなる可能性があります。

                  

(個人名の漢字表記には誤りがある可能性があります。)
https://edition.cnn.com/2020/04/02/asia/japan-coronavirus-shinzo-abe-masks-hnk-intl/index.html

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布マスクなどは喉や鼻の粘膜が乾燥するのを防ぐためのもので、ウイルスに対する防御機能はほとんどないというのが定説。

免疫機能の第一段階である喉や鼻の粘膜を守ることには意義がありますが、国がわざわざ国民全員に配るべきものなのか?!

限られた国の経営資源を、現在のような危急存亡とも言える危機的状況の中で、一国の首相が胸を張って言うことか?!

このように書いている間にも、あまりの愚策に脱力感に襲われています。

                    

国が国民に布マスクを配布してくれるおかげで医療現場にサージカルマスクが回ってくるという医療従事者『拡散希望』なるツイートを見かけましたが、それはおかしい。

現在はあらゆる小売業者がサージカルマスクの発注を行っているはずですが、アベノマスクでそのオーダーを取り下げるはずがない。

目の前にサージカルマスク30枚入りが箱で売っているのに、アベノマスクでその購入を思いとどまる消費者はいるでしょうか?!

それに医療用と家庭用では流通ルートが明確に異なっています。

こんなところにまで『ヤラセ』がある、それがアベノマスクの正体なのではないでしょうか?

安倍首相の政治生命を脅かす新型コロナウイルスCovid-19《後編》

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延期によって生じる巨額の追加費用・誰がどうやって負担するのか?!

日本経済、現在は深刻な不況に陥るかどうかという瀬戸際にある

延期と新型コロナウイルスの感染拡大により、増えている『オリンピックはもうどうでもいい』と感じる人々

                 

モトコ・リッチ、ベン・ドゥーレイ / ニューヨークタイムズ  2020年3月25日

                   

安倍首相にとってのもう1つの課題は経済です。
日本経済の相対的な強さが安倍首相の政権寿命を延ばしてきましたが、現在は深刻な不況に陥るかどうかという瀬戸際にあります。

               

昨年の終わり頃から新型コロナウイルスの感染拡大とともに日本の観光産業の業況は悪化していきましたが、それ以前から中国への輸出の減少、日本の急速な高齢化、そして昨年10月に安倍首相が行った消費税の増税による消費者支出の減少により、日本経済は不況局面に入っていました。

                   

オリンピックは日本経済を復活させる起爆剤になるはずでした。
しかし今やその効果が期待できるまで1年待たなければならなくなりましたが、その間に世界経済の方が悲惨な不況に陥る可能性が高くなってきました。

                  

東京オリンピックの延期に伴う施設のリース期間延長や開催まで会場のメンテナンスを継続するための追加費用を、いったい誰が負担するかは明らかではありません。

                        

                    

東京2020オリンピックの延期は、
「経済危機の最中にオリンピックに向け日本政府が準備資金の追加支出を強いられることになるため、政治的に重荷になる可能性があります。」
法政大学の政治学者である山口二郎教授はこう述べています。
「オリンピックは安倍首相にとってもはや政治的なチャンスというより、重荷になっているでしょう。」

                 

世論調査の結果、今年大会を開催すべきではないと大多数が意思表示した日本国民にとって、延期は倦怠感につながる可能性があります。

               

都内の建物メンテナンス会社で働き、陸上の五種競技とサッカーの観戦チケットを購入した50歳の正木一郎さんは、来年そのチケットが使えるのかどうかわからないと語りました。
「正直なところ、最初にチケットを入手したときほど興奮しているわけではありません。」
正木さんはこう語りました。
「仕事のスケジュールが許せば試合を見に行くでしょうが、払い戻しを受ける方を選ぶかもしれません。」

                  

                

東京2020の聖火リレーは2011年に福島第一原子力発電所の事故があった福島で26日に開始されるはずでしたが、オリンピックの延期が発表されたのは大会組織委員会がリレーを中止できるギリギリのタイミングでした。

                

福島県は東京2020の一連の行事を、9年前に発生し県沿岸部を壊滅させた巨大地震、巨大津波、3基の原子炉のメルトダウン事故からの復興を世界に向け発信する機会としての恩恵を期待していました。
リレーの延期は、これらの希望をさらに1年延期することになりましたが、今迫りつつある脅威を回避するのに役立つ可能性があります。

                   

先週、いくつかの県でオリンピックの聖火が公開され、何千人もの観客が集まりました。
福島県での宣伝広報を担当するオリンピック組織委員会の鈴木淳氏は、26日2時間ほどの間福島の主要駅前に3,000人が集まり、聖火台の炎を見学したと語りました。

               

                   

しかし国の保険衛生当局はそのような群衆が感染拡大の原因となる可能性があることを警告しており、先月末以来、安倍首相は大規模なスポーツや文化イベントの延期または中止を要求していました。
観衆の中に聖火リレーの中止を聞いて初めは悔しがっていた若いランナーの1人が来ていました。

                  

「新型コロナウイルスが世界中に広まっているので、延期は仕方ないと思いました。」
こう語ったのは、祖父が1964年の東京オリンピックで聖火ランナーをつとめ、今回自分がランナーに選ばれた12歳の渡辺あつきさんです。
和歌山県岩出市に住むあつきさんは、ランニング用に新しい赤と白のスニーカーを購入し、感染防止のため学校が閉鎖されていた間自宅近くでリレーの練習に励んでいたと語りました。
少年は2021年にも聖火ランナーに選ばれることになったと聞いて安心したと語りました。
「来年こそはぜひ走りたいです。」

                      

https://www.nytimes.com/2020/03/25/world/asia/japan-olympics-delay
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世界第3位の経済規模を持つ日本の首相を務めるためには、冷徹な計算も必要です。目的はもちろん国民のためです。

ところが安倍首相がやっているのは、自分とソリ取り巻きのための欲得ずくの算段ばかりです。

                   

そして何より安倍首相には弱い立場の人々を思いやるという『心』がありません。

堯舜禹とは言いませんが、権力とはまるで無縁であるために不幸の谷間に落ちやすい人々を救う義務が権力者にはあるはずです。 

数々の言行録を見る限り安倍首相にはおそらくそんな感覚はない、私はそう考えています。

自分とは利害関係がない人間の窮状や死を、痛みとして感じることは無いのだろうと思っています。

                    

そうした安倍政治の深刻な欠陥が新型コロナウイルスの感染拡大という、明日は誰が犠牲者になるかわからないという状況の中で、はっきりと見えてきました。

                    

邪な動機を隠すためのカモフラージュとして口にするのはなく、心から、そして当たり前のこととして『国民ひとりひとりの安全』を願っている人物を首相に据えましょう。

安倍首相の政治生命を脅かすウイルスCovid-19《前編》

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ダイヤモンドプリンセス対応失敗が明らかになった時点でオリンピック延期が決まっていたら、安倍首相の政治生命は終わっていたはず
東京2020の延期決定は、前例のない規模で経済的、政治的、物流上の難題を次々運んでくる

                   

写真 : 新型コロナウイルスを克服できれば、五輪マークは1年後も東京にとどまることになる

                       

モトコ・リッチ、ベン・ドゥーレイ / ニューヨークタイムズ  2020年3月25日

                       

新型コロナウイルスのパンデミックのために東京オリンピックを来年の夏まで延期するという過去に例がない決定は、主催者側はなんとか避けたいと考えていた事態でしたが、大会の中止を求めていたアスリートや各国の代表チームは一安心といったところです。

                   

しかし日本にとっては、世界最大のスポーツイベントの延期は他の国が直面していない経済的、政治的、物流上の難題をもたらすことになるでしょう。

                       

オリンピックの聖火を1年間もどこに保管するのか。
いつ開催されるかわからない試合の観戦チケットを所有する、何万という企業や個人にどう説明をするのか。
日本政府が投資した1兆円以上の投資資金の回収は期待できるのかどうか。

                   

さらに東京組織委員会は、3,500人のスタッフを改めて確保する必要があります。
彼らの多くはスポンサー、企業から出向してきており、この秋には本来の職場に戻る予定でしたが、今後さらに12か月間オリンピック準備に関わるよう改めて依頼しなければなりません。

写真 : オリンピック村にそび立つ宿泊施設

                

ホテルは何千何万という人々に再予約してもらう必要があります。
オリンピック村をコンドミニアムに改造する予定だった不動産会社は、改修スケジュールを1年延期し、数千件に上る買い手との契約をやり直す必要があるかもしれません。

                    

延期された大会をどう呼ぶのかということすら問題になります。
小池百合子東京知事と東京組織委員会の森喜朗会長は、ぎこちない様子で2021年に開催されてもオリンピックは東京2020と呼ばれることになると述べました。
これに対し、ソーシャルメディアには『東京2020:2.0』や『東京2020ラウンド2』といった提案や、遊び心にあふれたオリンピックロゴのアレンジなどが投稿されていました。

                      

日本が数兆円に上る規模のオリンピックの取り組みを1年延長することになったことにより、安倍首相は現在の日本が抱え込んでいる手に負えないほど困難な課題とハードルの組み合わせを、自分なら制御できるということを国民に納得させる必要があります。

               

                    

現在世界で爆発的感染拡大が続く新型コロナウイルスについては、これまでは日本では比較的感染者数が少なく済んできたものの、いつ爆発的感染拡大が起きてもおかしくない状態にあります。
安倍首相にはこの問題についても、日本を深刻な状況に陥らせることなく切り抜けさせる責任もあります

                

他のあらゆるスポーツイベントの中止が相次いだ後、24日になってやっと延期を宣言したことについては対応の遅れが指摘されていますが、少なくとも現在は安倍首相に自身の初動対応のミスから立ち直る時間を与えることになりました。

                   

今年2月、横浜港沖で2週間にわたり隔離されたクルーズ船ダイヤモンドプリンセス船内でのコロナウイルスの感染が発生したことへの対応を誤ったとして、日本政府に非難が集まりました。

                 

さらに中国国内で武漢を中心に爆発的に感染拡大が続いていた時期、中国からの旅行者に対し日本国内への入国禁止の措置を行うタイミングについて、あまりにも長く待ちすぎたのではないかという疑問も提起されました。

                 

「日本がほんの数週間前、クルーズ船ダイヤモンドプリンセスへの対応について日本政府への非難が強まっていた段階で東京2020の延期が発表されていたら、安倍首相の政治生命は危なかったかもしれません。」
ワシントンにあるブルッキングス研究所の東アジア政策研究センターの共同責任者であるミレーヤ・ソリス氏がこう語りました。

                    

                  

「ダイヤモンドプリンセス船内での混乱を見て、オリンピックの開催が不可能になる、あるいは日本国民が危険にさらされるかもしれないという疑念が一気に高まったに違いありません。」
しかし全面中止を回避できたという事実により安倍首相は
「最悪の展開をうまく切り抜けたという評価を得ました。」
ソリス氏はこう指摘しました。

                   

同じワシントンのシンクタンク、テネオ・インテリジェンスで日本政治を専門に担当するトビアス・ハリス氏は、来年までに世界が新型コロナウイルスの抑え込みに成功すれば、延期されたオリンピックは「安倍首相退任直前のグランド・フィナーレ」になる可能性があると語りました。

                 

「世界中から人々が東京に集まることが現実になれば、日本にとって大きな意義のある出来事になります。2021年のオリンピックは『新型コロナウイルスのパンデミックの克服を象徴する祭典』となり、日本はその喜びを世界の人々に代わって表現する役割を担うことになるからです。」

              

               

しかし新型コロナウイルスの世界的感染拡大の状況は日々変化し、今日の真実は明日簡単にそうで亡くなる可能性があり、日本史上最長の任期を持つ安倍首相の運命もそれに伴って変化する可能性があります。
現在のところ日本は新型コロナウイルスの感染拡大をある程度抑え込むことに成功しており、大量の死者や医療現場の崩壊などの報告はなされていません。

                  

日本は他の国々と比べウイルス検査の件数が少ないことに疑いを持ち、感染率が大幅に過小報告されている可能性があると警告する人々もいます。
こうした専門家は世界の中で突出して多い日本の高齢者の間で感染が拡大すれば、重態者や死者の数が劇的に増加することを懸念しています。

                  

米国コロンビア大学で政治学を専攻するジェラルド・L.カーティス名誉教授は次のように述べています。
「安倍首相の政治家としての運が新型コロナウイルスCovid-19に対し、持ちこたえられるかどうかが大きな疑問です。」

               

安倍氏の今後について、カーティス教授は次のように述べています。
「安倍首相は今、ロシアン・ルーレットをしているようなものです。

                   

彼は今後日本では爆発的感染拡大は発生せず、ウイルス検査件数が少ないことによって国民が事実を知らないまま終息することに賭けているのです。」
「運が尽きて日本で感染が拡大すれば、延期されたオリンピックが開催される頃、安倍氏はもう首相の座にはいないでしょう。」

                         

 《後編》に続く

https://www.nytimes.com/2020/03/25/world/asia/japan-olympics-delay

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現在、自民党内から「新型コロナウイルス経済対策』として具体的に挙がっている提案は、できるだけ多くの国民救済など念頭にない安倍政治の本質を見事に物語るものです。
肉の配布とか観光クーポンの配布とか、日々の生活が脅かされている人々を『愚弄』しているとしか思えないものばかりです。

つまりは政治家(本当は政治屋ですが)としての立場を確立している自分の支持基盤だけを見て、実は日本国民や国の将来など何も考えてはいないのだ、ということを自ら暴露しています。

もともと自民党議員は自分が属する産業界、ひどいのになると血族親類の利害を国政の場に持ち込むために議員になったという人間が多数。
表向き口を開けば国を大切にする、国の将来を良いものにするなどという言葉が出てきますが、そんなものはそれこそバーチャルリアリティです。

こうした政治家が『多数派』をしめる国会の動勢については、私たち国民は何より警戒しなければならないはずのもの。
ところが、そこが『民度』というものなのでしょう。
自動車保険や生命保険の保障はしっかり考えても、政治の保障についてはきわめて鈍感です。

東京2020(2021?)より、カジノの誘致より、米国製兵器の大量購入より、まずは暮らしに困っている国民の救済を最優先せよ!
私たちはその声を挙げていかなければなりません。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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