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脱原発への流れを無視し逆行する安倍政権の原発推進強硬政策
安倍政権の原子力発電推進計画は非現実的である上、再生可能エネルギーの成長を故意に遅らせている
山口まり / AP通信 / ワシントンポスト 2019年7月24日
2011年3月巨大津波によって破壊された福島第一原発の所有者である東京電力は、さらにもう一カ所の原子力発電所の廃炉についても検討を進めています。
しかし東京電力ホールディングスは、福島第二原発の4基の原子炉の廃炉解体については、なお保留中であると語っています。
東日本大震災の地震と津波に破壊され、過酷事故を引き起こした福島第一原発を管理する東京電力は7月24日水曜日、すでに廃炉作業が進められている福島第一原発に加え、同じ福島県にある福島第二原発の4基の原子炉を廃炉にすると発表しました。
東京電力ホールディングスは福島第二原発の4基の原子炉の廃炉解体に関する最終決定は、今月中に予定されている理事会で正式に承認される見通しであると述べました。
近くにある福島第一原子力発電所は東日本大震災が発生した際に3基の原子炉がメルトダウンし、4基の原子炉の建屋と付帯する設備が破壊されました。
現在事故収束作業が進められている4基を含む6基すべての原子炉は、数十年かかるプロセスによって廃炉解体される予定です。
東京電力の小早川智明社長は福島第一原子力発電所の4基の原子炉をすべて廃止するには約40年かかると福島県の内堀知事に説明しました。
同社長は知事に対し、核燃料の長期にわたる安全な保管方法ととして専門家が勧める使用済み燃料を冷却用プールから取り出してドライキャスクに移して保管する方法を採用するため、第二原発内に新たな施設を建設する計画もあると語りました。
今回の東京電力の方針により福島県内にある同社の原子炉10基すべてが廃炉にされることになりました。
小早川社長は新たに始まる福島第二原発の廃炉作業が、すでに進行中のただでさえ困難を極める福島第一原発の廃炉作業に悪影響を与えることはないと語りました。
福島第二原発の廃炉計画の実現のためには原子力規委員会による承認が必要です。
委員長代理の田中知氏は、東京電力の福島第二原発を廃炉にする計画を慎重に検討すると記者団に語りました。
「はっきりしていることは、東京電力は進行中の福島第一原発の廃炉作業に影響を与えずに計画を実行しなければならないということです。」
福島県民と県当局者は今後が見通せない状況は福島の復興の妨げになると言って、福島第二原発を廃炉にするよう求めてきました。
内堀知事は「福島県内のすべての原子炉の廃炉を実現させための重要な一歩」として、第二原発の廃炉計画を歓迎する意向を表明しました。
内堀知事は東京電力から提案されている使用済み核燃料保管施設の建設計画の予定地となっている楢葉町と富岡町の担当者と打ち合わせすることになっています。
昨年、東京電力は福島第二原発の4基の原子炉の廃炉について正式に発表する前に、スケジュール及びその他の詳細を決定する予定だと述べていました。
同社は廃炉が決定した福島第一原発の長期に渡る事故収束・廃炉作業に必要な推定22兆円の費用に加え、福島第二原発の廃炉には約2,800億円の費用がかかると発表しました。
東京電力に残される原子力発電所は新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所だけになります。
福島第一原発事故が発生したために、柏崎刈羽原発の7基のうちの2基の原子炉の再稼働についての地元の承認は8年以上保留になったままです。
福島第一原発事故の後導入された新しい安全基準に適合させるための改良工事の費用は著しく高額なため、電力各社は老朽化した原子炉は廃炉にするという選択を行いました。
福島第一原発事故以前日本国内では54基の商業用原子炉が稼働していましたが、そのうち福島第一、第二原発の10基を含む24基は廃炉が決定しました。
事故後これまで9基の原子炉が再稼働しましたが、他の12基の再稼働の承認についてはまだ手続き中です。
それでも安倍首相が率いる電力業界・原子力産業界寄りの政権は、策定したエネルギー計画の中で原子力発電事業は必要不可欠であり、2030会計年度には日本の全発電量の20~22%を占めるべきだという政府見解を明らかにしました。
これに対し複数の専門家は非現実的である上、再生可能エネルギーの成長を故意に遅らせるものだと批判しています。
https://www.washingtonpost.com/Japan utility to scrap 4 more reactors in Fukushima
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すべては『オリンピックありき!』2020年の日本
ギャビン・ブレア/ ガーディアン 2019年7月16日
東京で働いている数十万人の従業員が2020年のオリンピック開催期間中の公共交通機関の混雑を軽減するための対策の一環として、2週間自宅待機のまま仕事をすることになりそうです。
800万人以上の人々が毎日通勤してくる東京では、2020年に開催されるオリンピックに伴い多数の訪問客が流れ込むことにより、ただでさえ悪評の高い首都圏を運行する電車の満員乗車の状態がなお一層酷いものになると予想されます。
そのため、オリンピックの試合観戦のためやってくる何十万人という観光客を受け入れられるよう、富士通社員50,000人、NEC社員34,000人を筆頭にトヨタの東京支社の1,600人まで、約3,000の事業所の600,000人の従業員は、7月22日から9月6日まで在宅で仕事をさせられることになりました。
「テレワーク・デイ」と名付けられたキャンペーンは、日本政府とオリンピック組織委員会によって推進されています。
オフィス機器メーカーのリコーはオリンピック期間中2週間に渡りを約2,000人従業員を抱える東京本社を閉鎖することを検討していますが、クライアントの商談や重要な会議に参加しければならない社員のため都内とは別の場所に臨時のオフィスを設けることにしました。
リコーは7月から始まる試験運用に参加します。
東京オリンピックの開催期間は7月24日から8月9日までですが、引き続き8月25日から9月6日までパラリンピックが開催され、最も人出が多い日には65万人が都内に滞在することになると予想されています。
人口3,500万人が暮らす首都圏を走る121路線の電車や地下鉄は、ラッシュアワーに白い手袋をはめた駅員が乗客を車両の中に押し込む光景で有名です。
これら首都圏の電車の利用客数は1日あたり2,000万人ですが、鉄道事業各社はオリンピック開催期間中の営業時間の延長を計画しています。
通常ほとんどの路線では深夜になると運行を終了します。
今年6月大手飲料メーカーのアサヒビールは、オリンピック開催期間中3割の配達ドライバーの勤務シフトをピーク時間外に変更するとともに、ワインやその他の製品の輸入時期を別の時期にずらすことを発表しました。
オリンピック開催時期に懸念される大きな問題はもう一つあります。
昨年の夏、日熱波の到来によりで数十人が死亡したことにより顕在化した、高温多湿の気候が極端化していることです。
この問題によりマラソン競技のスタート時間は午前6時に変更され、50km競歩のスタート時間は午前5時30分に変更されました。
しかし高温多湿の気候のもとでいかに運動選手の安全を確保するかという問題は、依然解決されていません。